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メルセデス・ベンツが「EQ」の名称を1年以内に捨てる?「全車EVになれば、わざわざEQを名乗る必要がなくなるから」。電動化ブランドの扱いは各社各様

メルセデス・ベンツ

| 主にドイツのメーカーは新規エレクトリックブランドを立ち上げ、アメリカでは既存車種をそのままEV化することが多いようだ |

一方、過去のクルマをEVとして蘇らせたり、まったくのニューモデルとして投入する例も

さて、メルセデス・ベンツはその電気自動車ラインアップに「EQ」なる名称を与えていますが、この名称が1年以内に廃止されるという報道。

これはロイター、そしてドイツのハンデルスブラット紙が「匿名のメルセデス・ベンツ関係者」の話として報じたもので、今後メルセデス・ベンツが電動化に注力することにより、今後の電気自動車にEQの名は不要になるという旨を伝えています。

つまるところ、今までは「(ガソリン車のラインアップが大半である中で)電気自動車であること」を強調するためにEQという名称を用いていたものの、今後はEVが当たり前になるので、あえてEQという名称を使用し、その存在を強調する必要がなくなってくるという意図だと考えられます。

メルセデス・ベンツは2024年発表の新型車から「EQ」を廃止?

この報道によると、メルセデス・ベンツは2024年に新しいコンパクトEVを発売するそうですが、この新型車から「EQ」の名を使用しなくなる可能性が高いといい、そうなると「EQ」はわずか数年で消滅する、ということになりそうです。

なお、この「EQ」について、2016年の立ち上げ当初はピュアエレクトリックカーブランドとして立ち上げられ、しかしその後はハイブリッドモデルに用いられたり、ハイパフォーマンスモデル、かつ電動化されている車両には「EQパワー」という赤いバッジが与えられる場合も。

つまりEQという名称は現在やや曖昧な使い方をされていて、これを使用することによって(現在では)なんらかのメリットを享受できなくなったということなのかもしれません。

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実際に今後(EQブランドが)どうなるのかはわかりませんが、メルセデス・ベンツは2030年までにすべてのクルマを電動化するという計画を持っており、そうなると現在のように「Sクラス」と「EQS」とを区別する必要がなくなり、完全に電動化が進んだ時代のメルセデス・ベンツSクラスは、単に「Sクラス」という表記となるのかもしれませんね。

参考までに、メルセデス・ベンツは数年前にも一度命名法則を見直したことがあり、そして現在でも一部整合性が取れておらず、よって近いうちに再度の「ネーミング再編成」が行われる可能性もありそうですね。

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他自動車メーカーもEVの命名法則には頭を悩ませる

なお、こういった「EVの呼称」について悩んでいるのはメルセデス・ベンツのみではなく、BMWもエレクトリックブランドとして立ち上げた「i」の整合性に悩んでいて、主にはピュアエレクトリックモデルに用いられており、たとえば7シリーズのガソリンモデルは従来の呼称のとおりで、このピュアエレクトリック版は「i7」。

メルセデス・ベンツ「Sクラス」「EQS」と同じようなパターンですが(ただしメルセデス・ベンツの場合は根本的に異なるクルマで、BMWの場合はパワートレーン違いである)、BMWが将来的に「完全にラインアップ全てを電動化」すれば、こういった使い分けも必要なくなり、シリーズ名について再考を迫られることになるのかも。

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そしてフォルクスワーゲンはエレクトリックブランドとして「ID」をスタートさせているものの、こちらのセールスは芳しく無く、以前は「ガソリンエンジン時代と決別すべく、ゴルフを廃止してIDという名称にて、ゴルフ相当のクルマを発売する」としていたものの、戦略を一転させ「ゴルフの名称を使用したピュアエレクトリックカーを発売する」ことを示唆しています。※VWはディーゼルゲートの悪印象を断ち切るために既存の車名を切り捨てることを選んだが、その方針を撤回ということなのかも

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一方で「既存」の車名を活用する場合も

一方、ランチアは「デルタ」を、ルノーは「4(キャトル)」「5(サンク)」をEVにて(その名称のままで)復活させると宣言しており、これらはEVだからといって新しいネーミングではなく、過去の伝統的な車名をリバイバルするということになりますね(そのほうが旧来のファンを取り込み、販売を有利に進めることができる)。

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加えて、アメリカだと「既存車種をEVに」というケースが多く、マスタング・マッハEV、GMCハマーEV、フォードF-150ライトニング、シボレー・シルバラードEVなど、人気モデルをEV化することで既存モデルのユーザーやファンをスムーズにEVへと移行させることを考えているようにも見え、このあたりは各社各ブランドとも戦略が異なる部分です。

一方、ポルシェ「タイカン」、レクサス「RZ」のように、EVを(とくにEVと表記せず)ブランニューモデルとして投入する例も少なくはなく、やはりそれぞれの思惑が見え隠れして面白いところではありますね。

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参照:Reuters

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