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テスラのインド政府に対する「関税の引き下げを要求。応じればインド国内に工場を建設」という要請に対してインド政府が「NO」。今後の両者の対応には要注目

2022/02/10

テスラ

| ただし両者ともそれなりの言い分があり、なんとか歩み寄ることができるような印象も |

テスラはこのままインド市場を「見逃す」ことはできない

さて、テスラはちょっと前に「インドへと進出する」と報じられており、実際にそのための動きをはじめていると言われますが、今回「インド政府が、テスラのイーロン・マスクCEOが要請した、”テスラ車の減税措置”を拒否した」との報道。

これについてはインド政府が無下に断ったわけではなく、一旦検討したものの、「テスラも他の自動車メーカーと同じように扱うべき」、つまり特別扱いすべきではないという判断に則ったとされています。

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やはりテスラはインドで生産を行うしかない?

なお、現在インドでの輸入車にかかる関税は4万ドル未満だと60%、4万ドル以上だと100%の関税がかかっており、現在テスラはインドで生産を行っていないので、インドにとってはすべて「テスラは輸入車」ということになり、現在のラインナップだと「モデル3スタンダード・レンジ・プラス」以外のテスラ車はすべて4万ドル以上であるために100%の関税がかかり、つまり「車両本体価格(正確には輸入時のインボイス価格)1台分の税金がプラスされる」ことになり、インドにおけるテスラ車の価格は単純に2倍位になる、ということですね。

テスラとしては、関税を引き下げればそのぶん「インドでテスラ車が売れる」ことを証明することができ、そうなれば(関税がかからないよう)インド国内にテスラの工場を建設するため前に進むことが可能となる、という見解を持っており、つまりインドに工場を作り、インドの雇用と国内総生産に貢献するかわりに関税を引き下げて欲しいという「交換条件」をインド政府に出していたものだと思われます。

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ただ、今回交渉が「(いったんは)決裂した」ということになり、注目が集まるのが「テスラがどう出るか」。

インドは人口としては世界第二位を誇り、所得水準が高くないためにEV販売台数は多くないものの(2021年には240万台の自動車が販売されたが、EVは5,000台程度にとどまりインドで販売される自動車の多くは28,000ドル以下)、今後のポテンシャルとしては見過ごすことはできず、テスラとして今回の決定に反抗して「じゃあインドに工場を建設しない」という判断を(安易に)下すことはできないだろうとも考えています。

そしてインドが考えを覆さない限り、テスラのクルマはインド国内では非常に高額であり、そして「売れない」ということになるわけで、テスラがこの堂々巡りについてどう対処するのかということですね。

ぼくとしては、ここは「テスラが折れるしかないだろうな」とも考えていますが、実際には「イーロン・マスクCEOのみぞ知る」状況ということになりそうです。

なぜインドはテスラの要求を却下したのか

そして今回、なぜインドがテスラの要求を見送ったのかについてですが、インドの間接税・関税中央委員会のヴィヴェク・ジョーリ委員長によると「テスラにかける関税を見直す必要があるかどうかを検討したが、現在の関税構造でも国内生産が行われるべきものは生産が行われ、国内における投資も行われており、ということは関税がテスラのインド工場建設を妨げているわけではない」。

一部では、インドの自動車メーカー(合弁含む)が対テスラ関税引き下げに強く反対したというものもありますが、要はインド政府の見解としては「インドで売りたければ、インドで生産すべく工場を建設しろ。他もそうしている」ということなのだと思われます。※メルセデス・ベンツはすでにインドでEVの製造を開始している

参考までにですが、インド国内ではテスラの工場誘致を求める声が多く(雇用が発生し、建設などの投資も生じるので)、インドでは5つ以上の州がテスラの工場誘致候補先として立候補しており、これらの州はインド政府に対して「テスラの関税を引き下げるよう(そうすればテスラが工場をインドに建設するので)」求めているとも報じられています。

ただしインド政府は上述の通り「NO」という回答であり、テスラに対しては完成車よりも輸入関税が低いノックダウンキット(部分組立車)の輸入を検討するよう求め、同時に現地生産・調達の計画を提示するようにも要求しているとのこと。

まだまだ調整が行われることになりそうですが、歩み寄りの余地も感じられる案件であり、続報を待ちたいと思います。

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参照:Bloomberg

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