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メルセデスAMGが新開発V8エンジンを「3段階」で投入へ。「マイルド、ミディアム、クレイジーがあり、現在投入しているものは最もマイルドなものに過ぎません」

メルセデスAMGの「V8」バッジ
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本気を出したメルセデス・ベンツの「反撃」に期待したい

先週発表された、アキシャルフラックス(軸方向磁束)モーターを搭載し1,000馬力オーバーを誇る次世代EV「AMG GT 4ドアクーペ」のニュースは記憶に新しいところではありますが、メルセデスAMGは決して電動化一本に絞ったわけではなく、さらなる隠し玉が潜んでいることが明らかに。

AMGの最高経営責任者(CEO)であるマイケル・シーベ氏は同社が依然としてガソリンエンジンの開発に全力を注いでいることを改めて明確にしており、世界屈指の出力密度を誇る「あの4気筒エンジン」の段階的廃止を進める一方、ファンの魂を揺さぶる新開発の4.0リッターV8ツインターボエンジンを投入することに言及しています。

しかもこの新型V8エンジンについては、投入されるモデルのキャラクターに合わせて「マイルド」「ミディアム」、そして限界を極めた「クレイジー」の3つの仕様(味付け)が用意されるといい、ここではこの新型V8エンジンの詳細と、それに伴うAMGのエンジンラインナップの大胆な整理・統合戦略について考えてみましょう。

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この記事でわかること

  • 新開発V8は3仕様: 通常のメルセデス・ベンツ用、AMG用、そして超過激な「クレイジーAMG用」の3段階で展開
  • フラットプレーンクランクの採用: 新型Sクラスで初搭載された高回転型V8の技術をベースに、さらなる高出力を狙う
  • 4気筒(M139)の段階的廃止: 驚異の技術だった2.0L直4ターボは、ユーザーの要望と環境規制(Euro 7)のコスト障壁により廃止へ
  • 直6(「53」バッジ)の拡大: 従来の「43」や一部の4気筒「63」に代わり、直列6気筒エンジンが主要モデルへ広く導入
  • 超限定「ミトス(Mythos)」への搭載: 世界限定30台のハイパーカー級コレクターズモデルに最高峰のV8が与えられる
メルセデスAMG GT 63 Pro(ブラック)のフロントグリル
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新開発V8に用意される「3つの顔」とフラットプレーンクランクの衝撃

メルセデス・ベンツCEOであるオラ・ケレニウス氏、AMGのマイケル・シーベCEOが明かした情報によると、新しいV8エンジンは以下の3つのフォームで製造されるそうですが、「マイルド」にあたる4.0リッターV8ツインターボエンジンは2026年型として改良された新型Sクラス(S 580)に先行搭載済みとなっています。

「メルセデス・ベンツ仕様」「AMG仕様」、そして「ゴー・クレイジー(理性を失った)AMG仕様」の3種類だ。

このエンジンの最大の特徴は、一般的な高級V8セダンに用いられるクロスプレーンではなく、クランクピンが180度対向して配置される「フラットプレーンクランク」を採用している点。

本来、コルベットZR1やフォード・マスタングGT350、フェラーリのV8のような、高回転と官能的なサウンドを追い求めるスーパースポーツ専用の技術ではありますが、メルセデス・ベンツは(フラットプレーンクランク特有の)振動や騒音といったデメリットを完全に克服し、ラグジュアリーセダンであるSクラスに対し、「効率とレスポンス向上のため」に投入することに。

フェラーリ・アマルフィに搭載されるV8ツインターボ
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正直これは「驚くべき」展開であり(通常、高級セダンにフラットプレーンクランクV8を積まない。マセラティでさえ、フェラーリから供給を受けるV8をクロスプレーンに変更していた)、しかしメルセデス・ベンツがこれをやってのけたのは「それだけ本気」ということを示していて、さらには「これくらいやらないと4気筒化で失った評判を取り戻すことはできないだろう」と考えたのかもしれません。

なお、シーベCEOは「製造工程をシンプルにするため、エンジンバリエーションを現在の10種類から4種類へと大幅に削減する」とも語っていて、この新型V8は「4種類」のうちのひとつとして機能し、今後のAMGの最高峰を支える大黒柱となるわけですね。

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新型V8エンジンのバリエーションと予測スペック

エンジン仕様主な搭載(予定)モデル予測最高出力 / トルク特徴・キャラクター
メルセデス・ベンツ仕様 (マイルド)新型 Sクラス (S 580) など530 hp / 750 Nm効率とレスポンスを追求したラグジュアリー仕様。
AMG仕様 (ミディアム)新型 AMG CLE 63 クーペ / 大型SUV約 650 hp従来のV8を凌駕する、AMG伝統のスポーツ性能。
クレイジーAMG仕様 (ハード)CLE 63 ミトス (Mythos) / GT Black Series700 hp 〜 800 hp+ (ハイブリッドアシスト含む)世界限定30台のコレクターズモデル等に積まれる怪物仕様。
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超限定「ミトス(Mythos)」とCLE 63への搭載で市場はどう動く?

この新しいV8がまずどこに搭載されるのかはすでに明らかになりつつあり、「ミディアム」仕様のファーストバッターは間もなく登場する「メルセデスAMG CLE 63 クーペ」。

投資家向けイベントで披露されたティザーでは、すでに発売されている直6モデル「CLE 53」よりも明らかにワイドで好戦的なフェンダーと、Black Series(ブラックシリーズ)を彷彿とさせるアグレッシブな空力ボディが与えられていることが確認されています。

そして、ファンが最も注目する「クレイジー」仕様については、メルセデス・ベンツが立ち上げた超高級・極少生産の新ブランド「ミトス(Mythos)」の第2弾となる「CLE 63 ミトス」に搭載される可能性が濃厚だといい、この「ミトス」はわずか世界限定30台のみが生産される”サーキット仕様”の怪物クーペで、価格は1億円オーバーとも噂されています(そして驚くべきことに、この30台は、メルセデス・ベンツの最重要顧客たちによってすでに「完売」しているという)。

メルセデスAMG CLEミトスのプロトタイプ(フロント、走行)

Image:Mercedes-Benz

メルセデスAMG CLEミトスのプロトタイプ(リア、静止)
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4気筒「63」の失敗と、直列6気筒(53バッジ)の拡大

今回のV8大復活の裏には、メルセデスAMGが近年進めてきた「ダウンサイジング戦略」への大いなる反省があり、メルセデスAMGはコンパクトながら最高出力469馬力を叩き出す「M139」2.0リッター直列4気筒ターボエンジンを開発し、C 63 S E-PERFORMANCEなどに搭載しています。

リッターあたり出力はあのケーニグセグにも迫る技術的偉業ではあったものの、伝統的なAMGファンからは「V8の重低音とエモーションがない」と不評を買う結果となってしまい、さらには欧州の新たな排出ガス規制(Euro 7)への適合コストが莫大になることも重なり、メルセデスAMGはこの4気筒ハイパフォーマンスエンジンの段階的廃止(フェーズアウト)を決定したというのが直近の流れ(新開発なのにユーロ7へと適合できないことがむしろ驚き)。

今後(V8を搭載するほどスポーティでも高級でもない)ミドルクラスのモデルには”洗練された”直列6気筒エンジン(「53」バッジ)が拡大採用されるとのことで、これまで「43」バッジが付いていたモデルや、4気筒化されていた「63」モデルのポジションは、この強力な直6ユニットへと置き換わっていく方針であることについても触れられています。

メルセデスAMG GT 63 Proのリアバッジ
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メルセデスAMGの「V8」バッジ
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【知っておきたい自動車雑学】なぜ今「フラットプレーンクランク」なのか?

ここで今回AMGが採用した「フラットプレーンクランク」について少し掘り下げてみる必要があり、高級車のV8エンジンといえば、ドロドロとした重低音が心地よい「クロスプレーン」が一般的で、ではなぜ「メルセデスAMGはあえてレーシングカーのようなフラットプレーンを選んだのか」。

  • 圧倒的な排気効率とレスポンス: 点火順序が左右のバンクで交互(180度ごと)になるため、排気干渉が起きず、ターボチャージャーへの排気ガスの送り込みが非常にスムーズになる。これにより、アクセルを踏んだ瞬間のレスポンスが劇的に向上
  • 高回転化と軽量化: クランクシャフト自体のウェイトを軽く作れるため、エンジンが上まで一気に吹け上がる
  • 他社での採用例: アストンマーティンが次世代ハイパーカー「ヴァルハラ(Valhalla)」用にAMG製V8をチューニングした仕様では、なんと817馬力を発生させており、つまり、この基本骨格があれば、ハイブリッドシステムとの組み合わせ次第で、将来の「GT ブラックシリーズ」などで800〜900馬力オーバーの領域へ容易に到達できるポテンシャルを秘めている

かつて大排気量NA(自然吸気)、6.3L V8で世界を震撼させたメルセデスAMGではありますが、電動化時代に突入した今、あえて「最もエモーショナルなV8」を作り直してきたことは効率の数値(ストップウォッチの速さ)だけでは測れない「自動車の官能性能」をプレミアム市場が求めている証拠を示すもので、メルセデスAMGがそれをよく理解していることの証左にほかなりません。

メルセデスAMG GT 63 Proのテールパイプ
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結論:電動化を進めつつも、AMGは「音とエモーション」の刃を研ぎ続ける

メルセデスAMGが下した今回の決断は、エコや電動化という時代の波にただ流されるのではなく、顧客の声(フィードバック)に真摯に耳を傾けた結果でもあり、1,000馬力を超える次世代EVで未来のハイパフォーマンスを示す一方、3つの異なるキャラクターを持つ新型V8フラットプレーンクランクエンジンを投入し、内燃機関の頂点を極めるという二刀流こそが”これからのメルセデスAMGの戦い方”ということになり、BMW「M」は”眠れる獅子”を起こしてしまったことに後悔するハメになるのかも。

標準のAMG仕様で約650馬力、そして限定の「ミトス」や将来のブラックシリーズで700馬力以上の牙を剥く新型V8。アファルターバッハの猛獣たちが奏でる「新しい咆哮」がストリートやサーキットに響き渡る日が今から待ち遠しくてならない、といったところでもありますね。

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参照:CARBUZZ

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