| 見た目がスーパーカーっぽくないのにスーパーカーを超える性能を発揮するところがまたスゴい |
現時点では市販の予定はなく、しかしその技術は今後のDSへと採用されることに
さて、現在ステランティス内ではけっこう上位に位置する高級ブランド「DS」。
今回フォーミュラEのテクノロジーを取り入れたエレクトリックハイパフォーマンスカー「E-Tense Performance(イーテンス・パフォーマンス)」を公開しています。
これは2016年に発表されたDS E-Tenseコンセプトの進化版となりますが、大幅にパワーアップしたエレクトリックパワートレイン、これからのDSを牽引してゆく新世代のデザインが採用されて大幅にリニューアルされることに。
エレクトリックパワートレインはフォーミュラEから
このT-Tenseパフォーマンスは上述の通りフォーミュラEの技術を取り入れていますが、具体的には「フォーミュラEのエレクトリックパワートレイン」が移植されており、そしてE-Tenseパフォーマンスの車体構造は「カーボンモノコック」。
つまり「ほぼスーパーカー」的なスペックを持つということになり、実際にエレクトリックモーターはフロントで335ps(250kW/340PS)、リアでは469ps(350kW/476PS)の合計805psを発生。
そしてパワーだけではなく「トルク」も特筆すべき特徴の一つで、なんと(シャシーダイナモの実測値で)8,000Nm(5,900 lb-ft)にも達することになり、E-TenseパフォーマンスはこれまでのE-Tenseコンセプトに比較するとピークトルクがなんと16倍、そしてパワーは2倍ということになりますね。
参考までに、フェラーリ296GTBに搭載される3リッターV6ツインターボエンジンのピークトルクは740Nm(これでも相当に大きい)なので、このE-Tenseパフォーマンスのモーターは(前後合計で)フェラーリ396GTBのエンジンの11倍くらいのトルクを発生するという計算です。
バッテリーはカーボンとアルミニウムによる複合素材のハウジングを持ち、車体中央(後方寄り)にマウントされますが、「革新的な化学反応とセル用の没入型冷却システム」を備えてるとともに600kWの回生能力を持ち、これによって従来のブレーキシステムが不要になっている、とのこと(実際にはフェイルセーフのためか、安全上の理由から残されているようだ)。
DS E-Tenseパフォーマンスの加速性能はハイパーカーなみ
開発段階の目標値だと0−100キロ加速はわずか2秒で、この数値は開発が完了した後に「確定」されるとアナウンスされていますが、この「2秒」よりも優れた加速を持つのはリマック・ネヴェーラ、テスラ・ロードスター2くらいということになり、つまりこのE-Tenseパフォーマンスは「異常に速い」クルマということになりそうです。
ちなみに開発に参加するのはフォーミュラEのチャンピオンでもあるジャン=エリック・ベルヌとアントニオ・フェリックス・ダ・コスタで、早くも今月からテストに合流することになるようですね。
なお、そのパワートレインだけではなく外観もアップデートされており、E-Tenseパフォーマンスのには新しいヘッドライトにデジタルグリルが与えられていますが、このデジタルグリルは今後のDS各モデルにも採用される可能性が高い、と言われます。
一方でサイドビューやリアはこれまでのE-Tenseコンセプトと大きく変わらず、ボディカラーはビートルエフェクト(玉虫っぽい色合い)のグリーン、そこにブラックが組み合わせられるツートンカラー。
おそらく2016年にE-Tenseコンセプトを企画したときはここまでのパフォーマンスを与える予定は無かったのだと思われ(もしくはエレクトリックモーターがここまで進化するとは考えなかった)、しかし現在ではスーパーカーどころかハイパーカーにも迫るパフォーマンスが与えられており、よって「ルックスが性能に追いついていない(見た目がスーパーカーやハイパーカーっぽくない)」という矛盾が生じているようにも思いますが、それもまたDSらしいところなのかもしれません。
DSパフォーマンス・ディレクターのトーマス・シュヴォーチャー氏は、「我々の目的は、フォーミュラEで得た経験、獲得したタイトルから得た専門知識を、高性能エレクトリックカープロジェクトに応用することで、DS E-Tenseパフォーマンスは、部品の挙動を分析し、将来の製造を視野に入れた開発を行うための実験室なのです。また、コストを下げ、製造を容易にするための解決策を見つけ、生産モデルへの実装を検討することも考えられています。E-TENSEシリーズの次世代モデルは、これらの開発から恩恵を受けることになるでしょう」と語っていて、E-Tenseパフォーマンスそのものが発売されることはないのかもしれませんが、その技術は今後のDS各モデルに受け継がれてゆくことになりそうですね。
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