
| 「中古EV」のお買い得感が薄れつつあるものの、「少しでも安い」中古EVが好まれている |
このあたりで中古EVの「無限値下がり地獄」も底を打つことになりそうだ
アメリカの電気自動車(EV)市場において、2025年5月は「新車」と「中古車」で大きな対照が見られ、新車EVは前年同月比で10.7%も販売が減少した一方、中古EVの販売は前年比32.1%の大幅増加という結果に。
需要と供給、価格、補助金のバランスがEV市場に大きな影響を与えていることが浮き彫りになっており、ここで「北米の直近のEV市場の動向」を見てみましょう。
新車EV販売が低迷、前年比10.7%減
コックス・オートモーティブのデータによれば、5月の新車EVの販売台数は前月比でわずかに増加したものの、前年比では10.7%減少。
これは消費者の購買意欲の減退、金利上昇、インフレなど複数の要因が絡み合った結果とされています。
割引・補助金で新車EVの価格が大幅ダウン
こうした販売不振(購買意欲の減退)を受けて、新車EVの価格は平均で2.3%下落し57,734ドルに。
また、メーカーからのインセンティブ(割引や補助金)は19.4%増の平均8,226ドルとなっており、これは平均販売価格(ATP)の14.2%に相当していますが、2019年以来では最も高い割引率です。
こういった値引きが反映される形で新車EVの価格が下がっており、たとえば、フォード・マスタングMach-E、キアEV6、日産アリア、アキュラZDXといった人気EVは、補助金込みで実質4万ドル以下で購入可能な状況となっています。
中古EV市場が急成長、前年比32%増
一方、中古EV市場では異なる動きが見られ、平均価格は前年比2.6%増の36,053ドルとなったにもかかわらず販売台数は前年比で32.1%増加。
特にテスラ車は中古EV全体の約49.6%を占めており、テスラ・モデル3が5月の中古EV販売トップ(平均価格23,160ドル)であったことも明らかに。
供給不足が中古価格を押し上げる要因に
5月時点での中古EVの在庫は40日分と、前年より11%少なく2022年6月以来の最低水準。
一方、新車EVの在庫は111日分と、供給過多が見られ、要するに「それほど価格差は大きくないにもかかわらず、多くの消費者がちょっとでも安い中古EVの購入に走っている」という傾向を見て取ることができ、つまるところそれだけアメリカの経済は”悪化しつつある”のかもしれません(それでも中古EVが売れているので、最悪の事態ではない)。
今がEV購入の「チャンス」かもしれない理由
現在、新車EVには7,500ドルの税額控除、中古EVには最大4,000ドルの控除が適用されており(中古EVにも適用されるのはありがたい)、補助金とメーカー割引を合わせると非常にお得なタイミング。
しかし、これらの制度も今後縮小・終了の可能性があるため、EVを検討している人々にとっては今がチャンスとも言える状況です。
EV市場はまさに「買い時」と「見極め時」の狭間にあり、今後の動向にも要注目ですね。
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