ポルシェが「センターロックホイール装着車」に対しリコール。モータースポーツでは定番の構造ではあるが、市販車においては「賛否が分かれる」のがこのセンターロックホイール

Image：Porsche

｜　一般の環境では専用の工具と知識がなければむしろ「危険」なのがセンターロックホイールでもある　｜

よってセンターロックを採用しないハイパフォーマンスカーも少なくはない

さて、ポルシェが北米にて「センターロックホイールを装備した1,851台の車両についてリコールを発表」。

対象となるのは2024年モデルのポルシェ911、718ケイマンGT4 RS、718スパイダーRSの3モデルで、このリコールは、センターロックホイールに使用されているナットに関する潜在的な問題が原因となり、走行中にホイールが外れる恐れがあるため、販売店や車両オーナーに使用中止を通知するという初動が取られることに。

そしてこの潜在的な問題とは「ナットの破損」だとされ、これが破損するとホイールが外れる原因となり、走行中に非常に危険な事態を引き起こす可能性がある、と（ポルシェが）説明しています。

対象モデルは「場合によって「部品の交換」

対象となる（2023年9月から2023年12月の間に製造された2024年モデルの）ポルシェ911、718ケイマンGT4 RS、718スパイダーRSのオーナーにはまず「車両を運転しないよう」通知がなされ、その後12月下旬に点検と修理に関する案内が出されるそうですが、点検においてはまず問題がないかの確認がなされ、もし問題があれば破損した部品の交換が行われるとのことで、つまり「破損がなければ」問題はないのかもしれません。

なお、今回のリコールは「実際に破損したセンターロックナット」の例がいくつか報告されたことをもとに調査そして実施がなされるものであり、調査に関しては現在も継続しているとのことなので、もしかすると「追加」のリコールがなされる可能性もありそうですね。

センターロックホイールにはある種の「特殊性」も

センターロックホイールは、特にモータースポーツでよく使われる構造で、質量が（通常の構造に比べて）軽く収まるうえ、ピットストップの際に素早くタイヤ交換を行うことができるというメリットがあり、従来のホイールは複数のボルトでホイールが固定されるものの、センターロックホイールは中央の1本のナットにて固定され、この設計はレースにおいては非常に効果的かつ効率的ではありますが、一般道の車両においては賛否が分かれる仕様です。

というのも一般道を走る車両においては「ホイール交換を急ぐ」必要がなく、むしろ特殊なツールを使用しなくてはならないことで「交換が面倒に」なってしまうから。

加えて適切なトルクでしっかりと締め付ける必要があるためにプロフェッショナルによる作業が必須であり、帰ってメンテナンス性を損なってしまうケースがあるわけですね。

たしかに「軽量化」というメリットは残るものの、それを重視してまで利便性を排除しリスクを背負い込むまでの必要性を見出すことはできず、よってこの構造を採用しないハイパフォーマンスメーカーも多数存在します。

参考までにですが、センターロックホイールを採用し続けてきたランボルギーニはレヴエルトにて（現段階で）これを用意しておらず、スペチアーレではやはりセンターロックホイールを採用し続けてきたフェラーリも最新限定モデル「F80」にて通常の5穴保持方法を採用しているため、両者ともなんらかの問題を認識しているのかもしれません。

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