| そして最も大きな問題は「誰が充電器を設置するのか」である |
さらには都市部などでは「設置する土地がそもそもない」という問題も
さて、EV普及を妨げている大きな理由は「車両の割高さ」と「充電インフラ不足」だということが様々な統計から明らかになっていますが、今回「米国では、EV市場の成長にインフラが追いつくためには、2025年までに国内のEV充電器の数を最低でも4倍に増やす必要がある」という調査結果が公開されることに。
これによれば、現在米国で使用されているEVは190万台で、この数字は道路を走る車両のわずか0.1%にしか過ぎないものの、今後EVの数は2025年までに780万台に膨れ上がり、10年後までには2830万台に達するかもしれないと予測しています。
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公共の樹誘電設備はEVの普及に追いつかない
そしてこの調査では、「たとえドライバーの大半が自宅で充電するようになったとしても」公共の充電スタンドの需要は膨大なものになるだろうとしており、現在の米国ではレベル2充電ステーションが約126,500基、レベル3充電ステーションが20,431基、さらにテスラのスーパーチャージャー等が16,822基あると推定していますが、2025年までに(EVが780万台にまで増えるとして)アメリカにはレベル2充電器が120万基、レベル3充電器が109,000基必要になるとしています。※レベル2充電器は中速充電器で、レベル3充電器は高速充電器のたぐいに分類される
さらにその先の2030年には、2,830万台のEVが普及するという予測となり、その場合には213万基のレベル2充電器と172,000基のレベル3充電器が必要になると分析していて、つまるところ2025年の時点でレベル2充電器が現在の9.5倍、レベル3充電器が5.3倍、2030年だとレベル2充電器が現在の16.8倍、レベル3充電器が8.4倍必要になるということを意味します(テスラのスーパーチャージャーは除いた計算)。
ただ、充電器の設置は現在加速傾向にあるといい、アメリカでは2022年中に設置された充電器の数が、それまでの3年間を合わせた数よりも多いとされ、その数は54,000基のレベル2充電器と10,000基のレベル3充電器が2022年に設置済み。
しかしそれでも充電器の数は全く足りず、米国政府が掲げた「充電インフラ整備のために5年間で50億ドルを投資」という計画の成り行きを見守りたいところでもありますね。
将来的に「バッテリーと充電器の関係」がどうなるのかはわからない
なお、今回の統計は単純に「EVの数と充電器の数」そして「現在のEVの性能」という観点からの単純計算であり、今後増加するEVのうち「個人と法人ユースの割合」「バッテリー性能の向上」という要素が加味されておらず(これは推測のしようがないので仕方がない)、しかしこれが将来的にどうなるのかは全くの未知数。
仮にEVの「法人ユース」が増えれば、「自宅で充電することが多い個人ユースのEV」とは異なり、公共充電スタンドで(出先で)充電されることが多くなって想定よりも多くの公共充電スタンドの数が必要とされるのかもしれませんし、バッテリー密度が向上すれば「充電時間あたりの走行可能距離」が長くなり、より少ない充電器の数で済むのかもしれません。
はたまた、今後バッテリーが現在主流の「リチウムイオン」から「ソリッドステート」へと移行すれば、現在の(せっかく設置した)充電スタンドは使えなくなるのかもしれませんし、今後いったいどうなるのかは全く予想ができない状況だと思います。
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参照:S&P Global Mobility