| オーナーがマクラーレンに依頼して内外装、エンジン、そして足回りをカスタム。ル・マン優勝車と同じ”LMスペック”に |
マクラーレンF1はプロトタイプ含めて106台が製造されたそうですが、そのうち「公道走行可能なのは」マクラーレンによれば「わずか64台」。
そして、そのうちの一台「シャシーナンバー018」を持つマクラーレンが8月のオークションに登場するとアナウンスされていますが、この「ナンバー018」は2台のみ製造された「ハイダウンフォースキットとLMスペックのエンジン」を持つ個体。
見ての通り通常モデルとは異なるフロントスポイラー、ルーバー付きのフロントフェンダー、そしてリアウイングを持つことが外観の特徴ですが、なんといってもこの個体を特別なものとしているのはそのエンジン。
エンジンはル・マン636馬力から680馬力へ
このエンジンは「LMスペック」を持ちますが、この「LM」は1995年にマクラーレンF1がル・マンにて優勝を飾ったことを記念して5台のみが発売されたもので、エンジンは636馬力から680馬力へとパワーアップされたもの。
なお、この出力向上はレブリミットを1000回転引き上げることで達成されており、これによって発生する熱量を処理するためにラジエターを2個追加し、さらにはトランスミッションクーラー、専用エキゾーストシステムが与えられています。
もちろんエンジンフードは放熱性(熱伝導率)を考慮して「純金張り」。
この車両はマクラーレン「F1 HDF」として知られる個体で、もともとはミッドナイトブルーのボディカラー、ブラックのインテリアを持っていたもの(よくよく考えると、ブラック以外の内装を持つF1は見たことがない)。
ただ、2番めのオーナーがこの車両をマクラーレンに送り、そこで「LMスペック」へと改装を受けた、と記録されています。
そしてこの個体は以前にマクラーレンが公式に「超レアモデル」として紹介したことがあり、「2台のうちのもう一台」は2015年に16億円くらいで落札されたことも。
そして外観とエンジンだけではなく「到るところ」に手が入っているのも「F1 HDF」の特徴で、レーススペックのダンパーとスプリングが装着され(公道用に調整されているものの、かなり乗り心地が悪そう・・・)、18インチサイズの「GTRホイール」への交換がなされています。
なお、マクラーレンいわく、この「ハイダウンフォース」エアロキット装着によって「ル・マンで優勝したマクラーレンF1 GTRよりも高いダウンフォースを獲得している」とされ、現代のハイパーカーに混じったとしても、とんでもないレベルのパフォーマンスを発揮しそうですね。
新しくペイントされたボディカラーは「プラチナム・グレー」。
インテリアは「クリーム」で、これにベージュとブラウンのレザーが組み合わせられています。
ナンバーは「ニュージーランド」登録で、「MCL F1」。
インテリアカラー同色、F1ロゴ入りのラゲッジセットも付属。
このクルマで長距離ツーリングに出かける人はまずいないと思いますが、所有する満足感を高めてくれるアイテムでもありますね。
もちろんF1ならではの「3シーター」を採用していますが、これの乗り降りはかなり難しく、そのためF1のマニュアルには「乗降方法」も記載してあるほど。
エンブレムもスペシャルバージョンのようで、レッドのトリムが与えられていますね。
なお、エンブレム周辺を見るとプロテクションフィルムが施工されていて、つまり前オーナーはこのクルマをコレクション用としてではなく「実際に乗る」ことを考えていた模様。
実際に走行距離は「21,500キロ」を刻み、マクラーレンF1としては”かなり走っている個体”のように思います。
そのほか、リアディフューザー、リアフェイシアも特別性のようですね。
インテリア全景はこんな感じ。
シートは「デイトナシート」っぽい横ラインとパンチングが見られます。
ステアリングホイールは「14インチ」とかなり小径。
スイッチ類のパネルもカーボン。
フェンダーには「ハミタイ」にならないようにオーバーフェンダーが装着されているようですね。
ただ、それでもリアはちょっとタイヤがはみ出ているように思います。
センタートンネルも特別製。
なおマクラーレンF1サービス・プログラムのマネージャーであるハロルド・ダーモット氏はこのクルマのオーナーに対して「このナンバー018は製造されたF1のうち、もっとも特別なクルマである」と手紙を書いたことがあるといい、その特異製を物語っていますね。