| ただしボクはドライアイスブラストのもたらすサーマルショックを恐れている |
ホワイトのボディにブラックのホイールを持つマクラーレンF1はなかなか珍しい
さて、近代のクルマとしては「もっとも価値が高い(つまり高価)一台」マクラーレンF1。
その徹底して無駄を削ぎ落とした構成、「走り」を最優先させたパッケージング、すべてひっくるめたピュアさが高く評価されており、複雑化・エレクトロニクス化の進む近年のスーパーカーやハイパーカーと比較すると一層その魅力が際立つのかもしれません。
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最近注目の「ドライアイスブラスト洗浄」
そして今回ハガティが公開したのが、マクラーレンF1をコンクールコンディションに達するまでディティーリングを行うという動画。
その一部にて使用されているのが最近何かと話題の「ドライアイスブラスト洗浄」です。
原理としては、ペレット状のドライアイスを洗浄機に入れ、そこから圧縮空気によって噴出させて汚れの内部に潜り込ませ、その際の摩擦や気化によって汚れを落とす、もしくは熱収縮(噴射するドライアイスは-79度)によって汚れを剥離させるというもので、以前から(工業界では)金型や精密機械等の洗浄には用いられていたものの、ここ数年になってカーディティーリングの世界でもよく名を聞くようになっています。
なお、ちょっと心配なのはドライアイスを金属に当てても傷がつかないのかということですが、ドライアイス自体は柔らかいために金属や樹脂を傷つけることはない模様。
加えてドライアイスは完全に帰化するので残留せず、そこから洗い流したりといった工程も不要なので、環境はもちろんクルマにも優しい、と言われています。
そしてもう一つ心配なのがサーマルショックで、これによってどこかクラックが入ったりするんじゃないかということですが、ドライアイスブラストをエンジン廻りに使用する際は、完全にそれらが冷えてからでないと何らかの問題が出そうではありますね(正直、それでもちょっと怖い。ここまでの低温は車体の設計時に想定していないとも思う)
参考までにですが、ポルシェ911の走行後にすぐ洗車を始め、ホースでエンジン廻りに(車体裏側から)水をかけたところ、「パキッ」と音がして、その後水に混じってオイルが漏れてきたという人を知っていて(あとでわかったことだが、デフケースがサーマルショックによって割れていた)、その話を聞いて以来、ぼくはクルマに急激な熱の変化を与えないようにしており、よってこのドライアイスブラストについては(否定はしないものの)そのトラウマから試すことはないかもしれません。
ドライアイスブラスト洗浄の後は細部の汚れも除去
そして動画ではドライアイスブラスト洗浄に終わらず、様座な手法で汚れを除去する様子が収められていて、たとえば綿棒を使用してブレーキローターのベル部とディスクとを固定するナットを清掃。
さらには爪楊枝にて汚れをかき出し・・・。
ブラシでも汚れを取り払い・・・
スチールウール(超細目)で研磨し・・・。
さらには洗剤を使用して仕上げ。
こちらがビフォーアフターですが、たしかに見違えるほどきれいになっています。
さらにはインテリアも隅々まで清掃しており、この様子だと文字通りの新車コンディションにまで戻されることになりそうですね。
実際にこのマクラーレンF1のオーナーさんがコンクールにこのF1を出品するかどうかはわかりませんが、そうなればまた別の動画にてお目にかかることもありそうです。
マクラーレンF1をコンクールコンデイションにまでディティーリングを行う動画はこちら
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参照:Hagerty