| 今年後半から生産が開始されるといわれるものの、実際に車両に採用されるまではそれを信じることが難しい |
バッテリーメーカーが言うのであれば間違いはなさそうだが
さて、バッテリー製造最大手のCATLが「最大500Wh/kgのエネルギー密度を実現する技術により、電池の技術的転換点に差し掛かっている」と発表。
そしてこの新型バッテリーを使用すれば自動車のみではなく、これまでは不可能だとされていた「飛行機(旅客機)も飛ばせる」とのことで、業界に大きな衝撃を与えています。
参考までにですが、現在CATLの持つナトリウムイオン電池のエネルギー密度は160Wh/kgであり、現在最も優れる蓄電池のひとつであるテスラの4680バッテリーのエネルギー密度が最大296Wh/kgだとされるので、CATLの言う新しいバッテリーが実現できるかどうかは「話半分」で聞く必要があり、しかし実現できれば非常に優れたバッテリーになるということがわかります。
いったいCATLはどうやってこのバッテリーを実現させるのか?
そこで「どうやってCATLがこのような素晴らしい数値を達成するのか」についてですが、これはひとえに新しい高導電性生体模倣型凝縮状態電解質技術のおかげだとされ、ミクロンレベルの自己適応型ネット構造を作り、鎖内の相互作用力を調節して導電性能を向上させることができる、と解説されています。
また、正極材には超高エネルギー密度、負極材とセパレーターには革新的な材料を使用して優れた充放電性能を実現するほか、これらの材料は、電池の安全性にも貢献するとCATLは述べており、「実現できれば」非常に優れたバッテリーとなるのは間違いなさそう。
実際のところ、CATLは「この最先端技術の登場は、バッテリー分野の発展を長年制限してきた限界を打ち破り、高い安全性と軽量化を中心とした電化の新しいシナリオを切り開くことになるでしょう」とプレスリリースにて述べ、さらには「電化が陸から空へと広がるにつれ、航空機はよりクリーンでスマートなものになります。凝縮型電池の実用化は、海・陸・空の交通のユニバーサル電化の時代を切り開き、産業発展の可能性を広げ、世界のカーボンニュートラル目標の早期達成を促進するでしょう」とも。
さらに今年後半には生産が開始されるともアナウンスしており、いずれかの自動車メーカーがこの先進的なバッテリーを採用することになるのかもしれません。
バッテリー技術は絶え間なく進歩する
なお、バッテリーは現在様々な可能性とともに研究がなされており、「バッテリーの未来」と言われた全固体電池(ソリッドステートバッテリー)以外の選択肢も多数登場しているのが現状です。
上述の「4680」バッテリー(リマックやBMWも同様のバッテリーを導入予定)のほか、ポルシェやメルセデス・ベンツはシリコンバッテリーを使用することで充電時間を短くし、かつ軽量に、そしてより長い距離を走行できるEVを発売する計画を持っており、BYDも低価格EV「シーガル」において新型バッテリーを導入済み。
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現在BMW、トヨタ、日産はソリッドステートバッテリーの実用化に向けて研究開発を加速させていますが、バッテリーメーカーによると「ソリッドステートバッテリーの実用化には10年かかる」とされ、マセラティはじめいくつかの自動車メーカーは「ソリッドステートバッテリーの採用を諦める」とも。
実際のところ、今回のCATLの新型バッテリーのように「ソリッドステートバッテリー以外の選択肢」も登場していることを考慮すると、仮にソリッドステートバッテリーが実用化されたとしても、その頃には「時代遅れ」「高コスト」として使えない技術となっているのかもしれません。
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