メルセデスAMG One市販モデルの出力は予定の1,000馬力から1,200馬力へ？様々な問題をクリアし発売が目前に迫る

｜　さすがのメルセデスAMGでもF1のエンジンを市販車に転用するのは難しかったようだ　｜

さて、なにかと開発に手間取っていることが報じられるメルセデスAMG One。

開発が思うように進まない理由のひとつはそのエンジンとハイブリッドシステム。

メルセデスAMG OneにはF1由来の1.6リッターV6ターボエンジン、そして最低でも4つのモーターを持つハイブリッドシステムを搭載することになりますが、そもそも「高回転しか使用しない（というか高回転のみの使用が前提である）」F1のエンジンを公道走行に耐えうるよう再調整するのは非常に困難。

公道だと停止からタウンスピード、渋滞はたまた高速道路といった様々な環境を走行することになり、さらにはクルマの性格を考慮するとサーキットにまで対応する必要もあって、低回転から高回転まで幅広い範囲で十分なトルクを発生する必要があるわけですね。

ノイズ、CO2排出量も大きな課題

そしてF1のエンジンを積むという性質上、そのノイズやバイブレーションも大きな問題。

もともと快適性を考慮していないF1のエンジンを（ハイパーカーといえど）乗用車に積むということは非常にハードルが高く、エンジンが発生するノイズ、振動、そして熱への対応も現在進行中だと言われます。

なお、ちょっと前までは「アイドリング時のエンジン回転数が4000回転」だと言われていて、この状態だと当然ながらノイズやバイブレーション、熱は相当なものに。

さらにノイズについては、乗員に対してのみならず、騒音規制にも対処せねばならず、となると乗用回転数をなんとしても引き下げる必要もありそうです。

さらには高回転時に発生するであろう大量のCO2もまた問題となっており、こういった規制をクリアせねばクルマそのものを発売することも叶わず、とにかくAMG Oneの開発は困難の連続だと言えそうですね。

ただし悪い話だけではなく、直近の報道だと「全ての問題をクリアする目処が立った」とも報じられ、納車が2021年から開始されるとも。

おそらくは近いうちにニュルブルクリンクでの高速走行テストを開始すると言われていますが、もちろん発売に前後してニュルブルクリンク最速に挑戦することになるものと思われ、ランボルギーニ・アヴェンタドールSVJの持つ記録更新に挑むのは間違いなさそう（ただ、その前にメルセデスAMG GTブラックシリーズが先にアヴェンタドールSVJの記録を書き換えるかも）。

しかしながら「待った甲斐だけあって」市販版メルセデスAMG Oneの出力は予定していた1,000馬力を大きく超えて1,200馬力にも達すると言われており、これは長い開発期間を通じて得たノウハウや技術革新を取り入れた結果であるのはもちろん、開発を進めている間に「1000馬力級のスーパーカー/ハイパーカー」がいくつか登場してしまったため、そういった状況下において競争力を維持するための戦略なのかもしれません。

発売が難しいハイパーカーはメルセデスAMG Oneのみではない

なお、なかなか発売にまで漕ぎつけることが難しいハイパーカーも多く、先日世界最速を達成したSSCトゥアタラも開発にかかったのは10年以上。

そしてアストンマーティン・ヴァルキリーも開発が遅れており、「開発費がかさんでばかり」の状況だと言われていますね。

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