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なぜBMWは”ピュアなFR”であるM2に4WD「xDrive」を設定したのか?M部門のボスが明かした“アメリカとスイス”から出された切実な裏事情とは

BMW M2 xDriveのエクステリア(リア、走行)

Image:BMW

| なぜBMWはFRピュアスポーツの聖域に「xDrive(4WD)」を解き放ったのか |

4WDに対する要望は非常に強い

「BMWのコンパクトMモデルといえば、軽快にテールを振りながら走るFR(後輪駆動)こそが正義」――。そう信じて疑わなかった世界中のエンスージアストの間に大きな衝撃が走ったのがちょっと前。

BMW M GmbHは現行型M2(G87)のラインナップに史上初となる四輪駆動モデル「M xDrive」を正式に追加することを発表し、これまで兄貴分である「M3セダン」や「M4クーペ」には4WD仕様(xDrive)が存在していたものの、最もコンパクトで俊敏な「M2」だけは頑なにFRのパッケージを守り続けてきたわけですね。

なぜBMWはここに来て自らのアイデンティティとも言えるFRという聖域を崩し、M2に四輪駆動システムを与えるという決断を下したのか?その裏には、特定の国と地域におけるユーザーたちの「切実なタイヤ事情」と、BMW M部門を率いるボスの緻密な市場分析があったということが明らかに。

【この記事の要約(3つのポイント)】

  • 史上初「M2に4WD」が正式追加:BMWはこれまでFR(後輪駆動)にこだわってきたコンパクトスポーツ『M2』に、初めて四輪駆動システム「M xDrive」を設定。
  • 生みの親はアメリカの“寒冷地ユーザー”:冬でもオールシーズンタイヤのまま通す米国北東部・中西部、およびスノーエリアであるスイスからの熱烈な要望が開発を後押しした。
  • 圧倒的な加速力とFRモードの継承:xDrive化により0-60mph(約96km/h)加速は3.6秒に短縮(RWD比-0.3秒)。4WDでありながら、100%後輪駆動に固定できる「2WDモード」も健在。
BMW M2 xDriveのエクステリア(フロント、正面)

Image:BMW

詳細:「冬でも夏用/オールシーズンタイヤ」というアメリカ特有のリアルと、スイスの豪雪が生んだ超要望

BMW M部門の最高責任者(ボス)であるフランク・ヴァン・ミール氏は、海外メディアのインタビューに対し、M2にxDriveを導入した最大の動機について、北米市場における非常に具体的な顧客の行動パターンを挙げており、ヴァン・ミール氏によると、アメリカの北東部(ニューヨーク、ニュージャージー、ペンシルベニアなど)や中西部(イリノイ、ミシガン、オハイオなど)に住む顧客の多くは、春や夏はもちろん、雪や凍結の恐れがある冬期や寒暖差のあるシーズンであっても、スタッドレスタイヤに履き替えず「オールシーズンタイヤ」のまま乗り続ける傾向が非常に強いのだそう。

「そのような地域や気候、そしてタイヤの使い方において、極めてハイパワーなFRのM2を日常の足として安全・快適に運用することは『ハッキリ言って実現不可能(simply not feasible)』なのです」

つまり、日常的に悪天候に見舞われるエリアのユーザーから「毎日使える全天候型のハイパフォーマンスM2が欲しい」という“悲鳴に近い大需要”が寄せられていたということに。

BMW M2 xDriveのエクステリア(俯瞰図)

Image:BMW

アメリカと「スイス」の奇妙な共通点

このM2 xDriveの誕生を力強く後押ししたのはアメリカ市場だけではないといい、ヨーロッパにおいて同様に(4WDに対して)高い需要を示したのが「スイス」です。

スイスはアルプス山脈を抱え、冬場は非常に厳しい積雪地帯となることで知られており、アメリカの寒冷地ユーザーとスイスの熱狂的なドライバー、この2つの市場からの熱いラブコールがBMWを動かす決定打となったのだと報じられていて、BMWは意外や「動きが軽い」会社ということになるのかも。

なお、アメリカ市場がBMWの仕様変更を動かしたのはこれが初めてではなく、過去にはE60型やF10型の「M5」において北米市場限定でマニュアルトランスミッション(MT)仕様が特別に復活した歴史や、最新の「M3 CS Handschalter」が北米専用として設定された前例もあり、今回もBMWの最大市場であるアメリカの強いこだわりがグローバルモデルのスペックを塗り替えたというわけですね。

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車種概要:最速にして全天候型、2WDモードも備える万能モンスター

新設定された『M2 xDrive』は単なる寒冷地仕様のセーフティモデルではなく、4WD化の恩恵により加速性能は大幅に強化されています。

新型 BMW M2 xDrive スペック表

項目BMW M2 xDrive(2027年モデル)
エンジン3.0L 直列6気筒 DOHC ツインターボ(S58エンジン)
最高出力473 hp @ 6,250 rpm
最大トルク600 Nm
トランスミッション8速Mステップトロニック(AT専用、MTの設定なし)
駆動方式M xDrive(電子制御多板クラッチ式4WD)
0-60mph(約96km/h)加速3.6秒(※ワンフィートロールアウト時は3.3秒)
最高速度250 km/h ※Mドライバーズパッケージ選択時は285 km/h
車両重量1,808 kg
BMW M2 xDriveのエクステリア(サイド、走行)

Image:BMW

M xDriveの賢い制御:4WDになっても「Mの走りの歓び」は健在

M2に採用される「M xDrive」は、通常のオンロード走行時には100%の駆動力を後輪に配分する「後輪駆動重視(リアバイアス)」のキャラクターに仕上げられており、リアタイヤがグリップの限界を迎えたとシステムが判断した瞬間にのみ、フロントホイールへ駆動力がシームレスに伝達されるロジックを持っています。

さらにシステム設定(M Setup)から「DSC(横滑り防止装置)オフ」を選択すると、駆動力を100%後輪に固定する「2WDモード」が起動可能で、これにより4WDの圧倒的なトラクションで安全にストリートを走破できる一方、サーキットやクローズドコースでは、従来通りのアグレッシブなテールスライドやドリフトを楽しむことができるというわけですね。

そしてこの「4WD版M2」は雪道だと「この上なく楽しい」クルマとなりうる可能性を秘めており、もしかするとFR版よりも高い人気を獲得する可能性も。

排ガス規制「ユーロ7」対応と、北米市場の“マニュアル信仰”

今回のxDriveモデルの追加に合わせ、M2に搭載される「S58」3.0L直6ツインターボエンジンにも、いくつかの技術的変更が施されており・・・。

「ユーロ7」への適合とマニア向けMT仕様の死守

なお、2027年モデルのM2は、ヨーロッパで導入される極めて厳しい排ガス規制「ユーロ7(Euro 7)」に対応するため、副室燃焼技術を用いた「M-Ignite(Mイグナイト)」と呼ばれる新たな点火システムを導入しています。

アメリカ仕様の車両には規制上この技術は不要とされていますが(欧州のような厳しい環境規制が導入されていないため)、BMWによれば、排気効率の改善によってマフラーから奏でられるエキゾーストノート(排気音)の音質が若干向上し、さらに燃費もわずかに改善されるメリットがあるとのこと。

BMW M2 xDriveのエクステリア(フロント、走行)

Image:BMW

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なお、「BMWからファンへの最大のギフト」も残されていて、4WD版が導入されたのちもFR+マニュアル(MT)仕様のM2が引き続き併売されるという点も見逃せず・・・。

  • M2 xDrive(4WD):8速ATのみ(走りを極限まで効率化)
  • M2 ベースモデル(RWD):6速MT / 8速ATを選択可能(ピュアなFRの操縦性を堪能)

「4WDに移行するならすべてATにしてFRを廃止する」という効率優先の選択をせずにニッチなマニュアル派の声に耳を傾け、FRの選択肢を残したことこそが、BMW Mが今なお熱狂的に愛される理由なのかもしれません(ただ、M2においても4WDの販売が圧倒的になれば、MTの販売比率が下がってしまいMT消滅の機器となるのかも)。

結論:M2 xDriveは「走る場所を選ばない」究極のデイリー・スーパーツアラー

「FRこそが至高のスポーツカー」という思想は確かに美しいもので、しかし、雨や雪、あるいは冷え切った朝の舗装路といった過酷な現実世界において、約480馬力の超高出力を2本のタイヤだけで受け止めるのは容易ではなく、しかしBMW M2 xDriveは日常を何一つ犠牲にすることなく、365日いつでもサーキットレベルの速さと安全性を手に入れられる「全天候型のスーパーコンパクト」へと進化を遂げており、しかも、その気になればボタン一つで伝統の「FRドリフトマシン」へと戻すことも可能です。

市場のリアルな声とファンの情熱の間で、BMW Mが導き出した最適解。この4WD版M2の登場は、単なる仕様追加の枠を超え、ラグジュアリースポーツカーの新しい遊び方を定義する1台になりそうですね。

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参照:Motor1

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