Image:Audi
| さらにはバッテリー容量の引き下げ、充電容量の引き下げや加速性能・最高速の調整を行い低価格化を実現 |
このQ4 35 e-tronでは「相当な苦労」のあとがうかがえる
さて、アウディは非常に高い熱意を持って電動化を進める自動車メーカーのひとつですが、今回さらにその普及を進めるべく「エントリーモデル」のQ4 35 e-tronを欧州市場向けとして発表。
もちろんアウディはこのエントリーモデルにて価格の引き下げ、そしてそれによる拡販を狙ったわけですが、その手法として用いたのがバッテリー容量の縮小(55kWh)、そして出力の抑制と装備の簡略化です。
そしてその徹底ぶりはハンパなく、なんと装備に至っては「アルミホイール」ではなく「スチール(鉄チン)ホイール」を装着するというこだわりを見せており、「いやむしろ、19インチサイズのスチールホイールなんか存在したんだな」という印象。
アウディとしては苦渋の決断であったのだと思われるが
なお、スチールホイールしかも19インチとなると相当な重量となり、よって容量が小さくなったバッテリーから「さらに」航続可能距離を削り取ることになると思われるものの、アウディとしては「得られるコスト削減効果のほうが大きい」と判断したのだと思われます。
ちなみにですが、エレクトリックモーターの出力も170馬力へと抑えられており、さらには加速性能や最高速も犠牲になっているようで、0−100km/h加速は9秒、そして最高速は160km/hに抑えられ、これによってなんとか365kmの走行距離を確保しています。※Q4 45 e-tronは286馬力、0−100km/h加速は6.7秒、最高速は180km/h
さらに価格抑制の方法として、175kWから145kWへとDC急速充電の容量が引き下げられ(それでもバッテリーそのものの容量が小さいので、わずか25分で10パーセントから80パーセントまで充電できる)、そのほかも外装パーツのフィニッシュが簡素化されるといった変更点も。
ただしその効果は比較的大きく、このQ4 35 e-tronは(Q4 45 e-tronに比較して)7,350ユーロも安い45,600ユーロに設定されており、これによってアウディのEVにおけるベストセラーのポジションを固めることになるのかもしれません。※下の画像はアルミホイール装着車
なお、欧州市場は日本や米国市場とは異なって環境意識が全般的に高く、よって新しいモノ好きのアーリーアダプターだけではなく日常の足としてクルマを使用する人でもEVを買い求める傾向が強いとされ、そこで要求されるのが「道具としての安価なEV」。
そこにはブランドバリューやデザイン性はさほど要求されず、逆に求められるのは「安さ」であり、これが中国製EVが欧州市場を席巻する理由となっているわけですが、今回アウデイもそういった要望へと応えるべく対応を行ったということになりそうですね。
一方、LED ヘッドライト、レザー巻きステアリング ホイール、ヒーター付きフロントシート、10.25インチサイズのデジタルメーターといったプレミアムな装備も見られ、ここはアウディとしての矜持を保ったところなのかもしれません。
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参照:Audi