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フォルクスワーゲンがオンラインイベントを開催し重大事項を発表!「最高のバッテリーにて電動化レースでのポールポジションを獲る」。新型バッテリーにてEV価格は30-50%も下がる可能性がありそうだ

2021/03/17

フォルクスワーゲンがオンラインイベントを開催し重大事項を発表

| 韓国のサプライヤーはこの計画から除外され、「フォルクスワーゲンショック」が韓国で発生 |

さて、フォルクスワーゲンが「パワーデー」を開催するというのは既報のとおりですが、そのパワーデーにおける最大の目玉は「バッテリー工場の建設」。

フォルクスワーゲンはこの場にて「2023年から、角型の新しいバッテリーセルを導入する」「そのための工場を欧州にて6箇所建設する」「これによってバッテリーのコストを30~50%引き下げる」「2030年までに、この新型バッテリーを生産するEVの80%に搭載する」と発表しています。

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フォルクスワーゲンの発表によって株価が急落した企業も

なお、フォルクスワーゲンはかなり早い段階からエレクトリック化対策を進めており、これまでにはLGエネルギーソリューション、SKイノベーションからパウチ型バッテリー、CATLとサムスンSDIからは角型バッテリーの供給を受けていますが、今回の発表によって「パウチ型バッテリーを使用しなくなる」という見方が広がり、両社(LGエネルギーソリューション、SKイノベーション)の株価が暴落するという”フォルクスワーゲンショック”が発生。

とくにLGエネルギーソリューションについてはフォルクスワーゲン向けの納品が最大20%の割合を占めていたと言われ、フォルクスワーゲン分がなくなれば業績に与えるインパクトは「小さくない」と予想されます。

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フォルクスワーゲンはやはり本気だった

フォルクスワーゲンは新しい6工場にて年間240ギガワット分のバッテリー生産を計画しており、これは台数に換算すると250万台分。

いずれの工場にもパートナー企業が存在するようで、スウェーデンだと同国の「スノーボルト」との協業にて年間40ギガワット級の工場を建設すると発表していて(この工場では、プレミアムセグメント向けのバッテリーが製造される)、そのほかにもドイツ、南欧や東欧にも工場を建設予定。

ただしLGエネルギーソリューション、SKイノベーションといった韓国勢は今回の計画から外されたということになり、その理由は現在のところ語られていません。

参考までに、バッテリーはEVにおける「もっとも高価なパーツ」であり、車種にもよるものの、製造原価の60-70%を占めるというレポートも。

しかし今回フォルクスワーゲンは、これまで外部に頼っていたバッテリー調達を「自前」に切り替えるということになり、これは相当に前向きな判断だと言えそうです。

このメリットとしては、上述の通り「バッテリー価格の引き下げ」が大きく、これよにって競争力の高いEVを製造・販売できることに。

バッテリー供給を他社に頼っていた場合、今後世界中でEV需要が拡大してくるとバッテリーの受給が「需要過多」に傾き、よってバッテリーサプライヤーは強気で値上げを迫ることも考えられます。

しかし自前での生産だとそういった不安要素を排除でき、ともすると「ほかの自動車メーカーにバッテリーを販売することも可能」。

加えて、昨今自動車業界にとって大きな問題となった「半導体不足で車体の生産ができない」のと同様、「バッテリー不足で車体の生産ができない」状態も(バッテリーの自前生産の場合)最大限回避することが可能となりそうですね(素材が不足すればどうしようもないのですが)。

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フォルクスワーゲンは「最強」EVメーカーに

なお、これら新しい工場で生産されるバッテリーについては「エントリークラスで50%、その他のセグメントでは30%」の車両製造コスト引き下げが可能だといい、これは相当に強力な武器となりそう。

「その他のセグメント」とはプレミアムセグメントを指すのだと思われ、つまりプレミアムEVは「バッテリー以外の部分にもコストがかけられている」ということなのでしょうね。

こういったコスト低減については「製造とリサイクルが容易」といった点に起因するそうですが、フォルクスワーゲンいわく、これによって「ついに我々はEモビリティを安価にすること、ドライブテクノロジーを制することを可能にした」。

UBSのアナリストによると「2025年には、テスラが230万台、フォルクスワーゲングループが250万台を販売し、EVメーカーとしては最大手になる」とのことですが、テスラも「従来のバッテリーに比較して60%安価な」4680バッテリー生産のために工場を建設すると発表していて、まさに「バッテリーを制するものはEVを制する」ということになりそうです。

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フォルクスワーゲンの挑戦はまだまだ続く

なお、フォルクスワーゲンが今回発表した「新型バッテリー」はソリッドステートバッテリーではないといい、しかし新型バッテリー投入の数年後にはソリッドステートバッテリーを実用化するとコメントしており(2025-2026年くらい?)、つまりEVの性能は2023年から数年の間に「飛躍的に」向上することになるのかもしれません。

加えてフォルクスワーゲンはEVの使用をより快適にするため充電器の設置を急ぐとし、2025年までに、欧州にて18,000箇所の急速充電スペースを設置する、とも述べています。

フォルクスワーゲンCEO、ヘルベルト・ディース氏によれば「Eモビリティはもはや我々のコアビジネスだ。ゼロ・エミッション・モビリティ時代に向けたレースにおいて、我々はベストなバッテリー、ベストなユーザーエクスペリエンスによって、常にポールポジションを確保する」。

参照:Volkswagen

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