
| PHEVだけに仕方がないが |
ランボルギーニが世に送り出した最新のHPEV(ハイパフォーマンス電動車)「テメラリオ」。
ウラカンの後継として期待を集めるこのスーパーカーですが、実測された「衝撃の重量」が予想外だとして世界中で大きな議論を呼んでいます。
【この記事の3点まとめ】
- 想定外の「超重量級」: テメラリオの装備重量は約1,905kgに達し、かつての「ハマーH3」、現代のガソリン版ポルシェ マカンに迫る重さであることが判明
- 高額すぎるダイエット: 約800万円の軽量化パック「アレッジェリータ パッケージ」を装着しても削減できるのはわずか25kg
- ライバルとの圧倒的差: フェラーリ 296 GTBやマクラーレン アルトゥーラと比較して、250kg以上の「ハンデ」を背負う形に
- クルマの重量表記方法:「DIN」「車両重量」「乾燥重量」など
スーパーカーの定義を揺るがす「2トン」への接近
ランボルギーニが「ウラカン」の後継として発表したプラグインハイブリッドスーパーカー、テメラリオ(Temerario)。
V8ツインターボと3基の電気モーターを組み合わせ、最高出力920cv(907hp)という異次元のパワーを誇りますが、その代償として「重さ」という大きな壁に直面していることが明らかに。
メーカー発表の乾燥重量は1,690kgではあるものの、油脂類や燃料を含めた実測値(装備重量)ではなんと1,905kgにも達することが明かされており、これは、かつての「オフロードの怪物」ハマーH3(約2,087kg)まであと一歩という数値、そして現代のポルシェ・マカンのガソリン版(1,920kg)に近い数字です。
いかにプラグインハイブリッドといえど、「スーパーカー」としてはまさに「異例の重量」というわけですが、今後ほとんどのスーパーカーやスポーツカーがPHEV化してゆくと、(いまは驚きでしかないものの)テメラリオのこの重量も”普通”になってしまうのかもしれませんね。
800万円で「25kg」しか軽くならない
この重さを解消するために用意されたのが、軽量化オプションの「アレッジェリータ(Alleggerita)パッケージ」。
- オプション価格: 約50,700ドル(日本円で約750万〜800万円以上)
- 軽量化効果: マイナス25kg
カーボンパーツを多用したこの高価なパッケージを選んでも、減らせるのはわずか25kgにとどまっていて、これはある意味で「ランボルギーニは標準仕様のテメラリオであっても削れるとことはあらかた削ってしまい、ほぼ限界まで軽量化を行っている」ということを意味するのだと思われます(つまり、どうやってもこの重量に達してしまう)。
参考までに、やはりPHEVパワートレーンを積むBMW M5が2,500kgを超えるので、テメラリオの「2トン以下」は(PHEVにしては)かなり軽いのだと考えていいのかも。
-
-
BMW「新型M5の重量を発表時に公開したのは間違いでした。だれもパフォーマンスに注目せず重量しか語らなくなったからです」。今後重量は一呼吸置いて発表
Image:BMW | 実際のところ、最近のBMW「M」、メルセデス「AMG」のニューモデルは信じがたいほど重量が増加している | ただしこれは主に「環境規制」によるものであり自動車メーカーのせいでは ...
続きを見る
性能・スペック比較:ライバルとの決定的な違い
テメラリオが背負う「重さ」の理由は、強力な3基のエレクトリックモーターと4WDレイアウトに起因します。
なお、同じハイブリッド戦略をとる競合他社製品ではよりストイックな軽量化を実現しており、これは主に「より少ないモーター(-2)」によるもの。※それにしてもマクラーレン・アルトゥーラは凄まじい軽さである
-
-
マクラーレン・アルトゥーラに試乗(1)。現時点ではもっとも高い質感とデザイン性を誇るスーパーカーの一台だと考えていいかもしれない【動画】
| 正直なところ、マクラーレン・アルトゥーラの内外装、そして運転した印象はボクの予想を遥かに超えている | その細部に至るまでの「こだわり」、妥協を許さぬ作りはさすがレーシングファクトリーをルーツに持 ...
続きを見る
| 車種 | パワー | 推定/実測重量(装備) | 重量差(対テメラリオ) |
| ランボルギーニ テメラリオ (3モーター+4WD) | 920 cv | 約1,905 kg | - |
| フェラーリ 296 GTB (1モーター+RWD) | 830 cv | 約1,648 kg | -257 kg |
| マクラーレン アルトゥーラ (1モーター+RWD) | 680 cv | 約1,552 kg | -353 kg |
| (参考)ポルシェ マカン ※ガソリンオンリー | 265 cv | 約1,920 kg | +15 kg |
参考までに、バッテリーサイズとエレクトリックモードでの走行距離はこんな感じ。
テメラリオのバッテリーはかなり小さく、それでも「この重さ」となっているところにランボルギーニの苦心を伺うことができそうです。
-
-
マクラーレン・アルトゥーラに試乗(2)。電動化の恩恵を最大限に活用した新世代のスーパーカー、そのフィーリングは極めて自然体であり「ポルシェに近い」?
| ただしポルシェに近いといえど、マクラーレンは独自の手法でマクラーレンらしさを演出している | 正直、今回の試乗でアルトゥーラが(かなり)欲しくなった さて、マクラーレン・アルトゥーラの試乗レポート ...
続きを見る
バッテリー容量比較
| 車種 | バッテリー容量 (kWh) | EV走行距離(目安) |
| マクラーレン アルトゥーラ | 7.4 kWh | 約30 km |
| フェラーリ 296 GTB | 7.45 kWh | 約25 km |
| ランボルギーニ テメラリオ | 3.8 kWh | 約3.5 〜 10 km 未満 |
-
-
フェラーリ296GTB雑感。「ハイブリッドはスーパーカーの可能性と楽しみを伸長させる」。ボクがそう考える理由とは
| スーパーカーにとって「非日常的なスタイリング」は必須だと考えているが、だからといって「乗りにくいクルマ」である必要はない | 安心して気を使わずに乗れてこそ、そのクルマ本来の良さが見えてくる さて ...
続きを見る
市場での位置付けと懸念点
実のところ、テメラリオの重量は、フラッグシップモデルの「レヴエルト(V12ハイブリッド)」との比較においても55kgしか差がなく(レヴエルトのほうがカーボンファイバーの使用範囲が大きい)、V8モデルでありながらV12モデル並みの重さを持つことは、タイヤの摩耗の早さや、サーキット走行時のブレーキへの負担、そして何より「軽快なハンドリング」というスーパーカー最大の魅力を削ぐ要因になりかねないというのが今回なされている議論です。
しかしこういったネガティブな意見は今後納車が進むにつれ、オーナーによるポジティブな意見によって書き換えられてゆくことになるものと思われます。
結論:パワーで重さをねじ伏せる「新時代の猛牛」
確かにテメラリオは重く、これは否定できない事実ではありますが、しかし、初期の試乗レポートによれば、高度なトルクベクタリングと920馬力の暴力的なパワーによって「その重さを感じさせない走りを実現している」。
「軽さ」を追求したマクラーレン、バランスのフェラーリに対し、ランボルギーニは「圧倒的なパワーと制御技術で重さを克服する」という、極めて現代的な(かつ強引な)アプローチを選んでおり、この重さが「安定感」として好意的に受け取られるか、「鈍重」と批判されるかは(デリバリーの開始される)やはり2026年、公道に放たれるテメラリオがその答えを出すまで待つしかないのかも。
-
-
ランボルギーニ・テメラリオ、ポルトガル・エストリルでサーキットデビュー。8色のテメラリオがコースを彩る
Image:Lamborghini | すでに世界各地でお披露目されているランボルギーニ・テメラリオではあるが | これだけ多様なカラーが揃うのは「初」である さて、ランボルギーニの最新スーパーカー、 ...
続きを見る
参考:自動車の「重量」にはどういった計測方法があるのか
自動車の「重量」には、用途や測定条件によっていくつかの異なる表記方法があり、ネットニュースを見ると「結局どれが本当の重さなの?」と迷うことも。
そこで世界的に使用される基準を簡単にまとめてみると、主に使われるのは以下の3つに集約されます。
1. 車両重量(Empty Vehicle Weight / DIN)
日本のカタログや車検証で最も一般的に使われる数値です。
- 定義: 車体がすぐに走行できる状態の重さ
- 含まれるもの: ガソリン(満タン)、エンジンオイル、冷却水、バッテリー、予備タイヤ、工具など
- 含まれないもの: 乗員(ドライバー)、荷物
ポイント: 「車そのものの重さ」を知りたい時はこれを見ます。
-
-
フェラーリ・ポルトフィーノの登録完了、車検証上の重量は公称値の1,664kgに対して1,750kg。「乾燥重量」「車両重量」「車両総重量」の違いとは?
| いよいよフェラーリ・ポルトフィーノの納車が数日後に近づいてきた | 今でもフェラーリを1年で2台買ったという実感が全く湧かない さて、フェラーリ・ポルトフィーノの登録が完了し、無事に車検証が発行さ ...
続きを見る
2. 車両総重量(Gross Vehicle Weight / GVW)
主にブレーキの性能試験や、日本の「重量税」の算出基準に使われる数値です。
- 定義: 最大定員が乗り、最大積載量の荷物を積んだ「フル装備」の状態
- 計算式: 車両重量 + (55kg × 乗車定員) + 最大積載量
- ※日本では人間1人の体重を 55kg と規定して計算
3. EU基準(EU Curb Weight)
欧州車(BMWやポルシェなど)のスペック表でよく見かける表記です。
- 定義: 車両重量に 「ドライバーの体重分」 を加算したもの
- 内訳: 車両重量(油脂類・燃料90%含む) + 75kg(ドライバー68kg + 荷物7kg)
注意点: たとえば、「BMW M5」の数値で、DIN(2,435kg)とEU(2,510kg)とで75kgの差があるのは、この「75kg分の人間と荷物」が含まれているかどうかの違いになる。「2」と異なり、ドライバー以外の乗員」を考慮していないことにも要注意
まとめ比較表
| 項目 | 油脂類・燃料 | 人間の体重 | 荷物 | 主な用途 |
| 車両重量 | ◯ | × | × | 日本のカタログ表記 |
| EU基準 | ◯ | ◯ (75kg) | ◯ | 欧州のカタログ表記 |
| 車両総重量 | ◯ | ◯ (全員分) | ◯ (最大量) | 車検・税金・安全性 |
ちょっとした豆知識:乾燥重量(Dry Weight)
この「乾燥重量」とは、フェラーリやランボルギーニ、マクラーレンなどのスーパーカーブランドが用いることが多い記載方法で、これはオイルや冷却水、ガソリンを一切入れていない、文字通り「乾いた」状態の重さです。
実際の走行状態とはかけ離れたものではありますが、なぜこの記載を行うのかというと、それは「レースに出場する際、車両の重量は(車検時に)乾燥重量で計られる」からで、つまり競技に使用される可能性があるクルマ、競技を前提としたスポーツカーにはこの「乾燥重量」が用いられることも。
ちなみにですが、ポルシェは一般的に「車両重量」を記載するものの、911GT3のように競技に使用される可能性がある車種だと乾燥重量を用いたり、ランボルギーニだと逆に「競技に使用されない(そもそもそのクラスがない)ウルスだと車両重量を記載することも。
なお、マセラティは車種にかかわらずメーカーとして「車両重量」を記載するという方法を取っているようで、そのためスーパーカーであるMC20(MU PURA)の重量は「込み込み」の車両重量表記となっており、結果的に「フェラーリやランボルギーニ、マクラーレンに比べるとかなり重く見えてしまう」という数字上の不利も発生しているようですね。
合わせて読みたい、関連投稿
-
-
ランボルギーニが「純粋なRWD(後輪駆動)を諦めない」とコメント。その理由そしてテメラリオに秘められた可能性とは
| テメラリオはもともと「後輪駆動」に対応した設計を持っている | そして価格帯としても「RWD」は必要である 純粋主義者の願い: ランボルギーニはAWD中心のメーカーとして知られるが、社内外には純粋 ...
続きを見る
-
-
衝撃の進化。ランボルギーニ、次期オフロードスーパーカー「ステラートをさらに過激にする」と断言。やはりテメラリオベース?
| ランボルギーニ、オフロードスーパーカーを継続の方針。次期「ステラート」はテメラリオベースでさらにアグレッシブに進化か | ウラカン・ステラートの成功は偶然ではない ポルシェ 911 ダカールと並び ...
続きを見る
-
-
ランボルギーニの「10,000回転V8」は規制を乗り越え次世代モデルにも継続決定。テメラリオの心臓は未来にも鼓動する
| 「常識を覆す」10,000回転V8「テメラリオの心臓」を未来永劫使い続けるとランボルギーニが衝撃発表 | 過激なV8はサステナブルに生き残る ランボルギーニが「内燃機関の終焉」という世界的なトレン ...
続きを見る
参照:CARSCOOPS
























