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生産わずか670台、メルセデス・ベンツSLRマクラーレン・ロードスターが競売に。「メルセデス、AMG、マクラーレン」のトリプルコラボで誕生した唯一のオープンカー

2022/11/12

| おそらく今後、この3者によるコラボレーションは二度と実現しないだろう |

そのエンジニアリング、スタイリングなどコレクターズアイテムとしての価値は非常に高い

さて、2003年に発表され、ある意味ではスーパーカーの新しい基準を打ち立てた「メルセデス・ベンツSLRマクラーレン・ロードスター」がオークションに登場。

このクルマはメルセデス・ベンツSLRマクラーレンのオープンモデルという位置づけで、メルセデス・ベンツSLRマクラーレンそのものは「(1995年から一緒にF1に参戦していた)メルセデス・ベンツ、AMG、マクラーレン」の3社が共同開発したという他に例を見ない一台であり、1999年にヴィジョン・スーパー・ライヒト・レンズポート(スーパー・ライト・レーシング)コンセプトとして発表され、その後市販モデル「メルセデス・ベンツSLRマクラーレン」として世に送り出されています。

Mercedes-Benz-SLR-McLaren (16)

当時、ミカ・ハッキネンがこのチームによる初のF1タイトルを獲得した数ヵ月後に正式発表され、2003年初頭から受注を開始し、2004年モデルとして製造が行われていますが、その後2007年に、オープンモデルとしてこのメルセデス・ベンツSLRマクラーレン”ロードスター”が追加されることとなったわけですね。

目指したのは「ラグジュアリーなグランドツアラー」

このメルセデス・ベンツSLRマクラーレンにおいて興味深いのは、(F1に参戦するブランドのジョイントであったにもかかわらず)サーキットでの走行性能を追求したピュアスポーツではなく、「高級なグランドツアラー」として企画されたこと。

メルセデス・ベンツ(とAMG)とマクラーレンが目指したのは競合車を容易に凌駕し、かつ高性能で快適、かつラグジュアリーなクルマであったといい、トランスミッションはATのみであったことや、「自動車電話」が付属していたことからもそれをうかがい知ることが可能です。

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搭載されるのは最高出力626psのスーパーチャージャー付きV型8気筒エンジン、これに組み合わせられる5速スピードシフトATは、AMGが開発・組み立てを担当し、これによってメルセデス・ベンツSLRマクラーレンは0-100km/h加速3.8秒、1/4マイル加速11秒強、最高速度330km/hを達成しており、この圧倒的な速さを制御するため、センソトロニック・ブレーキ・バイ・ワイヤーが採用され、カーボンセラミックディスクブレーキと自動エアブレーキも装備されることに。

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これらのシステムが一体となり、時速193km/hから停止まで要する距離をわずか73メートルにまで抑えていますが、このほか優れたハンドリングを実現するため、V型8気筒エンジンをカーボンファイバー製モノコックシャシーの後方に配置し(つまりはフロントミッドシップ)、完璧に近い重量配分の実現に加え、このクルマの特徴ともいえる長大なボンネットを実現しています。

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サイドには特徴的なギル(エラ)が設けられ・・・。

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エキゾーストパイプはサイド出し。

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ホイールはタービン形状。

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ドアミラーも専用品となり、ほかのメルセデス・ベンツとは(外観での)共有パーツが一切見受けられないようですね。

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なお、シフトノブにはミサイル発射スイッチよろしく、フラップ付きのエンジンスターターボタンが内蔵されています。

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メルセデス・ベンツSLRマクラーレン・ロードスターはルイス・ハミルトンも購入

その後2007年に追加されたのが電動断熱ソフトトップを備えたメルセデス・ベンツSLRマクラーレン・ロードスターで、当時からマクラーレン・メルセデスのF1ドライバーであったルイス・ハミルトンもこのクルマをオーダーすることに。

なお、スイス・ハミルトンは、このクルマが納車されてから数ヵ月後の2008年11月に7度目となるドライバーズタイトルを獲得しており、メルセデス・ベンツSLRマクラーレンはクーペ、ロードスターともに「F1における成功」をそのまま表現するかのようなクルマだと言えるかもしれません。

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SLRマクラーレン・ロードスターは、2007年8月から2009年5月にかけ、わずか670台のみが生産されていますが、この個体は米国仕様となり、2007年10月29日にジョージア州オーガスタのメルセデス・ベンツに割り当てられています。

ボディカラーは、クリスタルローライトシルバーメタリック(977U)、セミアニリン・ブラックとエクスクルーシブ・レッドの2トーン・レザー、コントラスト・ステッチ、カーボンファイバーパネル、刺繍入りヘッドレスト、ダークレッドのファブリック・ソフトトップが装着され、さらにはレッドにペイントされたブレーキキャリパーやエクストララージシートなどのファクトリー仕様が追加され、当時の希望小売価格は514,000ドルにものぼったようですね。

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この車両は、2009年7月にペンシルバニア州で社用車として初めて登録され、その後2010年から2014年7月にかけてフロリダ州ネープルズのメルセデス・ベンツによって徹底的にメンテナンスを受けたことが示されており、その後に現在のオーナー(クゥエート在住)が購入した、と記載されています。

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このオーナーは自らのコレクションに加えて丁重に保管しており、数回にわたるエンジンオイル含む油脂類の交換、新しいバッテリー、フードストラット、スターターバッテリーへの交換も行われている、とのことで、つまりこの個体は新車時からずっと正規ディーラーにて定期点検を受けているということになります(現オーナーによるメンテナンスはすべて、クウェートの正規ディーラーであるアルビシャー&アルカゼミ・メルセデス・ベンツが独占的に行っている)。

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SLRロードスターは、メルセデス・ベンツ、AMG、マクラーレンというモータースポーツの3巨頭が共同開発した「唯一の」オープントップモデルであり、さらにはメルセデス・ベンツらしい優雅なスタイリングを持ち、かつ印象的なカラーコンビネーションによって仕上げられ、今後長きにわたりコレクターズアイテムとして高い価値を誇ることは間違いなさそうですね。

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参照:RM Sotherby's

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