| ポルシェは当面「EVとガソリン」という異なる方向を追求してゆくことに |
そのぶんコストはかかるものの、リスクが分散できていいのかも
さて、ポルシェが「フェイスリフト版の911、そしてオールエレクトリックモデルとして生産される718ボクスターとケイマンに対応するため、自社のツッフェンハウゼン工場をアップデートした」と発表。
シュトゥットガルトにあるツッフェンハウゼン工場は、1950年の春に356の組み立てを開始した後、70年以上にわたりポルシェのスポーツカーラインアップを製造してきましたが、その間には多くの変化があり、まず規模が劇的に拡大し、最先端のペイントショップ導入、そして近年ではエンジン工場も加わることに。
ポルシェはツッフェンハウゼン工場をどう改装したのか
718ボクスターとケイマンは2025年モデルとして「EV版」が2024年に発表されてEV専用パワートレインに切り替わり(あるいは現行モデルが継続生産されるという話もある)、911は少なくとも2030年まではガソリンエンジンを搭載することに鳴るものの、来年に行われるであろうフェイスリフトでは「911史上初のハイブリッドモデル」が誕生する予定です。
そして今回ポルシェがアナウンスしたのが「ポルシェがツッフェンハウゼンで製造される新型スポーツカーには、製造プロセスにおいて自動運転技術を全面的に採用する」。
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現在でもポルシェは敷地内の別ラインで製造するタイカンと同様、911においても一部で(従来の組み立てラインに代わる)自律走行プラットフォームを導入していますが、これらの自動搬送台車(AGV)は、製造工程に柔軟性をもたらすことになり、ポルシェは "将来的に、ガソリンエンジンとエレクトリックパワートレインを搭載した車両を単一ラインで混在生産することが可能になる "とコメントしています。
おそらくですが、一定のポイントを出発した「これから組み立てられるガソリン車のボディ」はガソリン車専用のスペースへと自走してゆき、ピュアエレクトリックカーにおいてはまた別のEV専用スペースへと走っていって個別の場所にて組み立てられることになるものと思われ、これはたしかに「ベルトコンベアで流れてくる車体を組み立てる」方式では対応できない製造方法かもしれません(トヨタでもつい先日、自走式生産工程を取り入れるとアナウンスがあったところである)。
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ポルシェは今後製造する車両の品質管理も強化
さらには品質管理も改善され、最も顕著なのは塗装やボディの欠陥を発見しやすくする新しいライトトンネルだそうで、さらにポルシェによると、EV用として音響テストベンチを変更するなど、複数の追加品質チェックとプロセスが導入されたのだそう。
この音響テストベンチというのは「車内のノイズ」を計測するものだと思われますが、EVは車内が(ガソリン車よりも)静かという特徴があり、ガソリン車では許容されなかったノイズが許されなくなるという傾向も。
そしてポルシェのスポーツカーは伝統的に「盛大に車内でノイズが発生する傾向にあるので」この対策が重要なのだと思われます(ポルシェの室内におけるノイズについて触れると、必ず”レクサスに乗れ”と言われるのが現在の風潮ではあるが)。
そのほか、ポルシェはタイカンと新型718ボクスター・ケイマンEV、マカンEV用のエレクトリックモーターをツッフェンハウゼンで製造すること、ポルシェミュージアムの向かいにあるポルシェプラッツの旧ポルシェセンター跡地に新社屋を建設してさらにEV製造管理業務を強化すること、2025年に完成予定のこの新社屋では、2フロアを覆う巨大なラックにタイカンと718EVの部品を保管し、今年9月にオープンした同様のラックシステムを補完することについても言及しています。
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