| ポルシェ「常に可能性を求め、より多くの顧客を獲得したいと考えている |
2009年以降、出ては消え去る「ポルシェ・パナメーラの2ドア版」のうわさ。
フロントエンジンの4座クーペということでかつての”928”の再来だとも言われており、しかし現在ではまだ実現していないモデルです。
ただ、ポルシェはパナメーラについていくつかのバリエーションを真剣に検討していることは間違いないようで、過去には「パナメーラ・カブリオレ」の特許が出されたことも。
そして今回、「新型パナメーラ発表にあたり開催されたオンラインカンファレンスの場で、ポルシェより”パナメーラ・クーペ”」を示唆する発言があったという報道となされています。
ポルシェはニューモデルに対して非常に慎重
今回報道を行ったのはオーストラリアのカーメディア「Motoring」で、これによると、ポルシェでパナメーラのプロダクトラインを管理するトーマス・フリーマス氏がパナメーラ・クーペ(あるいは928後継)について「我々は数年をかけ、(パナメーラ・クーペの)可能性について模索してきた。実際のところ我々は911という素晴らしいクーペを持っており、市場にはライバルも多い。そんな状況の中でパナメーラ・クーペを発売すべきかの結論は導き出せていないが、我々は常に新しい機会を模索し、新しい顧客を獲得したいと考えている。もし発売するとなれば、私はこれについて多くの実現すべきアイデアを持っている」と語った、とのこと。
なお、ポルシェは非常に慎重な会社であり、ニューモデルについては非常に長い期間をかけて調査そして開発を行うことでも知られます(カイエン・クーペについても何年も前から噂されており、ようやく登場した)。
よってポルシェがパナメーラ・クーペの可能性を延々調査していると聞いても不思議はないものの、ポルシェはニューモデルについて「過去のヘリテージ」と結びつける傾向があり、カイエンについてはかつて959でラリーに参戦したという「オフロードつながり」、718ケイマン/ボクスターだと「過去の718との4気筒つながり」、そして911のモデルチェンジについては「過去のデザイン要素を取り入れる」といった感じですね。
ただ、パナメーラだけは過去との接点がアピールされていないものの、これはポルシェが過去にサルーンを作っていなかったからで、「いたしかたない」部分もありそうです。
参考までにポルシェは1988年に「928の4ドア」版である「989」を1988年に公開していたことがあり、これがパナメーラの原型だとすれば、実際にパナメーラが2009年に発売されるまで、実に20年もの歳月を要したと考えることもできますね。
そして今回のパナメーラ・クーペの場合、ポルシェは「928」というヘリテージを持っているので、これと結びつけることも可能。
928の派生として考えられた4ドアがパナメーラのルーツだとすれば、パナメーラ・クーペはさらにそのルーツである928に回帰するということになり、ある意味で「パナメーラ・クーペは元来ポルシェらしい」クルマであるとも言えます。
ただ、928とパナメーラ・クーペが決定的に異なるのは「パナメーラはトランスアクスルレイアウトを採用していないため、パナメーラ・クーペも同様にトランスアクスルではないだろう」ということ。
これについては気にする人もいるかもしれませんが、現代の技術をもってすれば車体制御技術にて「トランスアクスルではないことの不利」を十分にカバーでき、お釣りが来るだろうとも考えています。
高級クーペ市場は壊滅状態
なお、高級クーペ市場には、現在「メルセデス・ベンツSクラスクーペ」「BMW 8シリーズ」「レクサスLC500」といったメンツが存在するものの、Sクラスクーペについては”新型の投入ナシ”とされています。
よって競合はBMW 8シリーズ、レクサスLC500の2車といったことになりそうですが、BMW 8シリーズはおそらく後継モデルがないと報じられており、もしポルシェがこれからパナメーラ・クーペを企画し発売したとして、その頃に残っているのは「登場から時間が経過したレクサスLC500が残るのみ」という可能性も。
ポルシェがこういった状況について、「もともと市場規模が小さいから参入すべきではない」と考えるのか、それとも「ライバルが少ない市場で春を謳歌する」と考えるのかは謎。
ただしポルシェは「販売台数のみ」を追求する会社ではなく(1台あたりの利益を求める)、けして人気セグメントとは言えないパナメーラのワゴンボディ「スポーツツーリスモ」を発売したところを見るに、その市場規模はさほど気にしない(市場は自分で作るものと考えている)のかもしれません。
参照: Motoring