
| アストンマーティンが「自社の株主」を提訴。100年続く伝統の「羽」を守れるか |
アストンマーティンが身内を訴える異例の事態。「似すぎたロゴ」が招いた高級車ブランドの苦悩
イギリスの至宝、アストンマーティンがいま、非常に気まずい法的紛争の渦中にあるとの報道。
相手はあろうことか、アストンマーティンの株式を17%も保有する大株主、中国のジーリー・ホールディング・グループ(吉利控股集団)で、ことの発端は、ジーリーが申請した新しい「ウィングバッジ(羽のエンブレム)」のデザインにあるとされ、アストンマーティンがこれを「模倣」として提訴することに。
訴訟に発展したということは「話し合いで解決できなかった」ということになりそうですが、アストンマーティン側は「自社の象徴的なロゴに酷似しており、顧客を混乱させる」と主張しているものの、ネット上では「訴訟の相手を間違えてないか?」との声も上がっています。
この記事の要約
- 争点は「羽のロゴ」: ジーリー傘下のLEVC(ロンドン・タクシー)の新ロゴが対象
- 皮肉な関係: 訴えられたジーリーは、アストンの第3位の大株主
- 一度は敗訴: アストンはすでに一度敗訴し、約44万円(2,200ポンド)の支払いを命じられている
- 異例の控訴: それでもアストンは諦めず、控訴院へ持ち込む強気な姿勢

なぜアストンマーティンは「身内」を訴えてまで戦うのか?
実はこの紛争は2022年にまで遡るといい、ジーリーがロンドンEVカンパニー(LEVC)向けに登録しようとしたロゴは「中央に馬の頭を配し、左右に翼(ウイング)を広げたデザイン」。
アストンマーティンは約98年前からウィングバッジを使用しており、「ブランドの魂」とも言える知的財産を守るために異議を申し立てたということになりますが、しかし(アストンマーティンのお膝元である)英国知的財産庁(IPO)の判断は冷ややかなものだったといいます。
「電気自動車のブラックキャブ(ロンドンタクシー)と、アストンマーティンのスポーツカーを買い間違えるユーザーがいるとは思えない」
この真っ当な理由に加え、ベントレーやMINIなど、他にも多くのブランドが「羽」を使っていることも逆風となったわけですね。
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アストンマーティンの伝統 vs ジーリーの世界的攻勢
この対立を深く理解するために、両者の立ち位置を整理してみると・・・。
1. アストンマーティンの「ウィングバッジ」
アストンマーティンのロゴは、単なる記号にとどまらず、スカラベ(フンコロガシ)の羽をモチーフにしたと言われるそのデザインは、DBシリーズなどの歴史的名車、そしてボンドカーにも刻まれてきた、ラグジュアリーの頂点を象徴する意匠です。

2. ジーリー(吉利)の巨大な支配力
一方で、訴えられたジーリーは今や世界の自動車産業の「黒幕」とも言える存在で・・・。
- 保有ブランド: ボルボ、ロータス、ポールスター、スマート(ベンツとの合弁)など
- アストン株: 17%を保有し、技術供給なども行う重要なパートナー
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さらに吉利の創業者、李書福氏はメルセデス・ベンツの最大株主としても知られており、ジーリーの自動車業界における支配力は完全に中国を飛び出し、「世界」に影響を及ぼすまでに至っているわけですね。
Global engineering. Long-term vision.
— Geely Auto (@GeelyAutoGlobal) March 28, 2026
Geely Starray EM-i (Geely EX5 EM-i) and Geely E5 (Geely EX5) support Geely’s steady move into Germany, alongside the opening of the brand’s first showroom at the local.
Reliable for everyday driving.#GeelyAuto #SeeTheWorldInFull #GeelyEurope pic.twitter.com/nDTHR465AL
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紛争の相関図
| 項目 | アストンマーティン側 | ジーリー(LEVC)側 |
| 主張 | 98年の伝統があるロゴの侵害 | 独自のデザインであり混同は起きない |
| 法的状況 | 一審敗訴、現在控訴中 | 一審勝訴、ルーチンな商標争いと静観 |
| 関係性 | 被投資会社(守る側) | 主要株主(攻める側) |
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参考までに、「欧州の自動車メーカーと中国の提携先」にはけっこうトラブルが発生していて、過去にはメルセデス・ベンツの現地合弁パートナー、北京汽車が「Gクラス(ゲレンデ)そっくりのSUV」を発売したことがあり、しかしその際にメルセデス・ベンツは何もいえなかったようなので、「中国市場の巨大さ」を考慮して泣き寝入りする場合もあるもよう(北京汽車と争って合弁を解消され、中国市場を失ってはたまったものではない)。
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こういった状況があるからか、中国の自動車メーカーは(たおえそれが提携先の持つ意匠であっても)堂々とデザインをパクる傾向にあり、それどころか敵対的買収を仕掛ける例までもが見られます。
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さらに吉利汽車はアストンマーティンを買収したがっているとも報じられ、敵対的な行動も過去に報じられているため、アストンマーティンとしては「断固たる姿勢」を貫く必要があるのかもしれません。
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実は「羽」だらけの自動車業界
アストンマーティンは「混同」を懸念していますが、実は自動車業界には「羽」をモチーフにしたロゴが溢れていて、今回の裁判でアストンが苦戦しているのは、これら他ブランドの存在があるからだとも報じられ・・・。
- ベントレー: 左右非対称の羽を持つ「フライングB」。
- MINI: スポーティさと自由を象徴するウィングロゴ。
- クライスラー: かつては長大な羽を持つロゴを採用。
- ジェネシス(現代): 比較的新しいブランドだが、立派なウィングを採用。
アストンからすれば「我々が元祖だ」という自負があるものの、司法は「羽はもはや一般的なデザインモチーフである」と見なしているのが現状です。

結論
今回の提訴は、アストンマーティンがいかに自社のブランドイメージを神聖化しているかの表れで、たとえ相手が会社の存続を左右するほどの大株主であっても、譲れない一線があるのかもしれません。
しかし、ビジネスの観点で見れば、大株主と法廷で争うのは「握手しながら足を踏みつけている」ようなものでもあり、ジーリー側は「ルーチンな商標紛争」として大人の対応を見せているものの、このひび割れが今後の技術協力や資金調達にどう響くのかについては注視を要するというのが現状です。
知っておきたい豆知識:なぜ羽のロゴが多いの?
自動車メーカーがこぞって「羽」を採用するのは、初期の自動車産業が「航空機産業」と密接に関係していた名残でもあり、スピード、自由、そして上昇への憧れを表現するのに「羽」はこれ以上ないモチーフです。
ちなみにアストンマーティンの”羽”は、上述の通り古代エジプトの聖なる甲虫「スカラベ」の羽がモチーフと言われていて、神聖な意味も込められています。

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参照:CARSCOOPS











