
| EVは製造時や電力の発電方法次第で「大きく環境負荷をかける」と言われるが |
現段階では「廃棄」に達する個体が少ないため、「廃棄」までを考慮する必要はないであろう
「EV(電気自動車)はバッテリーを作る時に大量の二酸化炭素を排出するため、実はガソリン車より環境に悪いのではないか」
そんな疑問や不信感を抱いたこと、あるいは聞いたことがあるかと思います。そのほか火力発電(CO2を大量に発生させる)で作られた電気で走るリスクや、寒冷地でのバッテリー劣化問題など、EVに対する批判的な意見が絶えないというのが現状です。
そして今回、世界最高峰の研究機関であるMIT(マサチューセッツ工科大学)の研究チームが、これらの疑問に終止符を打つ決定的な調査結果を科学誌『Environmental Research Letters』に発表し、ここではこの米国の全ZIPコード(郵便番号)レベルの地域データ、15年間の車両生涯、気候、走行パターン、発電構成まで網羅した超精密モデルから見えてきた、「EV vs ガソリン車」の真実について見てみましょう。
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EVは環境に優しい」は本当?EVは製造までに多くのCO2を排出し、そのライフサイクルのうち46%が「製造時」。一方でガソリン車での製造時CO2排出量はライフサイクルの20%にとどまる
| ただしEVは製造後、つまり走行を開始した後のCO2排出量が極度に低い | そしておよそ41,000km走行後にはガソリン車よりも「ライフサイクル通じてクリーンな乗り物」に 巷でよく言われるのが「電 ...
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【この記事の要約】
- 製造時の環境負荷を考慮してもEVが圧倒勝利:バッテリー製造時のCO2排出量はガソリン車より多いものの、15年間の走行を含めたライフサイクル全体(LCA)では、EVはガソリン車に比べ温室効果ガスを40%〜60%削減する
- 極寒の冬でもEVが不利益になることはほぼない:氷点下での走行時に電力が最大50%低下する場合でも年間を通じたバッテリーへの影響は15%未満に留まり、環境性能の逆転は起きない
- 走行距離と走行パターンが決め手:渋滞の多い街乗りや走る距離が長いドライバーほど、回生ブレーキと高いエネルギー効率により、EVの環境・経済的メリットが最大化される

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バッテリー製造の「環境ペナルティ」は実在するが、走行すれば一気に逆転する
MITのマルコ・ミオッティ(Marco Miotti)博士とジェシカ・トランシク(Jessika Trancik)教授らの研究チームは、批判派が指摘するあらゆる抜け穴を塞ぐために厳格なライフサイクル評価(LCA)を実施しており、大型の金属やリチウムイオンを消費するEVは、製造段階においてはガソリン車よりも大きな環境負荷(製造ペナルティ)を抱えてスタートすることについてまずは言及。
しかし走行を開始した瞬間から評価は一変し、ガソリン車が1km走るごとに燃料を燃やし続けるのに対し、EVは走行時の排出量がゼロ(発電時の排出のみ)であり、結果として全米のほぼすべての地域において、生涯を通じた温室効果ガス排出量はEVの方が40%〜60%少ないという結論が導き出されることとなっています。
地域の発電が石炭中心である最も環境条件の悪い地域であってもEVがガソリン車より排出量を増やすケースは存在しないことが証明されていて、今回の調査結果これまでの様々な説を覆すこととなっています(発電の方法が「火力か太陽光や風力などのクリーンエナジーなのか」によっても環境負荷が大きく変わる)。

「冬場の航続距離50%ダウン」でも環境性能が逆転しない理由
「冬場に暖房をつけるとバッテリーの持ちが半減する」という点もEV反対派の強力な根拠とされてきたことで知られており、実際にガソリン車はエンジンの排熱を暖房に再利用できるため、冬場の寒さには有利です。
MITのデータでも極寒の夜間走行などではEVのエフェクティビティ(効率)が最大で50%低下することが確認され、しかし、年間を通じて見ると、極寒地域(ノースダコタ州など)であっても寒さによる影響は全消費電力の15%未満に収まります。
つまり、一時的な寒波がEVの環境優位性を打ち消すほどの打撃を与えることはない、というわけですね。

車両コストと自宅充電の重要性
経済的な観点では、購入費用(車両本体価格)においてEVおよびPHEVは同等のガソリン車よりも約20%高価です。
しかし、減価償却、燃料・電気代、日常のメンテナンス費用、各種税金を加味した15年間の「総所有コスト(TCO)」で比較すると、安い自宅充電プランを活用できる環境にあれば、EVはガソリン車と十分に渡り合える(または安くなる)ことが判明しており、反対に、急速充電スタンド(パブリック充電)に頼り切るライフスタイルや、電気代が極端に高い地域(ハワイ州など)では、トータルコストでガソリン車を下回るのが難しくなる場合もあるのだそう。
なお、我が日本においては強い味方「補助金」があるため、様々な条件を考慮したとしても、「(購入〜維持費において)EVが有利」であるとも考えられます。
MIT研究に基づくパワートレイン比較と走行条件別適性
研究データを基に、各パワートレインの特性およびドライバーの走行スタイルによる適性をまとめてみると・・・。
パワートレイン別 特徴比較表
| 項目 | BEV(純電気自動車) | PHEV(プラグインHV) | ICE(ガソリン・ディーゼル車) |
| 生涯CO2排出削減効果 | ガソリン車比 40%〜60%削減(最大82%減) | BEVの約60%〜90%の削減効果 | 基準(ベースライン) |
| 車両購入価格 | ガソリン車より約20%高価 | ガソリン車より約20%高価 | 相対的に最も安価 |
| 渋滞・ストップ&ゴー | 極めて得意(回生ブレーキでエネルギー回収) | 得意(バッテリー残量がある場合) | 苦手(アイドリングや低速で著しく効率低下) |
| 極寒地域での年間影響 | 電力消費増加は年間15%未満 | エンジン起動により排出量増加 | 排熱利用により暖房効率が高い |
| 総所有コスト(TCO) | 自宅充電環境があれば非常に優位 | 充電頻度に強く依存 | 燃料価格の変動を受けやすい |

どんな人がEVに乗り換えると効果が大きいか?
- 「街乗り・渋滞」が多いドライバー:ガソリン車はストップ&ゴーの多い市街地で極端に燃料効率が落ちることとなり、一方でEVは低速走行時に無駄なエネルギーを使わず、ブレーキをかけるたびに減速エネルギーを回収(回生)できるため、街乗り中心の人ほど環境・経済的メリットが大きくなる
- 年間走行距離が長い(過走行)ドライバー:年間で走る距離が長いほど、製造時に背負った「環境ペナルティ(製造時のCO2)」を早い段階で相殺することができる
- 自宅で夜間充電ができる環境:安い夜間電力プランや自宅太陽光発電を活用できれば、ガソリン車に対する運用コストの差は圧倒的なものとなる
日本の住宅・電力事情と「PHEV」の現実解
今回のMITの研究は米国のデータをベースにしていますが、これはぼくら日本でのカーライフにも通じる重要な視点を与えてくれ・・・。
日本における「PHEV」の立ち位置
MITの調査において、PHEV(プラグインハイブリッド)は「定期的に充電されていれば、都市部でBEVの80%〜90%と同等の環境貢献ができる」という結果が出ており、しかし充電を怠ると排出削減効果は一気に60%程度にまで落ち込んでしまいます。

マンションなどの集合住宅が多く、自宅に専用充電設備を設置しづらい日本の都市部においては「平日はガソリンで走り、充電はめったにしない」というPHEVオーナーも少なくはなく、PHEVの真価を発揮するためにはインフラ整備と「こまめな充電」の実践が不可欠です。
日本の電源構成とEVの未来
日本は欧州などに比べて火力発電の割合が高いため、「日本の電気でEVを走らせても意味がない」と言われることが少なくはなく、しかしMITの研究が示す通り、最も炭素排出密度の高い発電エリアであっても、EVがガソリン車の生涯排出量を上回ることはないというのもまた事実。
今後、太陽光や風力などの再生可能エネルギー比率が上がれば上がるほど、今購入したEVの「走行中の環境性能」は年々勝手に良くなっていくという、ガソリン車にはない将来的な拡張性もEVの大きな魅力でもわるわけですね。
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米環境調査団体「EVはハイブリッドの5倍、PHEVの2倍以上、ガソリン車の6倍以上もクリーン」。HVやPHEVよりもEVが環境に対する最適解だと結論づける
| ただし調査団体によってまったく反対の調査結果や結論が出ることも | 「見る角度」や「導き出したい結論」によってその内容は全く異なる さて、EVのCO2排出量については様々な統計がありますが、今回は ...
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結論
MITによる膨大なデータの分析結果は極めてシンプルかつ明確なもので、「バッテリー製造時や発電時の二酸化炭素」「冬場の寒さ」といったEVへの代表的な懸念は、厳密に数値化してもEVが持つ圧倒的な環境優位性を覆す理由にはならないということです。
もちろん、居住する地域の電気代や充電設備の有無、年間の走行距離によって「費用対効果(お得感)」の度合いは異なりますが、しかし環境負荷を減らし、次世代の持続可能なモビリティを選択するという観点において、EVが最も力強い選択肢であることが科学的に立証されたというのが今回の調査結果。

ただ、ここで「環境」とは別に「家計」の問題を考慮するならば、EVは売却時に「非常に安く」、よっていかに「所有期間中、そのコストを引き下げることができたとしても」売却時に生じる”巨額”、かつガソリン車と比較してもそうとうに大きな損失額はいかんともしがたく、人によってこの「失う金額」をどう取るかは大きく分かれるところだと思われます(この損失額を正当化することは難しい)。
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米環境団体「調査の結果、もっとも環境に優しいクルマはプリウスPHEVであることがわかった。どのEVもプリウスPHEVの効率を上回ることはできない」
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参照:MIT, CARBUZZ











