| この流れを考えると、ポルシェの株式公開は「ありそう」だ |
さて、今年2月頃にフォルクスワーゲンがポルシェの新規株式公開(IPO/上場)もしくは分離(スピンオフ)を検討中との報道がありましたが、今回は財務責任者のルッツ・メシュケ氏が公的に「IPOを検討中」とコメント。
その内容によると、現在フォルクスワーゲングループはポルシェのIPOについて協議を重ねているといい、そのメリットについてはフォルクスワーゲンの経営陣と監査役会によって共有されており、決定を持っている状態なのだそう。
もしポルシェが上場すれば、その価値は約9兆円
つまり現時点では上場が決定ではないものの、「限り無く決定に近い状態」だと考えてよく、いざ上場となると今年はじめの報道の通り「2022年」になるのかもしれません。
ルッツ・メシュケ氏によると、ポルシェが株式公開を行うとなれば、その市場価値は最大で700億ユーロ(日本円で9兆円相当)にものぼると評価されており、これはフォルクスワーゲンにとって「大きな魅力」。
なお、フォルクスワーゲングループはこれから一気に電動化へとシフトすることになり、それにかかる費用は「数千億円」と言われます。
これはもちろん研究開発費用に加え、先日発表されたバッテリー工場の建設、さらには充電ポイントの設置等多岐にわたる費用を総合したもの。
フォルクスワーゲンは上場後もポルシェ株式の半数を保有か
仮にポルシェが上場したとしてもフォルクスワーゲンはポルシェの株式の過半数を所有し続けると見られており、というのも現在フォルクスワーゲンの利益の42%を稼いでいるのがポルシェであり、「金の卵を生む鶏」を手放す理由が見当たらないため。
上場に際してはフォルクスワーゲングループ、ポルシェの重役たちが相当数の株式を保有することになるものと思われ、フォルクスワーゲンが50%を持つとして、市場に売り出される株式が「25%くらい」と考えたとしても2兆円くらいがフォルクスワーゲングループに転がり込むことになり、これは他社やほかグループに対して(そのぶん投資できる金額や余裕が生じるので)大きなアドバンテージを得ることになると想定されます。
ちなみにフォルクスワーゲングループは先日エレクトリック化に関する発表をいくつか行っており、これを市場が好感し(フォルクスワーゲンの)株価が7%ほど上昇することに。
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これによってフォルクスワーゲンはさらなる「余裕」を得たということになりますが、この余裕によって「市場に売りに出すポルシェの株式」を抑えることができ、ポルシェが上場した後にも「ポルシェの株価が上がるのを待って」チョコチョコと株式をリリースしてゆけば継続的に多額の資金を獲得できそうでもありますね。
証券アナリストの間では「将来的にEV製造において、フォルクスワーゲンとテスラがビッグ2になる」という味方が強いようですが、フォルクスワーゲンはポルシェのIPOによって、さらなる可能性を増すことになりそうですね。
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