| マクラーレンはかつて「販売台数」を追求したがために本社を失うまでの窮地に陥っている |
しかし現在、「理想」に向けて順調に回復への歩を進めているようだ
さて、マクラーレンCEO、マイケル・ライタース氏が欧州カーメディアに対して語ったところでは「同社の平均販売単価が1台あたり24万ポンド(現在の為替レートにて4570万円)に達した」とのこと。
現在マクラーレンの販売台数で多くを占めるのは「より手頃な」アルトゥーラではありますが、750S(25万〜26万ポンド)の人気も上昇しているといい、今回の販売単価の上昇はこの影響があるもよう。
「無理やりオプションを装着させるのは間違いである」
なお、マイケル・ライタース氏は「平均販売価格が上昇することは喜ばしいことである」と前置きし、しかし「人為的にクルマの開始価格を吊り上げ、オプションに高いプレミアムを要求することはできるが、それは間違いであり、製品の実質がなければ意味がない」とも。※マイケル・ライタースCEOはポルシェ、フェラーリを経てマクラーレンへと着任しており、それらの手法を暗に批判しているのかもしれない。ちなみにパーソナリゼーションプログラム、「MSO」の利用に関してもMSOカラーの選択が必須という意外の制限はない
そしてフェラーリの手法とは逆に「生産を制限するつもりはない」ことにも触れており、しかし「理想(本音)としては利益率の高い少数のクルマを販売したい」と語っています。
現在はその「理想」へと向っている最中だとも考えられますが、同氏は「焦点は量から質に移っている」こと、「もはや米国のディーラーには車両を在庫していない」ことについても言及していて、これはコロナ禍前に「販売台数を重視するあまり、ディーラーに在庫車を置き無理やり販売していたため、コロナウイルスのパンデミックによってディーラーを訪問する客が減ると同時に販売の機会が激減し」それにあわせて販売台数が減ってしまったことに対する反省なのだと思われます。
一方、ランボルギーニそしてフェラーリは「100%受注生産」なので何が起きようとも受注したクルマを製造するだけでよく、そして顧客はそれをキャンセルすることがないために売上を失うこともなく、ここが当時のマクラーレン、フェラーリそしてランボルギーニとの差でもあったわけですね。
実際のところ、750Sに関しては「生産は顧客からの注文のみによって行われている」といい、もちろんその目的は「製品の希少性と独占性を生み出す」ことにありますが、マイケル・ライタースCEOはフェラーリにて学んだ手法をうまくマクラーレンにも取り入れているということになりそうです。
さらに現在、マクラーレンは「SUVを持たない」唯一のブランドだと言ってよく、しかしこの状況への対処についても、マイケル・ライタースCEOは(カイエンとプロサングエを開発した経験によって)マクラーレンにSUVをもたらそうとしている最中であり、そしてそのSUVの価格はフェラーリ・プロサングエやロールス・ロイス・カリナンと同等レベルに達するとも言われ、よってこのSUVはマクラーレンの平均単価を大きく押し上げ、これまでにない利益をもたらすことになるのかもしれません。
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参照:Automotive News Europe