| おそらくはF1マシンの最高落札額、もしくはそれに近い金額にてフェラーリF1-2000が落札されることになりそうだ |
フェラーリに転機をもたらしたという意味でも、このF1-2000の存在意義は非常に大きい
さて、オークションハウス、RMサザビーズが「ミハエル・シューマッハがフェラーリで初めてチャンピオンを獲得した年のF1マシン、フェラーリF1-2000」を出品する、と発表。
このフェラーリF1-2000は、2000年のブラジルGPで優勝したほか、モナコGPでポールポジション、スペインGPでは総合5位を記録するなどミハエル・シューマッハの初優勝に大きく貢献した198号車で、フェラーリのクラシックカー部門であるフェラーリ・クラシケの認定を受け、フェラーリのコルセ・クリエンティプログラムの対象ともなる、フェラーリのF1黄金時代切り開いた歴史的な一台です。
もともと、この198号車はスペアカーだった
今回出品されるF1-2000”198号車”はスクーデリア・フェラーリのスペアカーとして使用されていたものの、第二戦ブラジルGPの予選で3番手からスタートし、決勝では1位でフィニッシュラインを通過するという活躍を見せています。
ミハエル・シューマッハは台6戦スペインGPにおいてもこのマシンでポールポジションを獲得し、レースの大半をこのマシンでリードしたものの、残念ながら給油の問題とスローパンクチャーで5位に後退することに。
ミハエル・シューマッハが次にこのシャシー198をドライブしたのはモナコGPで、このモナコGPにおいてもポールポジションを獲得し、決勝においても一時は後続に35秒のリードを築きながらもプッシュロッドの破損によりリタイアを喫しています。
このマシンが最後にF1グランプリを走ったのは10戦目のオーストリアGPだとされ、ここでシューマッハは予選3位を獲得しており、このシャシーナンバー198は「予選に強い」マシンだったのかもしれません(F1-2000はほかに、ミハエル・シューマッハ用として198、200、201、203、205、ルーベンス・バリチェロ用として199、200、202、203が投入されている。合計8台が生産された)。
2000年のF1シーズンにおいて、フェラーリは(17戦中)10勝と10のポールポジションを獲得するといった圧倒的な強さを見せていますが、このほかのレースにおいても、ミハエル・シューマッハ、ルーベンス・バリチェロともに安定してポイントを稼ぐことに成功し、その結果として、ドライバーズチャンピオン、そしてコンストラクターズチャンピオンを獲得するといった偉業を成し遂げています。
ミハエル・シューマッハは言うまでもなく史上最高のF1ドライバーのひとりであり、しかしその偉大さはドライビングスキルや闘争心のみではなく、チームを率いるリーダーシップ、そしてマシンの開発力にもあったと言われます。
そのためミハエル・シューマッハがドライブしたマシンがオークションに出品されるたび、驚異的な金額で落札されることが通例となっていて、今回のF1-2000もまた「記録的な」数字を叩き出すことは間違いなく、その落札結果には注目が集まるところでもありますね。
RMサザビーズのプライベートセールス事業にてグローバルヘッドを務めるシェルビー・マイヤーズ氏によれば、「RMサザビーズは、最も重要なF1カーをオークションに出品することで、他の追随を許さない実績があることを証明してきました。2022年には、ジュネーブで開催されたサザビーズのラグジュアリーウィーク・セールにおいて、有名なF2003-GAのシャーシNo.229を1463万スイスフランで売却し、現代におけるF1カーとして最も価値のあるものになりました。これまでの記録は、2017年11月16日にニューヨークで行われたサザビーズのイブニングコンテンポラリーアートセールで7,504,000ドルで落札された、同じく元ミハエル・シューマッハのフェラーリ、F2001です」とコメントしており、今回の出品においても”あらたな伝説”がつくられることを期待しているように思えます。
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フェラーリF1-2000はこんなマシン
このフェラーリF1-2000はロス・ブラウンとロリー・バーンによって設計され、前シーズンに使用されていたF399の進化版といった位置づけではあるものの、軽量化やハイノーズ化によるエアロダイナミクスの向上によって大きく戦闘力が向上しています。
搭載されるエンジンは3リッター90度V10、最高出力は805馬力/17,300回転、車体重量は600kgというスペックを持ち、車体構造はハニカムカーボンファイバー製モノコック、サスペンションは前後共にプッシュロッド式ダブルウィッシュボーン。
タイヤはブリジストン製の13インチを装着しています。
設計・製造されたのはもちろん(1999年後半から)2000年で、しかしこうやって見ると現在のF1とは比較にならないほどシンプルなステアリングホイールや「手作り感満載の」シート含むコクピットを持っており、F1の進化をまざまざと感じさせられますね。
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