| BMWはガソリン車との共通プラットフォームの使用にてEVを急速に拡充 |
CEO交代後、その戦略が大きくシフトしたようだ
さて、BMWが年次カンファレンスにて「iX1」のティーザー画像を公開し、年内に発表するとアナウンス。
これは「i」という名称からもわかるとおりピュアエレクトリックカーということになりそうですが、おそらくは(というか確実に)次期X1とプラットフォームやボディパネルを共有することになると思われます。
ちなみにBMWはこれまで、電気自動車については専用のプラットフォームやボディパネルを与える方向性を採用していたものの、iX3にてX3と共通のプラットフォームを採用した電気自動車を発表し、その後のi4では4シリーズ・グランクーペと車体を共有することに。
なぜBMWは方針を転換?
さらにi5は新型5シリーズと、i7は新型7シリーズとプラットフォームを共有することになると言われますが、これは以前と比較すると大きな方向転換だと言えそうです。
その背景については定かではないものの、「思ったよりも長くガソリン車が生き残りそうなこと」「電動化技術は過渡期にあり、まだまだ発展(変化)するであろうこと」から、今の段階ではガソリン車用プラットフォームを「間借り」し、ソリッドステートバッテリーの実用化含め、ある程度電動化技術が成熟した段階でEV専用プラットフォーム(ノイエクラッセ)に切り替えるんじゃないかと考えています。※もちろん、厳しい競争の中で、投資を最小限に抑えて販売価格を下げつつも利益を最大化する狙い、そして既存プラットフォームを使用することで他社に先駆けてEVを大量に投入するという意図もあるのだと思う
-
BMW「新型V6、V8ガソリンエンジンを開発中」。おそらくBMWは高コストなPHEVを嫌い、ガソリンエンジン単体で排ガス規制に挑むようだ
| 非常に困難な道のりだとは思うが、これが実現できればメルセデス・ベンツを大きく引き離すこともできそう | ただし常識的に考えると、とても将来の排ガス規制はガソリンエンジン単体で乗り切れるものではない ...
続きを見る
なお、メルセデス・ベンツもこれに近い動きを見せていて、「EQA」については当初の方向性から大きくシフトし、EV専用設計の車体ではなく、既存GLAのプラットフォームを使用した電気自動車として登場しています。
-
新型メルセデス・ベンツEQA発表!同社の電気自動車の中ではもっともコンパクト、そしてもっとも安価。欧州では484万円から
| EQAの車体はメルセデス・ベンツGLAを流用 | さて、メルセデス・ベンツが新型EV、EQAを発表。メルセデス・ベンツが展開する電気自動車ブランド、「EQ」ではもっとも小さくもっとも安価なラインア ...
続きを見る
反面、フォルクスワーゲンやロータスは「EV専用プラットフォーム」の開発を急ぎ、今後はすべてEVへと早急にシフトしてゆく計画を発表しており、ここ最近になって各社の戦略に差が出てきたようにも感じます。
新型BMW iX1はどんなクルマに?
そこで本題のiX1ですが、八角形に近形状をもつキドニーグリル(左右連結型)、そして2つの鉤型発光エレメントを持つデイタイムランニングランプ、そしてやはり8角形に近いフロントバンパー上のインテークを確認することができ、ここ最近のBMW各モデルとは異なり「ボクシー」な印象を受けます。
なお、新型M2クーペもやはり「ボクシーになる」可能性が高く、BMWはシリーズ間においてデザインの差別化を図るか、もしくは今後ボクシーな方向へと動くのかもしれません。
-
新型BMW M2はM3/M4とは異なり「レーシングカー風」に?中国より、新型M2用とされるフロントバンパーの画像がリーク
| 最近のBMWのデザインはけっこうカッコいいとボクは思う | エレクトリック時代になると、これほどまでに開口部の大きなバンパーはもう採用されないかもしれない さて、BMWは新型2シリーズ・クーペを発 ...
続きを見る
そして新型iX1には(すでにスパイフォトで確認されていることでもわかるとおり)カーブドディスプレイとオペレーティングシステム8を持つデジタルダッシュボードが与えられるものと思われます。
加えてBMWはiX1につき「広々としていながらコンパクト」と表現しているので、室内空間は現行X1よりも拡大されることになるのかも(ボディ形状としては現行モデルと変わらないように見える)。
エレクトリックパワートレインの出力は不明ではあるものの、新型BMW iX1には第5世代のeDriveテクノロジーが搭載さ、WLTP基準で256~272マイル(412~438km)という予測値も公開されていて、この航続可能距離からするとバッテリーサイズを抑えて「価格も抑えめ」になると考えてよさそうですね。
BMWによると、X1およびiX1は「ハイボリュームプレミアムコンパクトセグメント」に位置し、より大型のX3やiX3と同様の戦略を用い、さまざまなタイプのパワートレインを提供することで消費者を獲得する、とのこと。
使用されるプラットフォームは次世代ミニにも使用されるUKL/FAARになるものと思われ、これはガソリン、ディーゼル、プラグインハイブリッド、ピュアエレクトリックパワートレインに対応するとされており、これもBMWの戦略の変化を表している部分なのかもしれません。
一方、BMWは2022年に電気自動車を15モデル展開し、現在のセグメントの90%をカバーするといい、その次のステップは、2025年頃に登場するEV専用プラットフォーム「Neue Klasse(ノイエ・クラッセ)」ということについても触れています。
こちらもCHECK
-
BMWのデザイナーが「電動化とデザイン」について語る。「これからのデザインは大胆で意味のあるものでなくてはならない。デザインによって持続可能性を表現してゆく」
| たしかにBMWは以前からデザイン、そしてデザインによる排他性の演出にこだわってきた | ついつい見た目の奇抜さに惑わされがちだが、実際にはデザインと機能とが密接に結びついている さて、なにかと話題 ...
続きを見る
BMWの年次カンファレンス動画はこちら
参照:BMW Group