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| ソリッドステートバッテリーは「ある種の危険性」をどうしても排除できず、車載が困難だとされている |
いずれのメーカーも「あと一歩」のところまで来ているとは言われるが
さて、現在「ソリッドステートバッテリー(全固体電池)」は電気自動車においてもっとも注目される技術と言ってよいかと思いますが、それだけに多くの自動車メーカーや電池メーカーがこの実用化を目指してしのぎを削っており、トヨタ、BMW、ヒョンデ、メルセデス・ベンツ、日産、ダッジがこの分野では先んじていると言われ、バッテリーメーカーのCATLもかなりの段階まで研究を進めていると言われます。
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そして今回報じられているのが中国の自動車メーカー、奇瑞汽車(Chery / チェリー)が安徽省芜湖市に世界初のGWh規模の全固体電池の生産ラインを建設中だいうことで、『安徽日報』によると、2024年11月18日に、芜湖経済技術開発区内の工場敷地に機器が納入されたとのこと。
たしかについ先日、チェリーは「ソリッドステートバッテリーを積む」車両を発売するとして(画像の)ワゴンボディを持つコンセプトカーを公開していますが、もしCheryが本当にこの生産ラインを稼働させる最初の企業となれば大きな注目を集めることは間違いなく、文字通りの「ゲームチェンジャー」となる可能性も。
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この「ソリッドステートバッテリー製造工場」プロジェクト第一段階は10万平方メートルの敷地をもって進められ、安徽安瓦新エネルギー株式会社と芜湖経済技術開発区が共同で開発する新しい全固体電池の産業パークとしても機能するとされるので、相当に規模が大きなプロジェクトでもあり、チェリーはここに「逆転」の目をかけているのかもしれません。
参考までに、安徽安瓦新エネルギー技術株式会社は2020年に設立され、Cheryホールディングスが支配株主ではあるものの、他の株主にはタイのGPSC、日本のAzeba、そしてGotion Hi-Techが含まれています。
そしてこの工場には、5GWhの全固体電池の研究開発センター、そして高度に統合された自動化生産ラインが設置される予定だとされ、生産能力1.25GWhを持つ第一生産ラインは”世界初のGWh規模の新しい全固体電池生産ライン”であるとされています。
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この生産ラインは今後数ヶ月内に稼働する予定だといい、最初に生産される全固体電池のエネルギー密度は280Wh/kgを超え、2025年に発表予定の第二世代はエネルギー密度400Wh/kgを超えることが予測されていますが、さらに2027年に発売される第三世代の全固体電池技術はエネルギー密度500Wh/kgに達することが期待され、安徽安瓦新エネルギーによると、同社は電池生産の工程を11ステップから5ステップに短縮でき、焼成、圧縮、スリット、ダイカット、乾燥、液体注入の工程を省略し、また、正極と負極の乾式製造を採用しているといい、その結果「固定資産投資が30%削減され、製造エネルギー消費が20%削減される」としています。
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実際にこの工場が稼働し、そしてこのソリッドステートバッテリーを積んだクルマが発売されない限りは「ナントモ」ではありますが、もしかすると「全固体電池搭載車の市販車第一号」は中国にて産声をあげることになるのかもしれませんね。
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