| もはや高級セダンは死に体に |
ベントレーがこっそり「ミュルザンヌを販売終了にする」と発表。
ミュルザンヌは2010年に登場したベントレーのフラッグシップで、日本での価格は36,721,000円という設定です。
搭載されるエンジンは6.75リッターV8ツインターボ、出力512馬力。
ベントレーによると「比類なきラグジュアリーとパフォーマンスを両立」させたとし、ショーファードリブンカー、ドライバーズカー両方の性格を持ち合わせている、と述べています。
そこでなぜミュルザンヌの販売がスローなのかということですが、結局のところ「いずれかの方向にも振り切ることができなかった」半端さにあるのかも。
つまり出力もとりわけ高いわけでもなく、運動性能にしても豪華さにしても「中途半端」であり、メルセデスAMGやロールスロイスと比較して”選ぶ理由”があまり感じられなかったんじゃないかと思うわけですね。
ベントレーのフラッグシップは今後「SUV」に
そしてベントレーCEO、エイドリアン・ホールマーク氏によると、「ミュルザンヌに代わるフラッグシップ」としてブランニューモデルを設定する可能性がある、とのこと。
同氏によると、「中国マーケット見るといい。売れているクルマはいずれもロングホイールベースということがわかるだろう。そしてもし我々がロングホイールベースを持つ高級SUVを投入したとなると、ミュルザンヌに乗っている顧客は一斉に乗り換えることになる」。
よって現在ベントレーは「ベンテイガの上」に位置する、さらに高級でさらに大きなSUVを開発中だとされますが、おそらくはこれが今後ベントレーのフラッグシップとなるのかもしれません。
その場合、価格はやはりミュルザンヌ並かそれ以上になると思われ、となるとほぼ「ロールスロイス・カリナンと同じくらい」。
もちろんベントレーはカリナンの成功を羨ましく思っているはずですが、今回の発言については「カリナンの後を追う」という意図だとも受け取ることもできそうです。
なお、現在ベントレーで最も売れているのは「コンチネンタルGT」。
ベンテイガよりもコンチネンタルGTのほうが売れているというのはけっこう意外ですが、これはやはり「ベンテイガは登場から時間が経過していて、ライバルが増えた」「コンチネンタルGTは登場したばかりであり、さらに高級クーペ市場でのライバルが少ない(優位性がある)」ということが関係していそう。
ベントレーは2019年、「100年の歴史で4回目の11,000台超え」のセールスを記録。なおもっとも売れたのはベンテイガではなく「コンチネンタルGT」
高級車メーカーは投資を「先送りせざるを得なくなる」可能性も
ただし、いかに高級SUVが売れると言えど、現在の懸念は「コロナウイルス」。
この影響によって一時的といえども大きく販売が落ち込むことが懸念され、となると高級車メーカーは資金繰りが苦しくなったり、高級車市場がもとに戻るのを待つという動きを見せる可能性があり、現在の計画を凍結する可能性もありそうです。
それでも今回のコロナショックが、2008年のリーマンショックと異なるのは「感染者増加を抑え込んだり、ワクチンが開発されれば状況は改善する」ということで、まだ出口が見えているということ。
参考までに下のグラフはランボルギーニの2000年以降の販売ですが、2005年にガヤルド(黄色の部分)が発売されて販売が順調に伸びていたものの、2008年(グラフの真ん中あたり)にリーマンショックが発生し、そこから販売を戻すのに5年ほどかかっていることがわかります。
今回のコロナショックは当時と違って中国はじめ新興国の勢いがあり、かつ経済の基盤が破壊されたわけではないので、もうちょっと早く回復するとは考えていますが、最悪の場合はこれくらいのインパクトを覚悟する必要があるのかもしれません。