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ソリッドステートバッテリー(全固体電池)でも中国が独走?チェリーに続きBYDが「2027年から市販車に搭載」と発表

BYD

| ただし依然として生産コストは高く、今後しばらくは既存のバッテリー技術が主流になることについても言及 |

これに対し日米欧の自動車メーカーは同時期に「試験生産」をようやく行うという段階である

さて、現在EV業界における「ゲームチェンジャー」と見られているのがソリッドステートバッテリー(全固体電池)。

これは(当初)「リチウムイオンバッテリーの1/3のサイズで同等の容量を誇る(つまりエネルギー密度が3倍)」とされ、EVの重量削減、ひいてはコストの引き下げが期待されていた新型バッテリーパックです。

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ただし事実はそう甘くない

そして多くの自動車メーカーやバッテリーメーカーがこれに着目し、早ければ2020年には車載用として実用化される計画ではあったものの、現在のところこれを積んだ市販EVはなく、その理由は「どうしても安全性を確保できないから」。

さらに最新の報告ではリチウムイオンバッテリーの3倍のエネルギー密度をもたせることが難しく、実際には「3割増くらい」にとどまることが判明していて、研究開発費がかかる割にリスクが大きくメリットが小さいということから「撤退」を決める自動車メーカーも登場するほど。

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しかしそれでもいくつかの自動車メーカーはここに一縷の望みをかけており、そして今回BYDが「次世代の全固体電池を2027年に導入し、2030年以降に本格的な普及を目指す」という発表を行っています。

BYDのリチウム電池部門のCTO、孫華軍(Sun Huajun)氏によると、BYDの全固体電池には硫化物系電解質が使用される予定だといい、しかし具体的なエネルギー密度についての詳細は明らかにされていないまま。

日産
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ただし昨年、BYDはすでに20Ahおよび60Ahの全固体電池の試験生産を開始しており、開発が着実に進んでいることは間違いなく、多くのバッテリーメーカーや自動車メーカーのように「できない約束」をしているわけではないのだと考えられ、おおよそ以下のスケジュールを掲げています。

  • 2027年:ミッドレンジおよびハイエンドEVに初めて全固体電池を導入
  • 2030年~2032年:コスト削減が進めば、より手頃なEVにも展開
  • 長期的展望:全固体電池のコストは既存のリチウム電池と同程度になる見込み
BMW
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それでもBYDのチーフサイエンティスト兼チーフオートモーティブエンジニアである廉玉波(Lian Yubo)氏は、既存のリチウム鉄リン酸(LFP)電池は今後15~20年間は重要な技術として存続するであろうと述べ、手頃な価格のEVには依然としてLFP電池が主流であり続けることを強調し、つまり「実現できたとしても、当面は高価なバッテリーのままである」ということもわかりますね。※奇瑞汽車(Chery)はこの一足先の2026年にソリッドステートバッテリー搭載車の発売をアナウンスしている

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全固体電池は、航続距離の延長や充電時間の短縮など、多くのメリットを持つ次世代技術であり、中国の自動車メーカー以外にも日産やトヨタ、BMWなどが「開発状況では最先端を走っている」と言われるものの、それらのメーカーから市販車としての「全固体電池搭載車」が登場するのはまだまだ先のことになりそうで、この分野においても中国の自動車メーカーがトレンドを作ることになるのかもしれません。

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