
| この詐欺師は文字通り「犯罪の宝庫」ともいえる経歴を持っている |
それにしても8億円をポンと払えるのにも驚かされる
さて、クルマの盗難や詐欺はどんどんその手口が高度化しており、クルマを購入する側としてもさまざまな警戒を行う必要が生じているわけですが、今回はメルセデスAMG Oneの「生産枠」を(転売業者から)ある人物が入手したものの、その転売枠は”実売せず”、540万ドル(現在の為替レートにて約8億3300万円)を失うという現実に直面しています。
この人物はこの540万円の変換を求めて訴訟を行っている最中だそうですが、ざっとその経緯を見てみましょう。
今回の事件は「弁護士ぐるみ」
このメルセデスAMG OneはF1由来のエンジンとハイブリッドシステムを搭載したハイパーカーで、その価格280万ドル(4億2000万円)にもかかわらず、限定生産台数275台が一瞬で完売したわけですね。
よって多くの「買えなかった」人が中古市場あるいは転売市場へとやってくることとなり、今回の原告であるロサンゼルス在住のマイケル・メンテ氏もそのひとり。
まず彼はコロラド州の弁護士から、フランスに住む人物がその貴重なビルドスポットを「販売したがっている」という連絡を受けることになるのですが、このビルドスポットとは「生産枠」と訳すことができ、つまりメルセデス・ベンツから正式に購入権を得た人物が確保している「275台のうちの1台」ということに。

この弁護士はスコット・オリバー、そしてビルドスロットを販売したいという人物はジャン=ピエール・M.R.クレモンと名乗っていて、この2人はつまり「共謀者」であったと見られています。
かくしてマイケル・メンテ氏はその代金として540万ドルを支払うことになり、その生産枠に割り当てられた「仕様決め」の日を待つことになるのですが、いつまで経ってもその日は訪れず、しかし代わりに来た連絡はアメリカ合衆国国土安全保障省からの「テキサスの詐欺師、トラヴェオン・ロジャースによってお金をだまし取られた可能性がある」。
その後紆余曲折を経てマイケル・メンテ氏は2024年2月18日にコロラド州のアメリカ合衆国地方裁判所に訴訟を起こし、弁護士を名乗るスコット・オリバーと詐欺師に対して返金と損害賠償を求めている、というのが現在の状況です。
なお、詐欺師とされたトラヴェオン・ロジャースはテキサス州にて服役中で、過去にも同様の詐欺で有罪判決を受けたことがあるといい、2019年にはヒューストンで重罪窃盗の罪で起訴されたほか、2023年には別のAMG One詐欺でも訴えられており、2024年には7年間の実刑を言い渡されたという報道もなされていて、性的暴行、保険詐欺、暴行などの過去の罪にも言及されています(生粋の犯罪者という印象で、本当にこんな人間がいるんだな、と驚かされる)。
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