| ポルシェとタグ・ホイヤーはこれまでも多数の限定腕時計を発売してきたが |
両者のコラボレーションによるクルマは「初登場」
さて、ポルシェとタグ・ホイヤーは「カレラ」つながりにてパートナーシップ契約を結んでいますが、この契約に基づき、これまでにはいくつかの「タグ・ホイヤー・カレラ」のポルシェ仕様腕時計を発売しています。
しかし今回発表されたのはコラボ腕時計ではなくコラボレーションによって誕生した「クルマ」であり、”カレラ・パナメリカーナへのオマージュとして製作された718ケイマンGT4 RSの特別仕様車”がカリフォルニアのウェザーテック・レースウェイ・ラグナセカで開催されたレンスポーツ(レンシュポルト)・リユニオンにてお目見えすることに。
インスピレーション元は70年前のポルシェ550クーペ
今回の特別仕様車のインスピレーション元は”70年前に2つのカスタマーチームからカレラ・パナメリカーナに参戦したポルシェ550クーペ”。
ちなみにカレラ・パナメリカーナ(Carrera Panamericana)とは1950年~1954年の間にメキシコにて開催されていた公道レースで、総走行距離は3,113km、走破にかかるのは5日間という過酷な競技です。
当時ポルシェはアメリカ市場へのアピールを強めたいと考えており、このレースでへと注力することになるわけですが、ポルシェ911カレラの「カレラ」はもちろんここから取られており、のちのパナメーラも同様の語源です(このほか”タルガ”など、ポルシェにはモータースポーツ由来のネーミングが多い)。
ちなみにですが、現在メルセデスAMGが採用する「パナメリカーナ・グリル」もこのレースに参戦した車両をモチーフにしたもので、これらが現代にまで影響を及ぼしているところを見るに、いかにこのカレラ・パナメリカーナが重要なレースであったかがわかりますね。※現在でもそのヘリテージを活用し啓蒙するウエブサイトが運営されている
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参考までに、1950年に優勝したのはオールズモビル88、1951年はフェラーリ212インテル、1952年はメルセデス300SL、1953年はランチアD24、1954年はフェラーリ375なので、残念ながらポルシェはここで優勝を記録することができず、1955年には複数要因を理由としてこのレースの開催が終了してしまいます(死亡事故が多発したことが主要因だとされている)。
ポルシェ718ケイマンGT4 RS カレラ・パナメリカーナ・スペシャルはこんな仕様を持っている
そこで今回公開されたポルシェ718ケイマンGT4 RS カレラ・パナメリカーナ・スペシャルを見てみたいと思いますが、これらはそれぞれレーシングナンバー「152」「154」が記された車両が1台づつしか生産されないという事実上のワンオフモデル。
ボディカラーは当時のポルシェ550を連想させる「ル・マン・シルバー・メタリック」。※ポルシェ550は1953年のル・マンにも出走し、1.5リッタークラスで1位と2位を獲得している
当時のポルシェ550を連想させるゼッケンやペガサスがペイントされ・・・。
https://www.flickr.com/photos/110074903@N02/53227828498/in/dateposted-public/フロントフードやリアウイング翼端にはタグ・ホイヤー(TAG HEUER)のロゴも。
ポルシェ718ケイマンGT4 RS カレラ・パナメリカーナ・スペシャルのインテリアは特別だった
そしてポルシェ718ケイマンGT4 RS カレラ・パナメリカーナ・スペシャルのインテリアもまた特別仕様となっており、シートはレッドレザーにて覆われ、ヘッドレストにはパナメリカーナのロゴ、そして当時のレーシングドライバーが被っていたキャップが刺繍にて再現されます。
キックプレートには「GT4 RS」、そして「パナメリカーナ・スペシャル」の刻印も。
カーペットにはポルシェのワンオフ車両を制作する特別部門「ソンダーバーシュ」の文字が刺繍されています。
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ダッシュボードやステアリングホイールにはメキシコの国旗カラーである「レッド、グリーン、ホワイト」を用いたステッチが施されることに。
そしてもっとも興味をそそられるのがタグホイヤーによるコクピットクロックとクロノグラフ。※「154」のみの装備らしい
もちろん当時のレーシングカーのダッシュボードに取り付けられていた計器の現代的解釈版となりますが(エアバッグの展開を考慮すると取り付け位置がここになってしまうのだと思われる)、オプションにて販売すれば結構人気が出るかもしれません。
このポルシェ718ケイマンGT4 RS カレラ・パナメリカーナにつき、製作を担当したソンダーヴァーシュ・プログラムの責任者、アレクサンダー・ファービッヒ氏は「今年のレンスポーツ(レンシュポルト)・リユニオンのハイライトとして、ゾンダーヴァーシュのワンオフカーをご紹介できることを嬉しく思います。2台とも、伝説的なポルシェ550クーペのデザイン特性を取り入れており、同時にこのプロジェクトは、ポルシェAGのゾンダーヴァーシュプログラムの可能性を改めて示すものでもあります」とコメント。
一方、タグ・ホイヤーのCMOであるジョージ・シズ氏は「タグ・ホイヤーにとって、まさにエキサイティングな瞬間です。ポルシェとの新しいコラボレーションは、私たちが共有する精度とパフォーマンスへのこだわりの頂点を表しており、これは、私たちのレースの伝統への融合であり、偉大なるモータースポーツの精神を讃えるものです」と述べており、今後ますますポルシェとタグ・ホイヤーとの結びつきが強くなるであろうことも予感させ、”次回作”には期待がかかります。
ちなみにですが、この2台のうち1台(152)は来年はじめにオークションへとかけられることが発表されていますが、残る一台については去就が公開されておらず、ポルシェのVIPカスタマーへと納入されることになるのかもしれません。
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参照:Porsche