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歴史なき中国ジーカー(Zeekr)はいかにして「歴史を重んじる」欧州市場に風穴を開けたのか?「歴史がないのが逆に我々の強みです」

香港で見かけたジーカー7X
Life in the FAST LANE.

欧州最高級車市場でBMWやメルセデスに挑む「圧倒的コスパ戦略」の真相

中国ブランドに持たれがちな「安かろう悪かろう」イメージを徹底回避

長年にわたり、欧州の高級車市場はBMW、メルセデス・ベンツ、アウディといった伝統と格式(ヘリテージ)を誇るプレミアムブランドによって独占されてきましたが、これは名門バッジそのものに高額なプレミアムを支払う顧客層が確実に存在するためで、しかしそれに「変化が生じようとしている」というのが直近の状況。

というのも昨今様々な報道がなされるように、中国のプレミアムカーメーカーが欧州へと続々進出しており、吉利汽車(Geely Auto Group)グループ傘下で独立運営される中国の気鋭プレミアムEVブランド「ジーカー(Zeekr)」もそのひとつ。

欧州市場進出からわずか3年で前年比200%の急成長を記録したジーカーではありますが、伝統的なブランド価値を持たない新興ブランドが、いかにして(伝統を重視する)欧州のプレミアムセグメントにて顧客を魅了しているのか、パリモーターショーにおける欧州CEOへのインタビューからその核心に迫ってみたいと思います。

香港で見かけたジーカーのEV、「X」
Life in the FAST LANE.

この記事の要約

  • 吉利汽車(Geely)傘下の高級EVブランド「ジーカー(Zeekr)」が、BMWやメルセデス・ベンツなど歴史ある高級車ブランドに対抗し、圧倒的なコストパフォーマンス(Value)を武器に欧州市場で急速にシェアを拡大中
  • パリモーターショーにて欧州CEOが語った戦略では、単に安さ(Cheap)を追求するのではなく、同価格帯で圧倒的に豊富な先進機能・クラフツマンシップ・パフォーマンスを提供する「ベストインクラスの価値提案」を掲げている
  • 中古車市場での極端な値落ち(残価率低下)を防ぐため、廉価グレードの排除、OTAアップデートによる車両価値の維持、5年保証やディーラー網の急速展開によって長期的なブランドの信頼性を構築

ジーカー(Zeekr)の欧州戦略概要

ジーカーの欧州最高経営責任者(CEO)であるローター・シューペット(Lothar Schupet)氏は、ドイツのプレミアムブランドから乗り換えるべき最大の理由として「価値(Value)」を挙げています。

シューペット氏によると、2026年における「プレミアム」の定義は数年前とは大きく変化しており、顧客は単なるブランドの歴史ではなく「支払った対価に対して何が得られるかをシビアに見極めるようになっている」。

ジーカーは、スウェーデン・ヨーテボリにあるデザイン&R&Dセンターで欧州の道路環境に合わせて開発・チューニングを行っており、親会社ジーリーの持つ圧倒的な世界的スケールと最新テクノロジーを融合させていることでも知られますが、同社は2026年末までに欧州22カ国、約200箇所の販売・サービスネットワークを確立する計画についても推進している最中です。

フラッグシップモデル「9X」

ジーカーの製品群(001、X、7X、8X、9X、7GT)は、欧州の同価格帯の競合モデルを遥かに凌ぐ機能とラグジュアリーさを標準装備として提供しており・・・。

  • 「安さ」ではなく「価値の高さ」を追及:競合を単に価格破壊(値下げ)で打ち負かすのではなく、「同じ価格帯で得られるイノベーション、クラフツマンシップ、プレミアム体験」を最大化する戦略を採用。他社では高額なオプションとなる機能の多くが標準装備されている
  • 「杭州湾のカリナン」こと最上級フラッグシップ「Zeekr 9X」:ジーカーのプレミアム戦略を象徴するのが、パリモーターショーで披露されたフラッグシップSUV「9X」。900V高圧アーキテクチャとハイブリッド技術を組み合わせ、最高出力897hp、0-100km/h加速4.1秒という超高スペックを発揮することで「パフォーマンスとラグジュアリーとを高度に両立させる」存在に
  • 北欧風クラフツマンシップと豪華インテリア:「9X」のインテリアには、手作業で磨かれた北欧産天然木材やナッパレザー、ジュエリーカットのクリスタルダイヤルに加え、ベントレー等に採用される最高峰音響ブランド「Naim」製32スピーカーサウンドシステム(ジーカーは自動車業界でライセンスを持つわずか2ブランドのうちの1つ)を標準装備

「安いクルマ」というイメージを持たれないことで、それを購入した消費者も矜持を保つことができ、かつ「(優れた機能を持つことで)いい買い物をした」という印象を与えていることが推測できます。

項目ジーカー(Zeekr)欧州展開モデル・戦略要約
主要ラインナップ001, X, 7X, 8X, 9X, 7GT
開発拠点スウェーデン・ヨーテボリ(デザイン・エンジニアリング)
フラッグシップ(9X)スペック最高出力 897 hp / 0-100km/h加速 4.1秒 / 900V超急速充電
欧州での成長率前年比+200%(2026年実績)
販売拠点数目標2026年末までに欧州200拠点

競合比較・市場での位置付け

欧州市場は歴史的に域内メーカー(VWグループ、ステランティス、ルノー、BMW等)が圧倒的なシェアを保持しており、外国メーカーにとって参入障壁が非常に高い地域としても知られます。

しかし、ジーカーを擁する吉利汽車(Geely Group)全体では、2026年前半の欧州販売台数が22万5,000台を超え、フォードやテスラ、日産、マツダといった大手ブランドを上回る販売実績を記録していて、それは「BMWやアウディの現行モデルと比較しても、ジーカーの上位モデルは質感が非常に高く、それでいて大幅に手頃な価格設定となっているから」だとも分析されており、単に安売りするのではなく、製品そのもののクオリティで顧客を納得させるアプローチが功を奏しているからであるとも認識されています。

補足情報(残価率への対策)

中国製EVや電気自動車全般における最大の課題の一つが「急激な値落ち(残価率の低さ)」であり、いかに新車価格が手頃であっても、中古車価格が暴落すれば顧客の資産価値が損なわれてしまうこととなってしまい、しかしシューペットCEOはこの課題に対しても明確な対策を語ることに。

  • 廉価(フリート向け)グレードの排除 :中古車市場に低スペックな車両が大量に流入してブランド価値が希釈(希薄化)するのを防ぐため、ジーカーは装備を極端に削った廉価モデルを設定しない
  • OTA(Over-The-Air)による絶え間ない進化: 定期的なソフトウェアアップデートにより、車両が納車後も年々進化し続けるため、モデルの古古化を防ぎ残価率を保護する
  • 5年保証と長期的なインフラ投資: 5年間の車両保証とアフターサービス網の構築、ヨーテボリでの持続的なR&D投資を通じ、一過性の参入ではなく欧州市場に根付く本気の姿勢をユーザーに示している
香港で見かけた中国製EV

結論

「伝統とブランドバッジ」が絶対的な価値を持っていた欧州高級車市場において、ジーカーは「真の価値と圧倒的なプロダクト力」を武器に新しいプレステージのあり方を提示する存在となったというのが現在地。

歴史を持たない新興ブランドだからこそ、しがらみなく最新技術と極上の空間をベストプライスで提供できる——。ジーカーの挑戦は、欧州の伝統的な自動車メーカーにとっても大きな脅威となりそうですね。

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参照:Carscoops

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