中国自動車メーカーの輸出が急増し「出荷するための船が足りない」レベルに陥る。新興国において日米欧の自動車メーカーの市場を圧迫するまでに

｜　中国の自動車メーカーの成長は想像を遥かに超えるレベルであり、それによる市場の変化も予測の域を超えている　｜

まさか短期間でこういった状況に陥るとは誰も予想できなかっただろう

さて、現在自動車業界は大きな変革を迎えつつありますが、その「中心」は間違いなく中国だと思われます。

そしてその大きな流れの一つは中国製の電気自動車が（中国の）国内外において大きくシェアを伸ばしていることにあり、これによって欧米自動車メーカーのEV販売計画が大きく狂う可能性が生じています（というか、すでに狂いが生じている）。

そしてもうひとつは今回報じられている「中国からのガソリン車の輸出」であり、これがまた新興国における欧米の自動車メーカーの販売を阻害しているというわけですね。

なぜ中国から大量のガソリン車が流出？

上述の通り、「中国といえばEV」ですが、そこで疑問なのが「なぜガソリン車が中国から海外にたくさん輸出されるのか」。

これについてもやはりEVが関係しているといい、現在中国ではEVの販売を加速させるためにEVに対する販売優遇政策を積極的に取り入れていると報じられ、このためにガソリン車が売れない」のだそう。

ちなみに厳しい「COVIDゼロ」政策により、自動車をはじめとする個人消費が低迷していることもこれに関係していると言われていて、各種規制が解除された現在であっても消費回復の兆しはほとんど見られない、と報じられています。

そういった複数の理由から「自動車が売れない」「売れるのはEVばかり」となってしまい、これまでのようにクルマが売れると考えて製造されたガソリン車が「余って」おり、この余ったクルマが格安にて海外へと「投げ売り」されている、というわけですね。

なお、こういった中国自動車メーカーの状況は結構深刻だとされ、クライスラー・チャイナの元チーフによれば「中国メーカーは輸出に真っ先に飛び込むか、でなければ工場閉鎖という結果を招く」レベルなのだそう。

中国車の輸出は今後加速する一方

もちろんこの余波を食らっているのが欧米（そしてもちろん日本も）の自動車メーカーということになりそうですが、この傾向は今後どんどん加速するものと思われ、さらにこれに輪をかけるのが「EVの輸出」。

現在中国のEVメーカーは相当数にのぼり、淘汰の局面に入っていると言われますが、ここで（淘汰されそうな）EVメーカーが活路を見出しているのが輸出であり、売れない在庫を保有しておくよりは利益が薄くとも（在庫を）換金せねばということで輸出を強化するケースが多いもよう。

これもまた欧米の（さらには中国の）自動車メーカーを苦しめる要因になると推測されており、実際のところ自動車の輸出需要は過去3年間で4倍に増加し、今年だけを見ても7月までに86％急増しているそうですが、これが原因で「中国から新車を出荷するための船がない」という事態に陥っているわけですね。

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参照：New York Times