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なぜ?BMWだけが「トヨタやVWが物理ボタン復活に踏み切る中」、ボタン排除を加速し真逆の方向へ。その理由、そして勝算とは

新型BMW iX3のインテリア〜ステアリングホイール
Life in the FAST LANE.

| 「脱・ボタン」を突き進むBMWの真意と業界の激震 |

ユーザーの悲鳴を無視?BMWが「物理ボタン廃止」を頑なに推し進める背景とは

近年ではクルマのダッシュボードからエアコンやナビのダイヤル・ボタンが消え、大型タッチパネルに集約されるデザインが主流となっているのは御存知の通り(主にコスト面から)。

しかし走行中に画面を直感的に操作しづらいことやメニュー階層の奥深くにアクセスしなければならないという利便性の低さから、これに対し世界中でドライバーからの強い不満が巻き起こっているのもまた事実。

こうした声を受け、トヨタやフォルクスワーゲン(VW)、アウディ、フェラーリなどの主要メーカーは「物理ボタンの再採用」を明言し、VWのブランドCEOトーマス・シェーファー氏が「物理ボタンへの回帰は譲れない条件だ」と語るなど、業界全体がボタン回帰のトレンドにシフトしつつある、というのが直近の状況です。

しかし、BMWだけはこの流れに真っ向から異を唱えていて・・・。

BMWは「ボタン完全廃止」を否定。「調査では、顧客は物理的操作を求めている」として次期iX3はじめ今後の新型車でも物理スイッチを継続
BMWは「ボタン完全廃止」を否定。「調査では、顧客は物理的操作を求めている」として次期iX3はじめ今後の新型車でも物理スイッチを継続する意向

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この記事の要約

  • 他社がボタン回帰へ向かう中、BMWは逆行:トヨタ、VW、アウディ、フェラーリといったメーカーが顧客の不満に応えて物理ボタンの復活を決める一方、BMWはインテリアからボタンを削り続ける強気な姿勢を崩していない
  • 「45歳以下の若い世代はタッチと音声を好む」:BMWオーストラリアのCEOヴィクラム・パワ氏は、スマホ感覚に慣れた若い世代のライフスタイル変化に対応したものであり、時代に合わせた必然の進化だと説明
  • 2027年「中国の法規制」という巨大な壁:物理ボタン排除を進めるBMWではあるものの、中国政府が2027年7月より主要19機能への物理スイッチ設置を義務付ける法規制を決定したことで戦略の再構築を迫られる可能性がある
新型BMW iX3のインテリア〜ダッシュボード
Life in the FAST LANE.

新型「iX3」に見る極限のミニマリズム

最新のBMW「iX3」の車内を見渡すと、アームレスト周辺にあるシフト選択用トグルスイッチ、ハザードランプ、パーキングブレーキなどの最小限のボタンを除き、ほぼすべての操作系がセンターディスプレイへと集約されていることがわかります。

BMWグループ・オーストラリアのCEOであるヴィクラム・パワ(Vikram Pawah)氏は、この変化について「クルマは単体で存在するものではなく、周囲の社会の変化の一部である」と説明し、パワ氏によると「特に45歳以下の若い顧客層は日常的にスマートフォンや音声アシスタントに慣れ親しんでおり、タッチ操作や音声対話を自然に受け入れている」。

新型BMW iX3のインテリア〜センターコンソール
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新型BMW iX3のインテリア〜ステアリングホイール
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かつての「iDrive」論争の再現か?

BMWオーストラリアの広報責任者リアン・ブランケンバーグ氏は2001年にBMWが初代「iDrive」を投入した際の業界の反響を引き合いに出し、当時はダイヤル一つに操作を集約する設計が大きな批判を浴びたものの(それによってBMWは一部モデルにおいて操作系を元に戻したことがある)、結果として業界標準のインターフェースへと成長した歴史についても触れており、さらにBMWは「大きな変革には常に反発が伴う」として、今回のデジタル操作への集約も”時代の先を行くアプローチ”であると確信を持っていると改めて強調することに。

BMW 7シリーズのインテリア(iDrive)
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競合他社の動向とBMWを待ち受ける「2027年の法規制」

BMWが突き進む「ボタンレス」路線ではありますが、他社の足並みや今後の国際的な安全基準と照らし合わせると、手放しで成功を予測できる状況ではありません。

1. 競合メーカーの「物理ボタン回帰」の動き

  • フォルクスワーゲン (VW):「ボタンの復活と理解しやすい名称の再採用」を約束して操作性の改善に注力
  • アウディ & ポールスター:顧客からの「画面操作は気が散る」というフィードバックを真摯に受け止め、物理スイッチの再配置を進める
  • トヨタ:最新のRAV4などでボタン数を減らしつつもユーザーの現場の声を反映した実用的な配置を模索中
トヨタ・ハイラックスのインテリア〜シフトレバー
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フォルクスワーゲン、タッチ式操作が不評につき物理スイッチ回帰へ──でも中国市場は別の意見を持っている?
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2. 中国市場における「19機能の物理ボタン設置義務化」(2027年7月施行)

BMWの戦略にとって最大の脅威となるのが世界最大の自動車市場である「中国」での法規制の動きであり、中国当局は安全面への懸念から、2027年7月1日以降に製造される新車に対し、ワイパー、ウインカー、ハザード、ギア選択など19の重要安全機能について「物理的なスイッチやボタン」の搭載を法律で義務付ける方針を固めたことが報じられています。

これは「電子式ドアハンドル、目立たないように配置されたインナードアハンドルの見直しなどと同様、(安全性を二の次にした)デザイン優先のデジタル化やデザインに歯止めをかける動き」ということになり、中国でクルマを販売するならば、いかに外国のブランドであっても「これに従わねばならない」ということを意味します。

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BMWと競合他社のインテリア方針比較

項目BMWの最新アプローチ競合他社(VW / アウディ / トヨタ等)
基本思想タッチパネル・音声認識への完全集約物理ボタンと画面のハイブリッド(原点回帰)
主要ターゲットデジタルネイティブ世代(45歳以下など)既存顧客および直感的な操作感を重視する層
代替操作手段高度な「BMWインテリジェント・パーソナル・アシスタント」ダイヤル、物理ボタン、ステアリング上のスイッチ
中国2027年規制への対応設計の再調整・一部ボタンの復活が必要な可能性すでに回帰傾向にあり、規制適合がスムーズ
新型BMW iX3のインテリア〜ステアリングホイール
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なぜ今「音声認識」がボタン廃止のカギを握るのか?

BMWが物理ボタンを削る強気の選択ができる背景には、同社の「音声認識技術(ボイスコントロール)」への絶対的な自信が存在します。

走行中にタッチパネルを操作することは、視線が道路から外れるため極めて危険であることに間違いはなく、実際にEuro NCAP(欧州の新車安全アセスメント)でも、安全に直結する操作が画面に埋め込まれている車に対して厳しい評価を与える傾向が強まっています。

そしてこの課題をクリアするため、BMWはAIを活用した音声アシスタントの精度を極限まで高めているという現状があり、「エアコンの温度を下げて」といった定型句だけでなく、「少し寒い」「風が顔に直接当たる」といった自然な対話を理解し、エアコンの設定、ドライブモードの変更、ナビの操作までを完璧に処理できるシステムを構築しようとしているというわけですね。

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しかし音声操作にも課題は残り、「同乗者が寝ている」「同乗者との会話を続けたまま機能の変更をしたい(会話中に突然クルマに対して話しかけるのには無理がある)」「音楽を大音量で聴いている」「速やかにデフロスター(窓の曇り止め)を入れたい」といった場面では、音声を出すよりも「手元で無意識にポチッと押せるボタン」の方が圧倒的に速く確実です。

よってBMWの賭けが成功するかどうかは、ユーザーが日常の運転でどこまで音声操作をストレスなく受け入れられるかにかかっているとも考えられ、今後の動向については「要注目」といったところかもしれません。

新型BMW iX3のインテリア〜ダッシュボード
Life in the FAST LANE.

結論

自動車業界全体が「画面至上主義」の反省期に入り、物理ボタンの復活へと舵を切り始める中、自らの信念を貫き「脱・ボタン」を進めるBMW。

かつてiDriveで業界の常識を覆した成功体験があるとはいえ、中国をはじめとする世界的な安全規制の強化や、実用性を重視するユーザーのリアルな声との摩擦は避けられません。

スマートフォン感覚の先進的なコクピットが新たなスタンダードとなるのか、それとも物理ボタンの持つ手触りと即時性が勝利するのか。BMWの強気な挑戦は、今後の自動車インテリアの未来を左右する大きな分岐点となりそうです。

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参照:Car Expert

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