| ボルクレーシング TE37はボクが使用した中でも屈指の素晴らしいホイールだった |
できれば今乗っているミニにも装着したかったが
さて、レイズがおそらくは同社でもっとも有名なホイール「TE37」の製造過程を収めた動画を公開。
ちなみにぼくはホイールにはけっこうこだわっていて、様々なホイールを使用してきた中でもっとも「優れている」という認識を持っているのがボルクレーシング TE37とBBS LM。
ただしこの両者は「鍛造、軽量」という共通性がありながらもフィーリングが決定的に異なっており、TE37は「硬くハネる」、BBS LMは「柔らかくしなる」という印象を持っています。
この差異は材質や製法、そして1ピースなのか2ピースなのかというところから来ているものと思われ、そしてホイールを爪で弾いてみると、TE37は高い音が反響するのに対し、BBS LMでは鈍い音が一瞬聞こえるだけ(響かない)。※片方の手をホイールに当て、もう片方の爪先でホイールを弾くと、振動の伝わり方が決定的に異なることがわかる
つまりはそれが「硬さ」「衝撃吸収製」を表しているのだと思われますが、これは「良し悪し」ではなく、組み合わせるタイヤ、そしてそのクルマの性質によっても評価が分かれるところであり、また「好み」によっても判断が分かれるところかもしれません。
レイズ TE37はこうやって作られる
そこでこのTE37を製造する過程を見てみたいると、まず最初はこのアルミ合金(6061)製ビレットを加熱するところからはじまります。
加熱するのは「加工しやすくするため」ですが、こうやって圧力をかけて(スタンプを押すような感じで)ホイールの形を成形してゆき・・・。
スポーク部を成形するためには三回つまり三次鍛造まで行います(徐々にスポーク形状がシャープになっていることがわかる)。
さらにはシャトル鍛造に・・・。
回転鍛造を行うことでホイールのリム(バレル)部を成形。
回転するホイールにローラーを当てながら圧力をかけ、こういった感じにバレル部を伸ばしつつ形状を成してゆくわけですね。
そしてインナーリムはスピニング加工にて成形。
その後は焼入れを行うための熱処理を行い・・・。
CNC加工にて表面を整えます。
その後はボルト穴やバルブのための穴を穿ち・・・。
スポークのエッジをトリミング。
レイズはホイールの隅々にまでこだわった加工を施していた
このトリミングというのは非常に重要で、直接ホイールの性能に影響を及ぼすわけではないものの、美観向上や脱着の際の攻撃性緩和、塗装や表面処理の密着性に役立ちます。
一方、けっこう手間がかかる作業なので、これを省略したりいい加減に行うホイールメーカーもあるのですが、ぼく的に「スポークの裏側が均一にトリミングされているのはいいホイール」という認識を持っています。
さらにはローレット加工を行い・・・。
ブラスト加工や肌仕上げに続き・・・。
脱脂に塗装を行いますが、表面の加工や研磨など美観にかかわる工程がかなり多いのにはちょっとびっくり(ここまで手がかかっているとは思ってなかった)。
なお、「TE37」というのは当時の最小サイズ、そして中心サイズであった15インチ/6Jが「3.7キロ」だったことから命名されています。
参考までに、TE37には「塗装」と「アルマイト(アノダイズド)」仕上げがあるのですが、アルマイト仕上げは塗装ではなくアルミ表面を酸化させて被膜を形成する加工であり、塗料を使用しない分「軽く」仕上がり、よってTE37を選ぶのであれば、可能な限りアルマイト仕上げを選択すべき(サイズやモデルによっては選べないこともある)だと考えています。
その後は様々な検査を経て・・・。
合格すれば検査証が貼られて出荷となります。
もう一つ参考までにですが、レイズ純正オプションのセンターキャップは(当時)非常に重く、ぼくが知る限りでは「もっとも重いセンターキャップ」。
「せっかくTE37をここまで軽量に作ったのに、なぜあんなに重いセンターキャップを組み合わせるのか」すごく疑問に思ったのですが、TE37の軽量性を最大限に享受するには「センターキャップレス」、そして「塗装レス(アルマイト仕上げ)」を選ぶべきであるとも考えています。
「ボルクレーシング TE37ができるまで」を収めた動画はこちら
参照:RAYS WHEELS