｜ まだまだメルセデス・ベンツは「EV時代のAMG」のあり方について模索段階なのかもしれない ｜
パフォーマンスを追求すると、EVにとってのアキレス腱「航続可能距離」が削られるというジレンマも
メルセデス・ベンツは新型エレクトリックSUV「EQE SUV」を発表したところですが、続けてそのAMG版である「メルセデスAMG EQE 43 4Matic（376馬力）」「メルセデスAMG EQE 53 4Matic+（625馬力）」を発表。
メルセデスAMG EQE 43 4Maticは（AMGではないEQE SUVのトップレンジである）EQE 500 4Maticに比較して84馬力のパワーアップを果たしており、こにれよって0-100km/h加速4.3秒、最高速度210km/h（リミッターにより制限）を達成することに。
一方のメルセデスAMG EQE 53 4Matic+では、AMG専用のモーターを採用し、これは巻線、積層、インバーターが特別仕様となり、さらにはAMG専用の冷却装置とトランスミッションオイル熱交換器を備えます。
なお、オプションのAMGダイナミックプラスパッケージを装着すると「レーススタート」と「ブースト」機能をアンロックでき、バッテリーの温度と充電状態に応じ、これらレーススタートとブースト・モードではパワー677馬力、トルクを1000Nmにまで増強できるのだそう。
この場合の0-100km/h加速は3.5秒、最高速度は240km/hをマークする、とアナウンスされています。
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EVでもやはり走りは「AMG」
そしてメルセデスAMG EQE 43 4Matic / メルセデスAMG EQE 53 4Matic+の外装はしっかり「AMG仕様」となり、フロントグリルは平面ながらも縦型スラットにてパナメリカーナグリルを再現。
フロントフード上のエンブレムはスリーポインテッドスターではなく「AMG」バージョンです（最近の新型AMG各モデルからこの仕様になっている）。
もちろん、「パワーアップして見た目がAMGっぽくなった」だけでは真のAMGとはいえず、よってEQE SUV43/53ともに4WDと後輪操舵、EQS AMGやAMG GT 4ドアクーペに搭載されているアダプティブダンピングシステム付きAMG Ride Control+エアサスペンションを標準装備。
装着されるホイールは21インチ、タイヤはミシュラン・パイロットスポーツEV MO1（20インチと22インチのホイールがオプションで用意される。ダウンサイズがオプション設定されるのは珍しい）。
ブレーキシステムはそのパワーと車体重量（2,600kg）に見合うよう、フロントに6ピストンブレーキキャリパーと415×33mmサイズのブレーキディスク、リアにシングルピストンブレーキキャリパーと378×22mmサイズのブレーキディスクを備えるほか、オプションでセラミックブレーキを用意し、これにはAMGがチューニングした電気式の「iBooster」なるブレーキブースターが組み込まれている、とされています。
なお、メルセデスAMG EQE 53 4Matic+には、AMGライドコントロール＋に加えてAMGアクティブライドコントロール（前述のAMGライドコントロール＋と混同しないように）が装備され、これは電気機械式アクチュエーターにてロールバーの連結と切り離しを行うというロジックを持ち、悪路ではスタビライザーバーを分離して左右ホイールの動きを大きくし、加速の際には、2本のアンチロールバーを結合してボディのロールを抑えるという仕組みを持つようですね。
なお、ガソリン時代のAMGモデルは「ワン・マン、ワン・エンジン」という特徴があり、エンジンルームにそれを示すプレートが装着されていたものの、EV時代のAMGには「エンジン」がなく、かつ一人のエンジニアが手組みにてモーターを組み立てるということはないと思われるため、その特別感が薄れてしまうのは否めないかもしれませんね。
バッテリーサイズはEQEシリーズ共通にて90.6kWhの容量を持ち、メルセデスAMG EQE 43 4Maticの推定航続距離は431～488km（まだ正確な数値が届け出られていない）だとアナウンスされ、出力向上の代償としてEQE 500の推定値から約6％低下しています。
メルセデスAMG EQE 53 4Matic+のWLTP推定航続距離は375～470kmなので、EQE 500より20%近く悪化していますが、これもやはり「パワーとの引き換え」ということになりますね。
メルセデスAMG EQE 43 4Matic / メルセデスAMG EQE 53 4Matic+のインテリアはこうなっている
そしてこちらはメルセデスAMG EQE 43 4Matic / メルセデスAMG EQE 53 4Matic+のインテリア。
張り材についてはマイクロファイバーが標準で、ナッパレザーはオプションだとされていますが、これはEVということで天然素材の使用を避け、環境負荷を小さくしたかったからなのかもしれません。
AMGパフォーマンス・ステアリングホイールには、他の最新AMGモデル同様にフラットボトム形状が与えられ、パドル、ボタンやイッチ、ディスプレイが装備された「ハイエンド」仕様。
カーボンファイバー製のトリムはオプション、ハイパースクリーンはオプション扱いとなっています。
なお、車内に流すサウンドとは別に「AMGサウンドエクスペリエンス」なる、人工的なサウンドを車外に放出する機能もあり、このAMGサウンドは、「バランス」「スポーツ」「パワフル」の3つから選択が可能。
さらにはドアロックやアンロック時の音など、さまざまなサウンドをユーザー側にて設定することができますが、このフェイクサウンドを歩行者含む周囲に聞かせたくない場合、もちろんオフにすることも可能です。
メルセデスEQE SUV「AMG」のワールドプレミア動画はこちら
参照：Mercedes-AMG