テスラが全従業員の10％を一時解雇するもよう。従業員に宛てたメールの内容がリークされ「これ以上に嫌なことはありませんが、やらなければなりません」

｜　ネガティブな印象を受けるものの、この状況においてはむしろ素早い行動を評価すべきであろう　｜

そしてテスラはここまで「やらなくてはいけない」段階にまで追い詰められている

さて、テスラは2024年第1四半期に「4年ぶりに販売台数が減少する」という厳しい状況に直面していますが、今回はそういった状況を受け、従業員の10％を一時解雇（レイオフ）するために送信したという（イーロン・マスクCEOからの）Eメールがリークされることに。

このEメールは、上述の「販売台数減少」発表ののちに送信されたものだといい、イーロン・マスクCEOによれば「コスト削減と生産性向上のための取り組みの一環」だとされ、14,000人以上の従業員に影響が出ると見られています。

テスラはこの「成長鈍化」を一時的なものと捉えていない

なお、こういったレイオフは相当に厳しい対応で、これによって生産能力を縮小するということは「そう簡単に生産が元通りになったり、成長に転じることはない」とイーロン・マスクCEOが捉えているということを意味します。

実際のところ、同氏は少し前に「この不確実性が高まる時代において、全速力で進むことはできない」ともコメントしており、現在の状況について憂慮すべき段階にあるということを強く認識していると考えて良さそうで、今回のレイオフについては（従業員には申し訳ありませんが）会社としては適切な判断だと捉えてよく、ネガティブなニュースではあるものの、レイオフを行わずにダラダラ進むよりはずっと良く、よって同氏の判断を支持すべきところかもしれません。※実際のところ、このリークがあったのち、株価は1.4％しか下がっていない

実際のところ、イーロン・マスクCEOは「私たちは組織を徹底的に見直し、全世界で従業員数を10％以上削減するという難しい決断を下しました。 これ以上に嫌なことはありませんが、やらなければなりません」とも述べており、その苦渋の決断ぶりに言及しています。

そして興味深いのは、人員整理の理由について「EV市場の成長鈍化」「テスラ車の販売減少」とは一切語らず、テスラの近年の急速な成長によって生じた「特定の分野における役割と職務の重複」がその原因だも。※ ブルームバーグは、テスラが2023年末時点で14万473人の従業員を雇用しており、これは2020年のほぼ2倍に達していると指摘している

テスラCEO、イーロン・マスクはこう語る

以下がイーロン・マスク氏が従業員に宛てたEメールの中身ですが、テスラの管理職は今年初めに（人員整理のための）名簿を作成するよう指示されていたことも明らかになっており、かなり早い段階からテスラが危機感をおぼえていたことがわかります。※このメールの後、従業員は上司に呼ばれ一時解雇を伝えられることになると思われるが、今は戦々恐々の段階なのかもしれない

長年にわたり、当社は世界中に複数の工場を展開することで急速に成長してきました。 この急速な成長に伴い、特定の分野では役割や職務の重複が生じています。 会社を次の成長段階に向けて準備する際、コスト削減と生産性向上のために会社のあらゆる側面に目を向けることが非常に重要です。

この取り組みの一環として、私たちは組織を徹底的に見直し、全世界で人員を10%以上削減するという難しい決断を下しました。 これ以上嫌なことはありませんが、やらなければなりません。 これにより、私たちは無駄がなく、革新的であり、次の成長段階のサイクルに向けて貪欲になることができます。

テスラを退職する皆様の長年にわたるご尽力に感謝いたします。 私たちの使命に対する皆様の多大なご貢献に深く感謝し、今後の更なるご活躍をお祈りしております。 別れを言うのはとても難しいです。

残された方々には、今後も続く困難な仕事に感謝したいと思います。 私たちは、自動車、エネルギー、人工知能の分野で最も革新的なテクノロジーのいくつかを開発しています。 私たちが会社を次の成長段階に向けて準備するにあたり、皆様の決意が私たちをそこに導く上で大きな違いを生むことになります。

心からありがとう。

イーロンより

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参照：Bloomberg