| 察するに、テスラはサイバートラックの開発に相当な苦労をしたようだ |
ただし「発売にこぎつけた」ということは問題をクリアしたと考えていいだろう
さて、テスラ・サイバートラックはついに今年後半に生産が開始され、そして納車が行われることとなりますが、ここまで来るには長い道のりがあり、2019年の発表以降、度重なる発売延期を経ています。
この販売延期の理由につき、テスラは「まずはベルリン工場の立ち上げ、そして主力車種であるモデル3とモデルYの生産を世界各地の工場で軌道に乗せるため、さらにはセミ(トラック)の納車を優先するため、サイバートラックの優先順位を下げる」と述べていたものの、今回「リーク文書によれば、実際には別の理由があった」ことが明らかに。
テスラ・サイバートラックの開発中にはいくつかの「欠陥」が指摘されていた
今回流出した内部文書では(開発途中の)サイバートラックのいくつかの欠陥について指摘しており、それによれば、それら欠陥の中でもハンドリングは”主な懸念事項の1つ”。
このレポートによると、「中速域での過度の急発進に問題」、「構造的な揺れ」、「低速域での操縦時の過度の横揺れ」について記述されており、ボディロールやステアリングの洗練に関わる問題にも対処する必要があったとのこと。
さらにはサイバートラックのブレーキ性能にも懸念が残り、とくにコーナリング中のブレーキが問題視されており、量産前の「アルファ」モデルでは、"ペダルの踏み込み量が多く、安定性のないブレーキング "が発生したもよう。
ただ、この段階ではまだブレーキペダルの圧力パッドが設計中だったことには留意する必要があり、テスラのエンジニアは、Society of Automotive Engineers(おそらくは評価期間?)の評価スケールで7点(Fair)を達成することを望んでいたものの、プリプロダクションモデルでの評価は4点(Poor)にとどまったこともあわせて記されています。
なお、開発中の車両で4点というのは珍しくはないものの、評価の内容があまりに厳しく(エンジニアに対して批判的だった)、かつクルマの設計において”一番最初に”取り組むべきであるブレーキに関し評価が低かったのはお粗末だという見方もあり、こういった理由にてサイバートラックの発売がのびのびとなったようですね(ただ、これらを改善せず、利益のために見切り発車するよりはよっぽどいい)。
さらに開発段階のサイバートラックには「乗り心地」の問題も
ハンドリングそしてブレーキの他にも(サイバートラックには)重大な課題があったとされ、そのひとつは「乗り心地」。
キネマティクス&コンプライアンス(K&C)テストでは、車両に所定の力を加え、サスペンションや車輪に圧力をかけることになりますが、流出した報告書では、「ターゲットとの間に大きなギャップがある 」という指摘がなされており、つまり初期のサイバートラックは求めるレベルに程遠かったということに。
フロントでは、「サスペンションの設計を変更しなければ」解決できない問題があり、ねじれ剛性の要件を満たすのにも問題があると指摘され、そしていずれも”現状と目標値”との間に大きな乖離が存在し、とにかくサイバートラックは相当な問題を抱えていたとも考えることが可能です。
なお、サイバートラックにここまでの懸念が生じたのは「サイバートラックの構造が、それまでテスラが発売していたいずれのモデルとも大きく異なる」ということに関連しているものと思われ、しかしようやく発売にこぎつけたということは「これらの問題を改善できた」と考えていいのかも。
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テスラは品質についてとやかく言われることも多く、しかしムーステストではポルシェ、メルセデス・ベンツ、BMWなどを抑えて高得点を叩き出しており、ニュルブルクリンクにおいてもポルシェ・タイカン・ターボSを凌駕して「EV最速タイム」をマークしているので、テスラの掲げる目標そのものが非常に高く、かつ自身の設定した目標をクリアしない限りはクルマを発売しないという方針を持っているとも考えられ、よって実際に顧客へと納車されるサイバートラックについては「高いハンドリング性能やブレーキ性能、安定性や乗り心地」を持っているものと認識しています。
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ちなみにですが、レポートにはさらに多くの問題が記されているようで、サイバートラックのひとつのウリでもある「電動シャッターを備えた荷台」につき、ぴったり閉まらない(しかも解決する手段がない)というトラブルも記載されている、とのこと。
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参照:Handelsblatt