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1955年のレーシングカー「フェラーリ121LM」が競売に!ル・マン、ミッレミリアほか9レースに出場したモータースポーツの生ける証人、予想落札価格は10億円

2023/05/24

1955年のレーシングカー「フェラーリ121LM」が競売に!ル・マン、ミッレミリアほか9レースに出場したモータースポーツの生ける証人、予想落札価格は10億円

| 生産されたのは当時4台、そして3台がル・マン24時間レースに投入される |

9つのレースのうち3つで総合優勝、5つでクラス優勝を獲得

さて、かなり珍しい「フェラーリ121LM」がRMサザビーズ主催のオークションに登場。

このフェラーリ121LMは1955年に登場したレーシングカーで、当時圧倒的な速さを誇ったメルセデス・ベンツ300SLRに対抗するため、エンツォ・フェラーリがアウレリオ・ランプレディに命じて製造させた直6エンジンを搭載しています。

なぜエンツォ・フェラーリが「直6」を選んだのかは今となってはナゾですが、V12でもなく、750モンツァに積まれていた直4でもなく、メルセデス・ベンツ300SLRの「直8」でもなく、直6なワケですね。

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フェラーリ 121LMはこんなクルマ

果たしてこの直6エンジンは3,747ccの排気量が与えられ118LMへと搭載されますが、そのうちシャシーナンバー0546LMが728番のゼッケンを付け、ピエロ・タルッフィのドライブにて1955年のミッレミリアへと参戦します(118LMは合計4台がワークスカーとして作られている)。

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なお、スタートはメルセデス・ベンツSLR300の5分後であったものの、レースの大半でメルセデス・ベンツSLR300をリードし、かつ多くのセクションで記録を塗り替えたそうですが、結果的にオイルポンプに不具合が生じてリタイアを喫してしまいます。

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その後このシャシーナンバー0546LMはフェラーリのファクトリーへと戻ることになりますが、その際にはエンジン排気量が4,412ccへと拡大され、さらに3つのサイドドラフト・ウェーバーキャブレターを装着して360馬力を発生するに至り、「121LM」へと生まれ変わることに。

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そしてフェラーリは3台の121LMを1955年のル・マン24時間レースにて走らせ、しかしこのシャシーナンバー0546LMは(フランスのエース、モーリス・トランティニャンとアメリカのハリー・シェルによるドライブ)10時間 / 107周を走ったところでエンジントラブルによるリタイヤを喫しています。※ほかの2台はもっと早く、5〜6時間の時点でリタイヤしているが、これら121LMはジャガーとの戦いの中においてラップタイムを何度か更新している

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1955年のル・マン24時間を最後に、この121LM(シャシーナンバー0546LM)はクライアントへと売却され、翌1956年4月、ペブルビーチで開催されたデルモンテ・トロフィーへと出場するものの、その33周目にドライバーであったアーニー・マカフィーがターン6でシフトダウンをミスしてしまい、コーナーでマシンをコントロールできなくなったのちに松の木に衝突し、その衝撃で死亡するという悲劇的な結末を迎えたことも。

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なお、このフェラーリ121LMはル・マン24時間レースやミッレミリアはじめ、1950年代に9つものレースに出場しており、そのうち5つでクラス優勝、そして総合優勝が3回、総合2位が2回という成績を納めています。

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現在、このフェラーリ121LMは5年をかけてル・マン出場当時の姿へとレストア済み

その後、このフェラーリ121LMはレストアされたのちに1974年、1975年、1976年のペブルビーチ・コンクール・デレガンスに登場していますが、2018年にはフェラーリのファクトリーへと送られて5年の歳月をかけてレストアが行われることに。

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そこではスカリエッティのコーチワークはじめ、センターフューエルフィラー、ブレーキ冷却ダクト、ドアの形状などが「1955年のル・マン24時間レース参戦時の状態に」戻され、カーナンバー「5」も当時の仕様です。

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さらにはギアボックスのリビルドを含むメカニカルコンポーネントのオーバーホール、シャシーの修正と修理が行われ、前回のレストアで失われたシャシースタンプが復活し、これによってシャシーナンバー0546LMは(フェラーリのクラシックカー部門である)フェラーリ・クラシケの認定を受け、シャシー、エンジン、ギアボックスのマッチングナンバーを記した「レッドブック」を取得しています。

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ボラーニ製ワイヤースポークホイールも新車同様となり・・・。

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レザーストラップも文字通りの新品に。

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フロントフェンダー上にはハンドペイントによるスクーデリア・フェラーリのシールドエンブレム。

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フェラーリ121LMの「コブ」はじめ各部のデザインはフェラーリ・モンツァSP1/SP2のデザイン時に(500モンディアル、750モンツァ、500TR/500TRCらとともに)インスピレーションを与えることになった、とフェラーリが公式に語っていますね。

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このフェラーリ121LMは製造から約70年が経過しているものの、その間には(フェラーリを除くと)わずか4人のオーナーが変わったのみであり、そして今では当時の姿に戻され、かつフェラーリの認定も受けているという貴重な一台。

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それを反映してか、予想落札価格は650万ユーロ(現在の為替レートにて約9億7000万円)という超高額エスティメイトが出されていて、しかし近年のクラシックカーブームを考慮すると、実際の落札時にはこの金額すらやすやすと超えてしまうかもしれません。

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現在フェラーリ121LMが何台残っているのかはわかりませんが、このシャシーナンバー0546LMは、1955年のル・マン24時間レースと1955年のミッレミリアはじめ、数々のレースを走ることで「モータースポーツの、最も深く忘れられない瞬間の目撃者」となり、かつフェラーリの歴史の中で最も輝かしい時代の一つを生き残った貴重な存在であることに間違いなく、まさに歴史の証人と言えるかもしれません。

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参照:RM Sotherby's

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