| フェラーリ288GTOの正式名称は単に「GTO」、「288GTO」は非公式なニックネーム |
新車販売当時から高額なプレミアとともに転売がなされていた
さて、フェラーリが伝説の288GTOに関するコンテンツを公開。※フェラーリはこのクルマを単に「GTO」を表記しており、”288GTO”はニックネームだとしている
ちょっと面白いのは、フェラーリ自身が「288GTOは、あまりフェラーリに詳しくない人には308GTBと間違えられやすく、F40の影に隠れて過小評価されている」と述べていること。
たしかに308GTBとよく似ており「意外とフェラーリはこれを気にしてたんだな」と思うとともに、308GTBと間違いやすいと思ってたのはぼくだけではなかったのだとちょっと安心しています。
フェラーリ288GTOはフェラーリの歴史の上でも非常に重要なモデル
なお、フェラーリ288GTOはモータースポーツ参戦のためのホモロゲーションを取得するために作られたクルマではあるものの、実際には(レギュレーションが変わってしまったので)参戦の機会を失ってしまい、よって250GTOのように(レースで)華々しい戦績を残せなかったクルマ。
しかしそれでも現在に至るまで半ば神格化されるほどに崇拝されており、今回フェラーリがその「理由」について自ら解説を行っているわけですが、ここでざっとその内容を紹介してみたいと思います。
フェラーリ288GTOはこんなクルマ
このフェラーリ288GTOの「GTO」とは「グラン・ツーリスモ・オモロガータ」の略で、ツーリングカー選手権に出場するためのホモロゲーションモデルという意味を持っています。
そしてこの288GTOの場合、1982年にFIAが導入したグループBカテゴリに出場するための要件「ロードカーを200台生産すること」を満たすためのホモロゲーションモデルとして企画されることになるのですが、注目すべきはそこに注がれた数々の技術。
フェラーリの他のスポーツカー同様、F1からの技術移転が多々見られ、フェラーリ初の「ターボチャージャー搭載F1マシン」であるフェラーリ126CKにインスパイアされたターボエンジンや複合素材が採用され、288GTOの開発を主導したのはフェラーリにてF1マシンの開発を担当していたスタッフたちであり、これを率いたのがGESテクニカル・ディレクターのハービー・ポスルスウェイト氏。
そして見た目こそは(フェラーリが言う通り)308GTBによく似ているのですが、実際には「ランボルギーニ・ミウラとイオタくらい)中身は別モノで、たとえば308GTBはセミモノコック構造を採用していたのに対して288GTOではレーシングカー然としたチューブラーフレームにて基本骨格が構成されます(ドライウエイトはわずか1,160kg)。
さらにホイールベースは(308GTB比で)110ミリも延長されており(オーバーハングを切り詰めたため、逆に全長は5ミリ短い)、前後ともにブリスターフェンダーが与えられていることも外観上の特徴のひとつ。
なお、スタイリングはピニンファリーナが担当し、そのために308GTBとの類似性が高くなってしまっているのですが、リアのホイールハウス後ろには「250GTOをモチーフにした」3本スリットといった独自の意匠も見られます。
搭載されるエンジンは2.8リッターV8(288という名称はここから来ている)、ベースこそ308GTBとの関連性を持つもののターボチャージャーによって加給され、その出力は(当時のスポーツカーとしては破格の)400馬力へと向上しており、0−100km/h加速はわずか4.9秒、最高速は305km/h。
そして288GTOで特徴的なのは、308GTBのエンジンレイアウトを90度回転させて縦置きとしていることで、そのためトランスミッションが車体後部(下部)に露出することになり、モータースポーツ参戦時の整備性が向上するとともにギア比の変更が用意にできるようになっています。
ホイールは16インチのマグネシウム製、そしてセンターロック。
フェラーリのロードカー(カタログモデル)は一部の例外を除くとセンターロックではなく5穴のボルト固定式ホイールを持ち、しかし288GTOはじめ、F40以降のスペシャルモデルはセンターロックホイールを持っていて、これもやはり「モータースポーツ直結」をアピールする部分なのかもしれません。
フェラーリ288GTOは結果的に272台が生産される
このフェラーリ288GTOはホモロゲーション取得のための「200台をクリアすべく」発売され、しかしフタを開けると注文が殺到して最終的には272台を生産したとされ、これによってフェラーリは「モータースポーツに直結するスペシャルモデルは売れる」と判断し、288GTOの成功がのちのF40、そしてそれ以降に連なる「スペチアーレ」へと発展してゆくわけですが、新車で注文できたのはロッソのみ。
参考までに、F40もロッソしか注文できず、F50になってからようやく他のボディカラーが用意され、それでもその選択肢は非常に限られています(有力顧客のみ、ボディカラーの選択肢がさらに拡大された)。
ちなみにですが、288GTOの「272台」について、「売れるだけ売った」数ではないようで、というのも「生産開始前には受注を締め切って」おり、納車が始まる前には高額のプレミアを乗せた所有権証書が転売されていたと言われるため。
そういった意味では、「パフォーマンス」という要素のほかにも「近代フェラーリが採用するビジネスモデルのベースになった」のがこの288GTOでもあり、あらゆる意味でエポックメイキングなモデルであったということがわかりますね。
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