ベントレーはかねてよりコンパクトな2シータースポーツカーを発売すると言われ、実際に「EXP10 スピード6」をコンセプトカーとして発表しています。
さらにベントレーはこれのEVかつオープン版とも言える「EXP12 スピード6e」を今年のジュネーブ・モーターショーにて発表しており、実際にコンパクト2シーターを発売するのでは、という雰囲気も高まっているのが現状。
それでもなかなか発売できないのには「大人の事情」があるようで、ベントレーのカスタム部門「マリナー」のボスによると、「EXP10/12 スピード6を発売してほしいという強い顧客からの要望がある」としながらも、「物事はそうシンプルではない」とも。
物事を複雑にする要因は「もしベントレーがEXP10/12スピード6を発売した場合、アウディR8の販売を侵食する」という懸念。
キャラクターが被り、しかもグループの柱であるアウディの(スポーツにおける)イメージリーダー的モデルを食ってしまう、というのが問題であるようですね。
なおアウディR8はミドシップ、ベントレーEXP10/12はおそらくフロントエンジンになるので車自体の運動性能は大きく異なると思われますが、「ラグジュアリーGT」的性格からするとやはり重複するのかもしれません(どちらの車も真剣に走行性能を追求するユーザーが購入するわけではないと思われる)。
すでに販売は終了しましたが、アウディはR8のエレクトリック版「R8 e-tron」も過去に発売しており、これもまたEVとなるベントレーEXP12スピード6eとモロにかぶるのかもしれず、この辺り「アウディとの兼ね合い」が難しいのでしょうね。
VIA:Motor1
先日ポルシェは「アウディとプラットフォームやコンポーネントを共有する」という計画を公開しましたが、今回はVWアウディ、ベントレーともそれらを共有するという計画を語っています。
もちろんグループ内でのリソース共有による効率化、コスト削減が狙いですが、これによって120億円程度のコストをカットできる、とのこと。
これは来年早々から開始され、すでに各ブランド間で「なにを、どうやって」シェアできるかの検討を開始している模様。
上述のプラットフォームやコンポーネントの他、販売形態や品質管理などにも効果を期待しているということですが、すでに新型パナメーラに採用されるMSBプラットフォームやV8エンジンにて共有が開始されており、今後更に広い範囲で様々なリソースが共有されてゆくということになります。
次期アウディR8とポルシェ911は共通のプラットフォーム採用というウワサ
コストという点で言うと大きなものは「これから」各ブランドがその多くを新しく開発してゆかねばならない「EV」ですが、これはブランド内においてポルシェが一歩リード。
よって、ポルシェ「ミッションE」に使用される技術やパーツはかなり広くほかブランドで使用されると考えて良さそうですが、ベントレーが発表したコンセプトカー「EXP 12 Speed 6e」がこの技術を使用して発売されるのでは、と見られているようです。
VWアウディグループにおいては、ポルシェを吸収する前からスタートしていた「e-tron」計画があり、これは一旦凍結した後に解凍され、「R8 e-tron」が限定的に発売。
しかしこれは成功したとはいえず、おそらく「1代限り」で消滅しそう(アウディはe-tron計画に相当な費用と時間を費やしている)。
しかし同じグループのポルシェがまた別のEVである「ミッションE」を開発している、というのも「グループ内」という大きな視点で見るとムダのある話で、これらを「将来的に計画を含めて統合してゆこう」となるのは当然の帰結といえますね。
ポルシェのエレクトリック関連テクノロジーの流用だと「ランボルギーニ・アステリオン」があり、これはポルシェ918スパイダーの「3モーター」システムを搭載。
これも「コスト回収」の観点から今後他モデルにも活用されるかもしれません(現時点ではシステムそのもののコストが高い)。
VWアウディとポルシェの確執が再び表面化?仁義なきプラットフォーム競争
ついにパリにてアンヴェール。ランボルギーニ・アステリオンLPI910-4コンセプト
なお、ポルシェ・ジャパンが発表した「ポルシェとアウディとの間でのアーキテクチャの共有」についてのプレスリリースはこちら。
今後はアウディだけではなく、より多くのブランドとの共有が加速しそうです(プレスリリース内でも”珍しいことではない”と触れている)。