
| 新時代ジャガーの幕開け:その走りは「本物」か? |
【この記事の要約:新型ジャガーEVの正体】
• 怪物級スペック: システム出力は約1000馬力、トルクは約1300Nmに達する。
• 異次元のスタイル: 全長5.2m超ながら全高は1.4m以下。往年の「XJS」を彷彿とさせる超ロングノーズ&リアウィンドウレスのデザイン。
• 居住性の魔法: バッテリーを一部くり抜いた「フットガレージ」により、EV特有の床の高さを解消し、低く構えた着座位置を実現。
• 発売スケジュール: 2026年晩夏に完成形を披露、2027年春に納車開始予定。
-
-
ジャガー「新しいブランド戦略によって、我々は既存顧客の85%を失うでしょう」。なぜそこまでしてブランドを変えようとするのか、その危険な賭けの真意とは
Image:Jaguar | ジャガーはガソリン時代の顧客の大半を失おうともブランドシフトを成し遂げる | 歴史上、ここまでの大胆な変革を試みた自動車メーカーは存在しないだろう さて、様々な自動車ブラ ...
続きを見る
デザインとエンジニアリングの融合
ジャガーがブランドの命運を賭けて開発中の新型EV。
よく「命運をかけた」という表現が用いられるものの、このジャガーの新型EVほど期待がかけられたクルマもほかになく、実際に「もしこのクルマが商業的に失敗すれば」ほぼ確実にジャガーは歴史の表舞台から消え去るものと思われます。
そんな期待のプロトタイプではありますが、今回ついにそのベールを脱ぐこととなり、カーメディアによるレビューがついに解禁。
「これまでのジャガーとは全く違う」と噂される一方、往年のファンが最も気になっているのは「ジャガーらしさは残っているのか?」という点かと思います。
今回、AutocarによってYoutubeへと公開された独占的な試乗レポートをもとに、この「最も物議を醸すクルマ」の正体に迫りたいと思いますが、結論から言えば、「それは単なるEVではなく、ジャガーの歴史を凝縮したモンスター」。
「ブランドの遺産」を否定せず、再定義する
数年前、ジャガーのデザインディレクターが「ブランド・エクイティ(資産)はない」といった趣旨の発言をしたことがありましたが、エンジニアたちの考えはやや異なり、彼らは開発にあたって自社のヘリテージ・トラストから過去の名車を持ち出して乗り比べを行ったのだそう。
-
-
もはや誰も話題にしなくなった「新しいジャガー」。ひたすらネガティブな意見だけを残して失敗の予感、社内からも不満が生じ署名活動すら行われていたもよう
Image:Jaguar | 今回のリブランディングについては「自動車史上最大の失敗の一つ」に数えられるかもしれない | ここまで社内外から賛同を得られなかったプロジェクトも珍しいだろう さて、発表直 ...
続きを見る
その結果、新型車には「XJS」のような長いボンネットや、リアウィンドウを持たない流麗なスローピングルーフといった、ジャガーの黄金時代のDNAが色濃く反映されることになったのだと説明されています。
なお、この「新型EV」はもともと4ドアになるということがアナウンスされており、となるとタイプ00で提案された特徴的なプロポーションが崩れるのではとも考えていましたが、今回公開された動画を見る限りだと、タイプ00にかなり近いイメージを持つように思えます。
Image:Jaguar
-
-
ジャガー、新CEOはトランプ大統領の批判も「意に介さず」。完全EV化計画を継続し、高級路線でベントレーやロールスロイスとの競合を目指す
Image:Jaguar | ジャガー新CEO P.B.バラジ氏、トランプ大統領kらの批判を無視して戦略継続 | 新生ジャガーによる完全EV化と超高級路線 2024年末に発表されたジャガーのブランド刷 ...
続きを見る
居住性を犠牲にしない「フットガレージ」
この新型EVは全長5.2mを超える堂々たるボディサイズに対し、全高は1.4m以下という低さを実現しています。 通常、大容量バッテリー(120kWh)を床下に敷き詰めると座面が高くなりますが、ジャガーは後席足元のバッテリー配置を工夫し「フットガレージ」と呼ばれるスペースを確保。
これにより、乗員はスポーツカーのように低く、包まれ感のある(コクーンのような)姿勢で座ることができるようになったとされ、つまるところ「シートとレッグスペース部分」のバッテリーを「他のところへ異動させている」のだと考えることが可能です。
-
-
ジャガーがクルマというよりも「アート」「建築物」的なコンセプトカー、”タイプ00”を発表。この定規で引いたようなデザイン、鮮やかな色使いは市販モデルにも反映されるようだ
Image:Jaguar | ただし市販モデルでは「2ドア」ではなく「4ドア」となるもよう | このタイプ00はまさに「社運をかけた問題作」だと言えるだろう さて、ジャガーがマイアミ・アートウィークに ...
続きを見る
走りの哲学:あえて「パッシブ」を選ぶ
(非常に)興味深いのはサスペンションの選択で、エアサスペンションとアダプティブダンパーを備えてはいるものの、スタビライザー(アンチロールバー)は流行りのアクティブ(電動)式ではなく、あえて「パッシブ(機械式)」を採用しています。
重心が極めて低いため、機械式でもロールを制御でき、何よりドライバーに「自然な挙動のインフォメーション」を伝えるためには、これがベストな選択だったようですね。
車種概要・スペック・競合比較
この新型4ドアGTは、パワフルで速いだけのEVにとどまらず、5.2メートルという巨大なサイズ、それに反してコンパクトSUVと同等の小回り性能を持ちつつも、スーパーカー顔負けのハンドリングを秘めています。
主要スペック表(プロトタイプ値)
| 項目 | スペック詳細 | 備考 |
| 全長 | 5,200mm 超 | 威風堂々としたGTサイズ |
| ホイールベース | 約3,200mm | 前後オーバーハングは短い |
| 全高 | 1,400mm 未満 | 驚異的な低重心 |
| バッテリー容量 | 120 kWh | 長距離GTとしての十分な容量 |
| モーター構成 | 3モーター | フロント1基(350hp)、リア2基 |
| 最高出力 | 約 1,000 馬力 | 単純合算ではなくシステム制御値 |
| 最大トルク | 約 1,300 Nm | この巨体を余裕で引っ張れる数値 |
| 駆動方式 | リア偏重 AWD | コンフォートで約63%、ダイナミックで約70%後輪配分 |
| ステアリング | 4輪操舵(4WS) | リア最大6度操舵、最小回転半径11.5m |
市場での位置付けと「走り」の特徴
競合となるハイエンドEV(ポルシェ タイカンやメルセデスAMG EQSなど)に対し、ジャガーが差別化を図ったのは「ステアリングフィール」と「リア駆動の感触」で・・・。
• トルクベクタリング: リアの2基のモーターは1/1000秒単位で制御され、物理ブレーキに頼らずとも強烈な旋回力を生み出す。
• 可変ステアリングレシオ: 中心付近は穏やか(14:1)ではあるものの、切り込むと急激にクイック(9:1)になり、巨体を感じさせない俊敏性を発揮する。
• ジャガー・ネス: ステアリングは「オイリーで滑らか(Oily and slick)」。路面と対話できる適度な重さを残しつつ、洗練された乗り味を実現している。
結論:ジャガーは「魂」を取り戻したのか?
「電気自動車になっても、ジャガーはジャガーなのか?」 この問いに対し、開発責任者のジェームズ・ヘイゼルハースト氏は強い自信を見せており、プロトタイプの時点で、すでにステアリングやハンドリングのレスポンスは、かつての名車「XJ」の系譜を感じさせる仕上がりになっているといいます。
1000馬力のパワーを持ちながら、あえてロールを許容し、ドライバーに情報を伝えるセットアップ。
これは、単なるスペック競争から脱却し、「運転する喜び」というブランドの核を再定義しようとするジャガーの決意表明と言えるのかもしれません。
今後のスケジュール
• 2026年夏頃:完成車両の公開
• 2026年後半:オーダー受付開始(予定)
• 2027年春:デリバリー開始
このクルマは、間違いなく今後10年の自動車業界における「最も論争を呼び、かつ注目される一台」になるはずで、引き続きこの革命的モデルの動向を追ってゆきたいと思います。
合わせて読みたい、ジャガー関連投稿
-
-
ジャガーはもう「終了」か?新型EV「Type 00」が発表延期、完全電動化戦略に再び暗雲が立ち込め、売るクルマがない「空白期間」が長期化するおそれ
Image:Jaguar | ジャガーの電動化戦略に再び“試練” | まさに「泣きっ面に蜂」 ジャガーがブランド再構築の象徴として開発を進める新型EV、「Type 00(タイプ・ダブルオー)。 今回そ ...
続きを見る
-
-
いったい名門ブランド「ジャガー」に何が起きてるんだ・・・。「空白の1年」と物議を醸すType 00の正体、そしてデザイナー解雇劇
| ほとんどの人から見て「自滅への道」を進んでいるようにも思われるが | この記事のハイライト 販売モデルが実質ゼロの異常事態: ジャガーは現在、ICE(内燃機関)モデルの生産を終了し、完全電動化への ...
続きを見る
-
-
ジャガーの「意識高い系」を対象とした新しいヴィジュアル広告「多様性と独創性の祝賀」が大炎上。車が全く登場せずイーロン・マスクも「ジャガーは車を売らないのか」
Image:Jaguar | ジャガーはこの反応を「読めていた」はずで、となるとこれは一種の炎上商法なのかもしれない | ボクらはジャガーに一杯食わされたことになる さて、ジャガーはこれまでの歴史とル ...
続きを見る
参照:Autocar















