| 「セブン」はこれまでにも経営者を変えつつ、現代まで変わらない姿で生き延びてきた |
さて、「7(セブン)」シリーズの生産で知られるケーターハムですが、今回は日本を拠点に自動車ディーラーを多数運営する持株会社、VTホールディングスが「ケータハム・カーズ・グループ・リミテッドの株式を取得し、(その子会社2社を含め)100%子会社化した」と発表。
なお、VTホールディングスはホンダ、日産、スズキ、BMW、フォルクスワーゲン、アウディ等の自動車ディーラーを日本国内において展開しつつ、海外でも三菱、ルノー、ダチア、ホンダ、プジョー、アバルト等の販売網を展開しています。
法律上、ケータハムは「日本の自動車メーカー」に?
これまではVTホールディングスの子会社であるエスシーアイが(2009年から)「ケータハム・カーズ・ジャパン」としてケータハムの正規輸入と販売、アフターサービスを行ってきたそうですが、今回の株式取得によって、「輸入代理店(インポーター)」から一気に「メーカー」となったと考えて良さそう。
なお、新生ケータハム・カーズの最高経営責任者には、スーパー耐久に自ら参戦する高橋一穂氏が就任する、ともアナウンスされています。
「セブン」は数奇な運命を歩んできた
なお、もともと「セブン」はロータスが製造販売していたクルマで、はじめて世に出たのは1957年。
当時は「キットカー」つまり自分で組み立てを行うクルマだったそうですが、これは「完成車として売ると税金が高くなる」ことに対する抜け道でもあったと言われます。
ただしその後にはキットカーに対しても課税がなされることになり、セブンシリーズの販売にビジネスとしての旨味を感じなくなったロータスはセブンの製造終了を決定。
その際、英国はケータハム(地名)にてロータスのディーラーを営んでいたグラハム・ニアーンなる人物が「セブンの生産終了を惜しみ」、ロータスから生産設備や製造・販売権をまとめて購入することになり、ここで誕生したのが「ケータハム・セブン」というわけです。
なお、当時はディーラーとメーカーとの距離が近く、アルピーヌ、アルピナについても、もともとはそれぞれルノー、BMWのディーラーを営んでいたものの、その後にメーカーに併合されたり、かなり近い位置へと立場が変わっています(マツダスピードも同様)。
「ケータハム」はF1に参戦したことも
さらに時は流れ、2005年にケータハムは元ロータスの経営者(アンサー・アリ)らによって買収され、2011年には当時F1に参戦していた「チーム・ロータス」を主宰するトニー・フェルナンデスによって買収されることに。
ちなみにチーム・ロータスの商標はジェームス・ハントの弟が所有していたものの、これは自動車メーカーとしての「ロータス」とは関係がなく、よってF1参戦時には両者間で商標争いが勃発することになってしまい、「チーム・ロータス」は後に「ケータハムF1チーム」へと名称が変更されています。
このケータハムF1チームは2014年に売却されるものの、自動車メーカーとしてのケータハムはトニー・フェルナンデスが所有し続け、しかし今回、VTホールディングスへと売却されたということになりますね。
経営者が変わってもクルマは基本的に変わっていない
なお、こういった感じでロータス→グラハム・ニアーン→アンサー・アリ→トニー・フェルナンデスといった具合にオーナーと資本が変わっているものの、クルマとしての「セブン」は基本的に変わっておらず(しかしエンジンバリエーションは多い)、もともとの基本設計が優れていたという証左なのかもしれません。
もともとロータスは極限までシンプルさを追求した設計を行いますが、当時にして、すでに完成されたクルマであったとも考えられます。
そして今回、日本のVTホールディングスへと資本が変わることになりますが、おそらくは今後も「変わらぬ」セブンを世に送り出してくれるものと思われます。
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| おまけにダッシュボードは”世界でもっともクラシック” | https://www.flickr.com/photos/110074903@N02/49755247508/in/dateposted ...
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参照:AS-WEB