1030万円で販売されている中古のロールス・ロイスには1230万円のメンテ費用がかけられていた。中古ロールスを買う際には「とんでもなく維持費がかかる」ことを理解する必要がありそうだ

｜　いくら維持費用をかけたとしても、売却金額にそれが必ずしも反映されるわけではない　｜

（ある程度年季の入った）中古のロールス・ロイスの購入には「維持費」「売却価格」という二重のリスクが伴っている

さて、一般に高額なクルマは修理やメンテナンス費用も高額だとされていますが、その端的な例がマクラーレンF1やブガッティ各モデル、そしてロールス・ロイスです。

とくにマクラーレンF1、ブガッティについては「オイル交換やタイヤ交換に数百万円を要する」ということがオーナーによって明かされており、その規格外の維持費には驚かざるを得ませんが、ロールス・ロイスもそれに次ぐものがあると言われており、そして今回ビバリーヒルズ・カークラブにて販売されているロールス・ロイス・ファントムにかけられたメンテナンス費用が「常軌を逸している」として話題に。

69,950ドルで販売されるロールス・ロイス・ファントムには78,913ドルものメンテナンスコストがかけられていた

この2004年式ロールス・ロイス・ファントムは新車時に320,000ドル（現在の為替レートだと4990万円くらい）で販売されていますが、現在の販売価格は1/5近くの69,950ドル（約1090万円）です。

この価格を見るに非常にお買い得だという印象で、「この価格でV12エンジンを積むロールス・ロイスに乗れるならば」と思ってしまいますが、注目に値するのはこのロールス・ロイス・ファントムが2023年に受けた整備費用が78,913ドル（約1230万円）にものぼること。

つまりこのロールス・ロイス・ファントムは「整備にかけたお金よりも安い価格」で販売されており、そう考えるとたしかにお買い得ではあるものの、別の見方をするならば、「この価格で購入したとしても、また同じくらいの整備費用がかかる可能性がある」わけですね。

もちろん、現時点では整備したてなので、今すぐになんらかの修理やメンテナンスが必要になるわけではありませんが、ロールス・ロイスの中古車を購入する場合は、これくらいのメンテナンスコストが将来的に必要になるということを理解しておかなければならないのかもしれません。

なお、不思議なのは「1230万円ぶんのメンテナンス費用をかけたロールス・ロイスがなぜ1090万円で販売されているのか」という事実で、推測するに、「前のオーナーが別のショップで1230万円分のコストを投じてメンテナンスし、しかしその後に現在のショップ、ビバリーヒルズ・カークラブに売却した」のだと思われ（実際に、メンテナンスの際にかかった費用を示す領収書は別のショップ名義である）、しかしビバリーヒルズ・カークラブはどれくらいのコストが投じられたのかに関係なく、あくまでも「相場」に買取り、相場にて販売しているだけなのかもしれません。

そうなると、前のオーナーさんは「多額の維持費を支払った挙げ句、買い叩かれた」という踏んだり蹴ったりの状態となりそうですが、ロールス・ロイスの中古を購入するならば、修理費用だけではなく、売却時に大きな損失が出る可能性があることについても含んでおく必要がありそうですね。

あわせて読みたい、ロールス・ロイス関連投稿