
Image:Bugatti
| ブガッティ タイプ35はすでに誕生から「102年」 |
ブガッティ タイプ35は「おそらく(340台が生産されたうち)100台前後が現存する」と言われている
ブガッティが「タイプ35」に関するコンテンツを公開。
このタイプ35は「モータースポーツ史上、もっとも成功したレーシングカー」と表現されることもあり、とくに「軽量」「高回転エンジン」「操縦性の良さ」「 美しいデザイン」「信頼性」「先進性」において高い評価を得たクルマ。
とくに「信頼性」という点は非常に重要で、というのも当時は「速いレーシングカーはすぐに壊れる」という半ば常識のような認識があったそうですが、このタイプ35にそれは当てはまらず、高い耐久性と信頼性をもって数々のレースにて勝利を収めています。
この記事の要約
- 史上最も成功したマシン:誕生から100年、通算2,500勝以上を挙げた伝説のレーシングカー
- 現役の「生きる伝説」:モナコやグッドウッドなど、現代のサーキットを今なお全開で駆け抜ける
- 五感を揺さぶる体験:燃料の匂い、エンジンの咆哮、路面の振動。現代車では不可能な「対話」がここにある
- 情熱のコミュニティ:単なる趣味を超え、歴史の継承を「使命」とするオーナーたちの絆
Image:Bugatti
100年前の「白昼夢」が現実を凌駕する:ブガッティ・タイプ35が愛され続ける理由
「タイプ35(Type 35)」は1924年、リヨン・グランプリでエットーレ・ブガッティによって発表され、これは当時のモータースポーツ界における完全な「革命」であったと言われます。
圧倒的な軽さ、完璧なバランス、そして精密なメカニズム。それは、当時存在したどのマシンとも似ていない、孤高の存在でもあり、とくに当時は「ワイヤースポークホイール」が当たり前であったものの、Type 35ではアルミ製ホイールとブレーキドラムを一体化した先進設計を持つ点など、既存のレーシングカーとは全く異なる思想をもって設計されたことでも知られます。
Image:Bugatti
そしてこういった「非常識」は、ブガッティ創業者であるエットーレ・ブガッティが「自動車業界出身者ではなかったため」フレッシュな発想にて「勝てるクルマ」を考えたからだとも言われていますが、そんなタイプ35もう誕生から1世紀。
多くの名車が博物館に収まる中、タイプ35は今なおサーキットの主役であり続け、なぜこの車は、100年経っても人々を熱狂させ、全開走行を強いるのか?
それは、このマシンが単なる「機械」を超え、ドライバーの魂を揺さぶる「生き物」だからだと評されています。

Image:Bugatti
-
-
ブガッティが「世界初の専用設計レーシングカー」、タイプ35について語る。「自動車に関し正式な教育を受けていなかったからこそ、常識外れのクルマを設計できたのです」
Bugatti | ブガッティは創業当初から「並外れた」存在であった | その思想は現代に至るまで受け継がれる さて、ブガッティが「その歴史を語るうえで外すことができない」タイプ35を紹介するコンテン ...
続きを見る
2,500勝の金字塔:タイプ35の圧倒的な実績と背景
タイプ35は美しいだけのクルマではなく、その歴史は勝利の連続によって築かれており・・・。
車種概要と歴史的背景
ブガッティ タイプ35は、1924年のデビュー以来、ロードレース、ラリー、ヒルクライム、スピードトライアルに至るまで、あらゆる競技で合計2,500勝以上という空前絶後の記録を樹立しましたが、とくに1920年代後半のグランプリシーンは、ウィリアム・グローバー=ウィリアムズ、アルベール・ディヴォ、タツィオ・ヌヴォラーリといった伝説的ドライバーたちの手によって、タイプ35が「無敵の象徴」となった時代です。
1929年に開催された第1回モナコ・グランプリを制したのも、このタイプ35(35B)であり、文字通り「無双」というわけですね。
-
-
ブガッティ タイプ35は現役時代に2,500もの勝利を収め、月に12のレースで優勝していた。このクルマによってモータースポーツが再定義されたと言っていい
| ブガッティは常に独自の発想にてよって新しい時代を築いてきた | そしてその基本的な思想は今日のブガッティにも息づいている さて、ブガッティはたびたび「タイプ35」に関するコンテンツを公開しています ...
続きを見る
100年前の最先端技術
タイプ35のコクピットに座ることは世界で一握りの幸運な者にしか許されない特権で、タイトなコクピット、耳をつんざくエンジン音、全身に伝わる微細な振動。それはまるで「レーシングカーとオートバイの中間」のような感覚だと、オーナーのひとり、ティエリー・スタプト氏は語ります。

Image:Bugatti
ブガッティ・タイプ35 主要スペック
| 項目 | 詳細 |
| デビュー年 | 1924年(リヨン・グランプリ) |
| エンジン形式 | 直列8気筒(SOHC 3バルブ) |
| 特徴的な設計 | 軽量アルミニウム製ホイール、一体型アクスル |
| 通算勝利数 | 2,500勝以上 |
| 主な戦績 | タルガ・フローリオ5連覇(1925-1929)、第1回モナコGP優勝 |
| ドライビング特性 | 驚異的なステアリングフィードバックと軽量化による回頭性 |
継承される職人技
現在もタイプ35がレースに参加できるのは、高度な専門知識を持つメカニックの存在があるからで、部品の多くは現存せず、イギリスなどの専門工房で一から製作されているとされ(英国にはこういったクラシックカー向けのパーツビルダーが数多く存在するようだ)、維持には膨大な手間と信頼関係(とお金)が必要であり、しかしオーナーとメカニックは「歴史を守る」という共通の目的で結ばれています。

Image:Bugatti
現代のスーパーカーが失った「何か」
現代のハイパーカーは、電子制御によって誰でも速く走れるようになりましたが、タイプ35はその真逆を行く存在。
クルマを理解し、クルマの要求に応えなければ、その真価を引き出すことはできないと言われます。
- 唯一無二のフィードバック:ステアリングを通じて路面のすべての情報が伝わる感覚は、現代のパワーステアリングでは再現不可能
- 資産価値を超えた存在:オークションでは数億円の値がつくことも珍しくなく、真のオーナーにとって、このクルマは「家族」であり、愛称で呼ばれる(ティエリー氏は「おばあちゃん」と呼ぶ)ほど親密な存在でもある
- 走るための血統:モナコ、グッドウッド、ル・マン・クラシックといった伝統あるレースの舞台が、今なおこのクルマの主戦場

Image:Bugatti
結論:タイプ35は「永遠に止まらない」
ブガッティ・タイプ35を駆る人々にとって、このクルマを走らせることは「趣味」の範疇にとどまらず、それは100年前にエットーレ・ブガッティが込めた情熱を、現代のサーキットに呼び起こす「儀式」のようなもの。
「動ける限り、走り続ける。やめるなんてありえない」――ティエリー氏のこの言葉は、タイプ35を愛するすべてのオーナーの総意でもあり、歴史は遠い過去の出来事ではなく、今この瞬間にタイヤの下で息づいている、というわけですね。
そしてティエリー氏のようなオーナーが存在するかぎり、タイプ35は、これからもその咆哮を上げ続け、ぼくらに「真のドライビングとは何か」を問い続けてくれるのかもしれません。
Image:Bugatti
なぜ今、100年前のクルマに世界が注目するのか?
現代の自動車業界は、自動運転や電動化へと向かっており、その一方で、タイプ35のような「アナログの極致」が再評価されているのは、人間が本能的に「機械を操る手応え」を求めているからに他なりません(細かいところだと、タッチ式ではなく物理ボタンを求める傾向も同様の本能によるものなのかもしれない)。
また、ブガッティが現在展開している「ボリード(Bolide)」などの最新ハイパーカーのデザインや思想の根底には、常にこのタイプ35の「軽さとバランス」という哲学が流れているといい、「温故知新」――タイプ35を知ることは、未来の自動車デザインを理解することでもあるのだと思われます。
-
-
100年前に発表されたブガッティ タイプ35と100年後に発表されたトゥールビヨンには意外な共通点があった。「いずれもボルト1本に至るまで目的志向であり、ドライバーとの機械的な繋がりがあります」
Image:Bugatti | ブガッティ「全てのパーツが明確な目的を持って設計され、独自のストーリーを語らなければなりません」 | ブガッティは「ブガッティ・リマック」へと耐性が変化したものの、ブガ ...
続きを見る
あわせて読みたい、ブガッティ関連投稿
-
-
「他と比べられるようであれば、それはブガッティではない」。近代の挑戦者によるブガッティ創業者の意思の再現、そして未来へ(2)
Image:Bugatti | ブガッティとは「単なるクルマ」ではなく、創業者の理念そのものを示す存在である | ブガッティは「理解が追いつく存在」「理解の範疇」であってはならない 前回はブガッティ創 ...
続きを見る
-
-
「他と比べられるようであれば、それはブガッティではない」。創業者であるエットーレ・ブガッティの信念、卓越性の追求と経営破綻、そして再生(1)
Image:Bugatti | 序論:ブガッティの不朽の遺産 | ブガッティ創業者の魂はいまも製品に根付いている ブガッティは、自動車の歴史において最も崇拝されるブランドの一つとして、比類のない豪華さ ...
続きを見る
-
-
後のブガッティを定義したタイプ35の最初のレースは問題だらけだった。「完璧な状態で生まれることはありません。 完璧は、失敗を認識し、改善することで得られます」
| いかにブガッティといえど、最初から「完璧」ではなかった | ただし完璧を目指し、そのために行動しなければ完璧にはたどり着けない さて、ブガッティが「その後のブガッティのクルマのあり方を定義すること ...
続きを見る
参照:Bugatti














