| あのジャガーE-Typeをここまで思い切ってカスタムする人はそういない |
アメリカのカスタムショップオーナーにしてカスタムカーデザイナー、チップ・フース氏が新しく「ジャガーEタイプ」のレストモッド(レストア+モディファイ)を発表。
同氏は彼の地では相当に名が知れ渡っており、映画「60セカンズ」に出てきた名車、「エレノア(フォード・マスタング)」も同氏のデザインだと発表されていますね。
今回のジャガーE-Typeにはチップ・フース氏が顧客から依頼をうけて製作した車両で、数ヶ月前からそのカスタム過程が動画にて公開されていたもの。
そして今回晴れて完成ということになりますが、まさに「レストモッドかくあるべし」という仕上がりとなっています。
受け入れるか、立ち去るか
なお、ジャガーE-Typeは自動車史にのこる名車の一つで、よって「オリジナル」を重視する人も多数。
そのためにこういった「もともとの純正から外れる」レストアに拒否反応を示す場合も多いかもしれません。
このジャガーE-Typeのオーナーはもちろん「純正にこだわらず」自分の好きなクルマに乗りたいと考える人のようで、数々の社外パーツ、そしてカスタムパーツが導入されています。
もともとこのジャガーE-Typeは1974年の「シリーズ3」として生を受けていますが、シリーズ3をベースとして選んだのは「ジャガーE-Typeの中ではまだ安価だから」。
ジャガーE-Typeは1964年〜1967年のシリーズ1、1968年〜1970年のシリーズ2、1971年〜1975年のシリーズ3に大別され、生産年数に応じてシリーズ3の生産台数が多くなっていて、そのために相場が安いようですね。
そしてベース車はチップ・フースのショップに到着するやいなや車体は完全に分解され、サスペンションやライト、フェンダー、フード、バンパー、グリル、はてはナンバープレートホルダーに至るまで手が入れられることに。
カスタムにあたっては純正パーツ加工に加えてワンオフでのパーツ作成もいとわず、理想の車を作ることだけを考えて情熱を傾けた、と紹介されています。
こちらの男性がそのチップ・フース氏。
とにかく各パーツの精度や加工品質には驚かされますが、ここまで大胆にカスタムを行うのはチップ・フース氏くらいのものかもしれません。
なお、ウインドスクリーンすらも形状雨が変更され、ドアミラーはウインドウフレームへと移設。
テールランプは1958年のコルベットからの移植。
そのため、リアはイギリス車というよりはアメリカ車っぽい雰囲気に。
ホイールはフロント19インチ、リア20インチ。
タイヤは超扁平となりますが、こういった部分も純正支持派からすると噴飯ものかもしれません。
なお、ボディカラーは専用に調合された「パームカッパー」とのこと。
サスペンションキットはオリジナルで、動画を見るとナックルまでポリッシュ加工が施されている模様。
マフラー、エキゾーストパイプも美しく仕上げられ、こういった「見えないところにまで」こだわるのはアメリカンカスタムならでは。
ちなみにエンジンはオリジナルの5.3リッターV12ではなく、シボレー製のLS3 V8へと換装され、240馬力から535馬力へとパワーアップしているそうです。
ブレーキについてはホイールの内側ギリギリというサイズを持つ大径ローター、そしてゴールドのブレーキキャリパーが与えられていますね。
もちろんインテリアも完全に作り変えられていて、ペダルもポリッシュ仕上げ。
ダッシュボードとドアの上半分がグリーン、そこから下はタンレザーが使用されています。
なお、驚かされるのは「トップを装備しない」ということで、簡素なカバーすら無い「完全なフルオープンモデル」となっています。
相当に議論を呼びそうなカスタムカーではありますが、コンディションを気にしながらガレージにしまっておくのではなく、こうやって「好きなクルマに毎日乗る」という楽しみ方がいかにもアメリカ的であり、ぼくはそれを支持したいと思います。
VIA:Chip Foose