
| ポルシェはかねてより「ボディカラー」を非常に重要な要素だと位置づけているが |
この記事のポイント(要約)
- ポルシェの新発明:カメラで撮った「服」や「リップ」の色をそのまま車体に反映させる技術
- BMWを超えたフルカラー:白・黒・グレーのみだったBMWの技術に対し、あらゆる色彩を目指す
- 「パラマグネティック(常磁性)」塗装:電圧によって色の粒子を動かすハイテク技術を活用
- ディーラーでの活用も:3万ドル超えの特注色を、購入前に「実車」でシミュレーション可能に
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「今日の気分で車を塗り替える」夢が現実になる?
ある意味では、クルマを購入するときに一番悩むのが「ボディカラー」。
しかしそんな悩みにとらわれずにクルマを注文し、もしもその日の服装や、ふと見かけた美しい紅葉の色、あるいはパートナーの口紅の色に愛車のボディカラーをその場で合わせられたら・・・。
そんな魔法のような話をポルシェが本気で実現しようとしていることが明らかになり、今回ポルシェが出願した特許は、単なる「着せ替え」の域を超えた、究極のパーソナライゼーション(個人最適化)技術として注目を集めています。
カメラが「色」を盗み、塗装が「変身」する仕組み
ポルシェの構想は、BMWが以前発表した「E-ink(電子ペーパー)」によるカラーチェンジ技術をさらに進化させたもので、しかし最大の特徴は「カメラシステムとの連動」にあります。
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BMWがどうやら本気で「電気的にボディカラーを自由に変更できる」Eインクを実用化するようだ。「直射日光が強ければ、車体色を黒から白へと変更し快適に過ごすことも可能になります」
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- 色をキャプチャ:車内または車外のカメラにて、たとえばオーナーの服装や周囲の景色を撮影
- 色を抽出:コンピューターが画像から「この色にしたい」という部分を特定
- 塗装を制御:抽出したカラーデータを「ペイントコントローラー」へ送信。車体に施された特殊な層が反応し、一瞬で色が変化
この技術には「パラマグネティック(常磁性)ラッカー」と呼ばれる、電圧によって粒子の並びを変えて発色を変化させる特殊な塗料やフィルムが検討されており、この技術を使用すれば「ボディカラー七変化」は夢物語ではなくなるようですね。
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概要と技術スペック:未来のカスタマイズ
ポルシェはこの技術を、車体への「直接塗装」だけでなく、より施工が容易な「ラッピングフィルム」のような形でも想定しているといい、その概要は以下の通り。
カラーチェンジ技術の概要
| 項目 | 内容・詳細 |
| 主な技術 | パラマグネティック(常磁性)塗装 / E-ink(電子ペーパー)技術 |
| 操作方法 | 車内のタッチスクリーン、またはカメラによる自動スキャン |
| 色の範囲 | 理論上、カラーパレット内の全色(BMWの白黒から大幅進化) |
| 主な用途 | 個人オーナーのカスタマイズ、ディーラーでの色シミュレーション |
| 修理の容易さ | フィルム形式(ラップ)を採用することで、修理や交換を容易にする構想 |
市場での位置付け:300万円超えの「色選び」を後押し
なぜポルシェはこれほどまでに「色」にこだわるのか?
それは、ポルシェのビジネスにおいて「カスタムペイント」が極めて重要な収益源だからで・・・。
- Paint To Sample(PTS): 225万円〜※モデルによって価格が異なる
- Paint To Sample Plus: 480万円〜※モデルによって価格が異なる
このように、ポルシェの特別色は非常に高額で、しかし色見本だけを見て数百万を払うのは勇気が必要なのもまた事実。
もしディーラーの展示車が顧客の要望に合わせて瞬時に色を変えて見せることができれば「成約率は劇的に上がる」ものと考えられます。
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結論:ラグジュアリーの定義が「固定」から「変化」へ
ポルシェのこの特許は単なる技術的な遊び心ではなく、それは「世界に一台だけの自分専用車」を求める富裕層の欲望に対し、最新テクノロジーで応える戦略的な一手です。
朝は落ち着いたグレーで出社し、夜は華やかなワインレッドでディナーへ向かう。
あるいは、お気に入りのスニーカーと全く同じ色の911でドライブを楽しむ。そんな「カメレオン」のようなカーライフは、もうすぐそこまで来ているのかもしれません。
そしてポルシェは創業当初から「ボディカラー」を「顧客の夢を叶える重要な要素」として位置づけており、上述のような「利益」を抜きにしても、ポルシェはこの技術をなんとか実用化したいと考えているのかもしれません。
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ポルシェはその75年の歩みについて「夢」「カラー」を重視。「夢を現実に変える人は、世界をより豊かで、大胆で、色彩豊かな場所にするのです」
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参考:BMWの技術との決定的な違い
BMWが披露した「iX Flow」は、Kindleなどと同じ電子ペーパー(E-ink)を使用しており、そのため「白から黒へのグラデーション」は得意ではあったものの、鮮やかな「赤」や「青」を出すのは非常に困難という現実も。
しかし今回のポルシェの特許は、より「色彩(Color)」にフォーカスしており、ラグジュアリーカーにふさわしい鮮やかさを追求している点が大きな相違となっています。
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参照:CARBUZZ


















