| フェラーリ812tdfはこれからも継続して価値を上げ続けるだろう |
このフェラーリ812tdfは一風変わった「エレガント」仕様
さて、フェラーリはピュアエレクトリックハイパーカーの発売を示唆していますが、そんな中にあってもフェラーリのアイコンであり続けるのが「V12エンジン」。
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いっときはV8ミドシップモデルに人気を奪われつつあったものの、最近ではガソリンエンジンの終焉が身近に迫っているということもあってV12エンジンが再注目されており(加えて多くの自動車メーカーがV12エンジンを廃止しつつある)、とくにハードコアモデルはこれまでにないほどの高い相場にて推移しています。
フェラーリF12tdfは非常に高い評価を獲得
今回オークションに出品されるフェラーリF12tdfはF12ベルリネッタのハードコアモデルに相当しますが、この「tdf」は「ツールドフランス(Tour de France)」を意味しており、これは1950年代後半、自動車ロードレースの「ツール ド フランス」でみごと連勝を達成した250 GTベルリネッタ・コンペティツォーネに付けられたニックネーム。
フェラーリF12tdfは2015年にムジェッロ・サーキットで開催されたフェラーリの恒例イベント「フィナーリ・モンディアリ」で発表されていますが、その当時のフェラーリでは最もパワフルな自然吸気エンジンを搭載し、フェラーリのトップクライアントにのみ購入の機会が与えられています。
フェラーリF12tdfはサーキット走行に特化した公道走行可能なモデルとして設計され、すでに高い先進性を持っていたF12ベルリネッタに対しに多くの改良が加えられたことが大きな特徴。
6.3リッターV型12気筒エンジンは780馬力にまでチューンアップされ、ハイブリッドハイパーカーのラフェラーリを除けば、それまでのどのフェラーリをも凌駕するパワーを発揮しています。
ベースとなるF12はスカリエッティとの共同開発となるスペースフレームシャーシ(12種類のアルミニウム合金にて構成される)を持ち、先代にあたる599よりも20%剛性が向上し、70kg軽量化されたと言われていますが、この剛性強化によってF12は重心を約1.5センチ下げることができ、さらにはほぼ完璧な前後重量配分を実現。
F12tdfではカーボンファイバーを多用することでさらに110kgの軽量化を実現しており、パワーアップと相まって非常に高い戦闘力を発揮します。
トランスミッションは7速デュアルクラッチ式自動変速(パドルシフト)、駆動輪は後輪のみとなっていますが、F12ベルリネッタに比較してギアレシオは短く、かつ変速スピードが短縮されることで素早いギアチェンジが可能となっています。
さらには800馬力近い尋常ならざるパワーを制御するため、ラフェラーリに採用されたモノブロックキャリパーとカーボンセラミックディスクブレーキを装着し、さらにはフェラーリとして初めて4輪操舵を標準装備することに。
フェラーリF12tdfの外観上の特徴としては、ワイドなサイドシルと車体側面に沿って空気の流れを整える「エアロブリッジ」が挙げられ、これらによってアグレッシブなルックスを獲得していますが、ハイトの高いリアスポイラーとアクティブリアディフューザーにより、ダウンフォースはノーマルのF12ベルリネッタに比べて87%向上しています。
こちらはかつてのフェラーリ250系を意識した「3本スリット」。
このフェラーリF12tdfにはホワイトとネイビーのリバリー(ストライプ)入り。
458スペチアーレに比較的よく見られるパターンでもありますね。
フェラーリF12tdfはラフェラーリよりも速かった
これらの改良により、F12tdfは、カヴァリーノ・ランパンテのバッジを付けたクルマの中で最も速い一台となり、0-60加速2.9秒、最高速度211mphを誇り、さらにはフェラーリの所有するフィオラノテストコースにおいてラフェラーリを1.3秒差上回るタイムを記録したのも特筆すべき点。
上述の通り、フェラーリF12tdfはいずれも希少なクルマではありますが、今回出品される個体(シャシーナンバー224694)は、レッドとブラックのツートンレザーインテリアにロッソ・スクーデリアボディカラーというフェラーリらしい仕上げを持っています。
なお、多くのフェラーリF12tdfはアルカンターラ仕上げのスパルタンな内装を持つのに対し、この個体は「フルレザー」にレッドとブラックの「デイトナ」スタイルシートを組み合わせた豪華な仕様となっていることが大きなトピックであり、さらに内外装にはカーボンファイバーがふんだんに使用されてレーシーさも併せ持つことに。
おまけにエンジンカバー、エアフィルターボックスカバー、フォグランプ&ヘッドランプバケット、フロアプレート、リアシェルフなどに、カーボンファイバーが用いられており(オプション)、さらにはハードケースとソフトケースから成るラゲッジフルセット、AFSアダプティブヘッドランプ、Apple CarPlay対応、レザートリムにて仕上げられたミッショントンネル、カラーシートベルト、ゴールドのブレーキキャリパー、リバリー(ストライプ)といったオプションも。
ちなみに消化器すらもエレガントなレザーケース入り。
これらのオプションは合計で17万ドル以上に達していて、この個体の支払総額は658,249ドルという記録的な数字であることも(出品時のシートに)記載されています。
このフェラーリF12tdfは、過去2年の間に、カリフォルニア州のフェラーリ・オブ・ランチョ・ミラージュでオイルやブレーキフルードの交換、エアコンの整備が行われており、2022年7月には、同じフェラーリ・ディーラーによってタイヤ(ミシュラン・パイロット・スポーツ)とバッテリーとが交換され、そのコンディションの良さにも言及されています。
フェラーリF12tdfは、間違いなく史上最高のグランドツアラーであり、フェラーリにおけるV12モデルの名声を取り戻した一台ではありますが、その優雅さを継承したインテリア、そして数々のオプションを持つこのF12tdfはコレクターズアイテム中のコレクターズアイテムと言ってよく、これまでに類を見ない高値にて落札される可能性もありそうですね。
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