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「007 / リビング・デイライツ」に登場したボンドカー、アストンマーティンV8が競売に。撮影に使用された4台のうちの1台、火炎放射器にてロケットを再現

2023/07/24

「007 / リビング・デイライツ」に登場したボンドカー、アストンマーティンV8が競売に。撮影に使用された4台のうちの1台、火炎放射器にてロケットを再現

| 当時のアストンマーティン会長の働きかけで久々にボンドカーとして復帰するも、新車の生産が間に合わず中古車を改造することに |

まさかこのクルマの前オーナーは自身が乗っていたクルマがボンドカーになるとは思ってもみなかっただろう

さて、これまでにも様々なボンドカーがオークションにかけられてきましたが、今回は1987年の「007 / リビング・デイライツ」の撮影に使用され、生き残った4台のボンドカー”アストンマーティンV8”のうちの1台が競売に登場予定。

ベースとなるのは1973年モデルのアストンマーティンV8で、これをジェームズ・ボンド映画の制作プロダクションであるEONが中古車にて購入し、そこでボンドカーへと改装されることとなったわけですね。

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この「007 / リビング・デイライツ」はジェームズ・ボンド・シリーズの第15作として製作され、イギリス人俳優ティモシー・ダルトンが007役で初主演した作品としても知られます。

KGB将軍、ムジャハディーン戦闘員、そして女優マリアム・ダボ演じる美しいチェリスト(兼スナイパー)が登場し、ティモシー・ダルトンがジェームズ・ボンドを「破滅的なウィットに富み、やや真面目路線の秘密諜報員として演じたことで知られ、一定の商業的成功を収めています。

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このアストンマーティンV8にはこういった改造が施される

このアストンマーティンV8につき、チューダー・グリーン・メタリックに塗装され、フューエル・インジェクション・エンジンとオートマチック・ギアボックスを搭載していた最新モデルに見えるものの、当時アストンマーティンV8は1年半の納車待ちであったために(アストンマーティンですら)制作サイドへと新車のV8を提供することができず、よってプロダクション側が(上述の通り中古車を購入して)カンバーランド・グレーに再塗装し、最新モデルに見せかけるためのボンネットなどのパーツを組み込んだ、と紹介されています。

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さらにはジェームズ・ボンドがドライブするのににふさわしいクルマとするため、取り外し可能なスキーとロケットスラスターが与えられていますが、これは作品中のハイライトでもある雪山でのチェイスシーンにて威力を発揮しており(このシーンそのものが”ゴールドフィンガー”へのオマージュでもある)、ジャンプに備えてこれらガジェットを使用することになります。

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もちろんこの「スキー」は劇中のようには実際に飛び出すことはできず、そのシーンは別途作られたFRP製のモックが担当し、編集によってうまくつなぎ合わせられることに。

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一方でロケットブースターは「炎」が噴出し、実際のロケットエンジンのように推力を発生させることはできないと思われるものの、視覚効果としては抜群です。

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アストンマーティンV8は「久々のアストンマーティンのボンドカー」

参考までに、007映画のボンドカーにアストンマーティンが採用されるのは「久々」で、これは当時のアストンマーティン会長、ビクター・ガントレットが制作プロダクションにかけあって実現したもので、結果的に2つのアストンマーティンがスクリーンに登場することに(もう一台はV8ヴォランテ・コンバーチブルで、ガントレットの個人所有車である)。

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上述の通りこのアストンマーティンV8は中古車ですが、このシャシーナンバー「10596/RCA」の初代オーナーは、まさか自分のクルマが後にジェームズ・ボンドによってドライブされることになるとは想像だにしなかったに違いなく、そしてこの事実を知っているのどうかは全く不明。

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EONプロダクションはこの車を1995年まで保有し、ボンド・コレクターとして知られるピーター・ネルソン氏に売却、同氏はこのクルマをイギリスの(自身が運営する)カーズ・オブ・ザ・スター・モーター・ミュージアムに保管し、2004年にアメリカのコレクターに売却するまで静態展示していたと紹介されています。

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ちなみに同氏はジェームズ・ボンド映画の撮影が終わると使用された大道具や小道具を買い取っていたといい、実際に(リビング・デイライツの撮影用に)4台が使用されたうちの3台がピーター・ネルソン氏へと譲渡されたようですね。

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なお、この車両は上述のカーチェイスシーンでジャンプを行う予定を持っており、そしてジャンプしやすくするためにエンジンやトランスミッションを抜いて車体を軽くしていたもよう。

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ただ、2021年にこのボンドカーを手に入れたオーナーは「再び路上を走らせたい」と考えててキャブレター仕様のV540 V型8気筒エンジン(ヴァンテージ仕様にアップグレード)と、ZF製5速マニュアル・トランスミッションを調達し、「35年ぶりに」心臓部を手に入れることに。

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その際に下回りの腐食は必要に応じて修復され、フロントは再塗装、そしてすべてのメカニカル・システムが再整備を受けていますが、ガジェット用のダミースイッチと自爆ボタンを備えた取り外し可能なセンターコンソールは前オーナーによって製作されたもの。※ロケットブースターの炎も前オーナーが改造したギミックである

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このアストンマーティンV8はもちろん「本物のボンドカー」であり、しかも4台のうち1台はEONプロダクションが保管し、残る2台は上述のコレクターが所有したままなので、現実問題として「唯一売買の可能性がある」V8です。

よって予想落札価格は180万ドル(現在の為替レートで約2億5500万円)という高額エスティメイトが出ているものの、今後の価値を考えるとけして高い買い物ではないかもしれませんね。

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参照:RM Sotheby's

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