| EVも家電同様、「販売される製品のうち、8割くらいが中国製」となるのかも |
正直、この流れを止めることはもうできないだろう
さて、直近で大きな話題となっている「中国製EVの世界進出」。
「中国ではEVが売れている」というのはすでに話題としては時代遅れで、中国はさらにその先に駒を進めることによってEV生産国、輸出国としてもその地位を固めており、家電やその他の工業製品がそうなっているのと同じく、世界中のEVにおける中国生産比率が高くなることが予想されています。
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国際調査機関によれば、2023年は昨年比で+35%のEVが販売されるらしい。現在輸出されるEVの33%は中国から、そして2030年には世界で販売されるEVの40%が中国にて登録されるもよう
| そうなると中国市場でのEVの「遅れ」は自動車メーカーにとって致命傷となりかねない | ただし外国の自動車メーカーが、中国の自動車メーカーよりも(中国内で)競争力のあるEVを作ることは難しいだろう ...
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現在のドイツでは中国製EVの輸入台数が前年比3倍以上に
最新の(ドイツの公式統計局による)統計によれば、2023年第1四半期において中国から輸入された電気自動車の台数は前年比3倍以上に達したといい、比率で言えば(輸入EVのうち)なんと28.2%にも達したとのこと。※ただ、このうち「純粋な」中国の自動車メーカーの製品がどれくらいあるのかはわからない
これは前年同期比の7.8%からの極端な(その表現でも生ぬるい)増加となっていて、これはドイツの自動車メーカー、そして欧州の自動車メーカーにとって非常に危機的な数字だとも見られています。
そしてさらに状況を悪くしているのは「ドイツから7の中国向け新車輸出」が前年同期比で23.9%減少していることで、これはつまり「中国でドイツ車が売れなくなった」ことを指していると考えてよく、数字だけ見るとドイツの自動車産業が衰退する可能性を示唆するものだと捉えることも可能です。
なお、現在中国は「世界の工場」として機能しており、2023年第1四半期のドイツ市場において「輸入パソコンのうち86%、スマートフォンおよび電話機のうち67.8%、リチウムイオン電池のうち39.2%」が中国から輸入されたもので、(ほかにも医療や玩具など)様々な分野において中国からの輸入品への依存度が高まっていることがわかるほか、近いうちに自動車も同様の状況となるであろうことを予感させます。
実際のところ、ドイツの公式統計局によれば「日常生活に必要な多くの製品だけでなく、エネルギー転換のための商品も、今や中国から大量に輸入されている」とのことで、もはやドイツは(ドイツだけではありませんが)中国なしでは日常生活を送ることすらできない状態であり、そしてその状態になるまで「ドイツの製品やサービスは、中国の製品やサービスに取って代わられている」こともわかりますね。
今後、中国製EVが世界を席巻することは間違いなさそう
上述の通り、今後数年間において、中国で生産され、国際的に販売される電気自動車の数が大幅に増加することが予想されますが、実際のところ中国の自動車メーカーは2022年に約200万台の自動車を輸出しており、この数字は2020年からの4倍増。
現在のペースでいけば、中国の自動車輸出台数は今年中に300万台を超える可能性があるとされ、しかし中国のEVメーカーにおける商品力や技術の向上は予想を遥かに超えるものがあり、こういった予想ですら追いつかないレベルにて生産そして輸出を拡大させる可能性があり、ぼくらが思うよりもずっと早く「世界中の路上を走るEVの大半が中国製」といった時代が来るのかもしれません。
なお、中国のEVは「150万円から450万円くらい」が中心となっており、よって輸出においてもこの価格帯のクルマが多く(というか”ほとんど”)を占めることになるものと思われ、影響を受けるのは普及価格帯のEVを生産している自動車メーカーだと考えていいのかも。※トヨタbZ3の現地価格は400万円くらい
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つまりプジョーやシトロエン、ルノー、ミニ、フォルクスワーゲンはダイレクトにこことぶつかる可能性があり、そしてこれから同価格帯のEVを導入する可能性が高い日本の自動車メーカーは「中国の自動車メーカーに挑む立場」となるわけですね(そして家電同様、普及価格帯においては勝てる可能性が低いかもしれない)。
ただ、中国の自動車メーカーすべてが勢いを持っているかというとそうではなく、中国の自動車メーカー最大手の上海汽車(VWとの合弁で知られる)はEV分野にて出遅れており、そのため売上高と販売台数を(ほかの中国の自動車メーカーに食われて)大きく落としているという報道も(2023年第1四半期では販売台数を27%落としている。つまり中国の既存自動車メーカーであっても、中国の新興EVメーカーにシェアを食われている)。
さらには(中国の)EV専業メーカーであっても熾烈な競争にさらされており、そういった「激戦区となった中国国内」でのリスク回避を行うため、現在多くの中国のEVメーカーが輸出に活路を見出しているとも言われていて、この状況が昨今の「中国製EVの海外進出拡大」の大きな理由となっているという話も聞かれます。
となると、日米欧の自動車メーカー、そして自動車市場はこの「中国国内市場における中国自動車メーカーどうしの競争のあおり(とばっちり)」を受けているということになり、それをかわす術を身につけねばならないのかもしれません。
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