
売上高・利益ともに増加するも「販売台数減」。フェラーリは意図的に販売台数を減らしている
ベネデット・ビーニャ氏はフェラーリ史上「はじめての」販売台数削減を目指すCEOである
高級スポーツカーブランドの頂点に君臨するフェラーリ(Ferrari N.V.)が2026年第3四半期の財務結果を発表。
世界的な経済環境の変化が注目される中、同社は製品ミックスの最適化や高いパーソナライゼーション需要を背景として売上高・利益ともに力強い成長を持続させていることが明らかになっており、ここでは発表された最新の決算内容と市場での位置付けについて見てみたいと思います。
この記事の要約
- フェラーリの2026年第3四半期売上高は前年同期比7.4%増の18億9600万ユーロを記録
- 純利益は12.8%増の4億3100万ユーロとなり、市場予想を上回る堅調な業績を達成
- 好調なパーソナライゼーション需要やリッチな製品ミックスが利益率の大幅な向上を牽引

フェラーリ2026年第3四半期決算の概要
フェラーリが発表した公式レポートによると、2026年第3四半期(7月〜9月期)の連結売上高は18億9600万ユーロとなり、前年同期比で7.4%の増加となり、また、収益性を示すEBIT(営業利益)は5億6300万ユーロ(12.1%増)、純利益は4億3100万ユーロ(12.8%増)と、二桁成長を達成することに。
さらに、2026年第1四半期からの累計でも売上高が前年同期比6.3%増の56億8200万ユーロに達するなど、年間を通じて非常に安定した経営基盤を維持していることが示されています。
今回の財務的な成功の大きな原動力となったのは、圧倒的なブランド力を誇るモデルラインナップ、そしてオーナーの個性を反映させる豊富なカスタマイズプログラムであり・・・。
| 2026年第3四半期 主要財務指標 | 数値(百万ユーロ) | 前年同期比(YoY) |
| 純売上高 (Net Revenues) | 1,896 € | +7.4% |
| 営業利益 (EBIT) | 563 € | +12.1% |
| 純利益 (Net Profit) | 431 € | +12.8% |
| 産業用フリー・キャッシュ・フロー | 567 € | +43.1% |

特に注目すべきはパーソナライゼーションの比率であると考えられ、車体およびスペアパーツ売上高全体の21%を超える水準にまで達し、通期目標を早期に上回る好調さを見せています。※最新のフラッグシップや限定モデルの投入も相まって、1台あたりの収益性が着実に高まっている
出荷・販売台数に関する主なデータ
興味深いのは「出荷台数」で、昨年同期と比較すると「1%減」。
今回の決算では「出荷台数は前年同期より僅かに減少しつつも、大幅な増収増益を達成した」点が最大のポイントだと考えてよく、新型フラッグシップモデル「F80」や「296 スペチアーレ」などの高価格帯モデルの納車開始、および売上高の21%を超えたカスタマイズ(パーソナライゼーション)需要の拡大により、1台あたりの平均販売価格および利益率が大幅に向上しています。
そしてここで重要なのは「この1−2年の動向を見る限り、フェラーリは意図的に販売台数を絞っている」ということで、今回の決算内容にてそれが裏付けられる形に。

つまるところ、フェラーリは「販売する台数を抑えて希少性を担保し、かつパーソナリゼーションによって1台1台を異なる仕様とすることでさらに希少性を強化している」ということになりそうです(よって、今後も販売台数が絞られてゆくことになるであろうと推測)。
- 2026年第3四半期(7〜9月)の総出荷台数:3,368台(前年同期の3,401台から約1%の僅減)
- 地域別内訳:
- EMEA(欧州・中東・アフリカ):1,487台(全体の44%)
- 米国(Americas):1,050台(全体の31%)
- パワートレイン別比率:
- 内燃機関(ガソリン車):67%
- ハイブリッド車:33%

競合比較・市場での位置付け
ラグジュアリー自動車市場全体がサプライチェーンや需要の変動に直面する中、フェラーリはその希少性とステータス性を完全にコントロールすることにより、一般的な自動車メーカーとは一線を画す高い利益率を維持しています。
台数をやみくもに追うのではなく、「顧客の求める特別感」と「高度なパーソナライゼーション」を軸にしたビジネスモデルは、競合他社が容易に模倣できない強固な経済的堀(モート)となっており、ウォール街をはじめとする金融市場からの予想を上回る高評価を継続して獲得することに成功しているというのが「現在の状況」でもあるわけですね。
この「販売台数を減らし、しかし利益を増加させる」という戦略は近年のプレミアムカー業界におけるトレンドではありますが、これほど「言うは易し、行うは難し」な戦略はほかになく、しかしこれに成功した稀有な例がフェラーリであり、「台数によらず利益を稼ぎ出すことに成功した」フェラーリ初のCEOがベネデット・ビーニャ師ということになりそうです。

-
-
ポルシェの「値上げ」「販売台数を減らしてでも利益を確保」戦略はむしろポルシェの成長を阻害する?VWグループの稼ぎ頭を襲う業績不振の真相を考える
Life in the FAST LANE. | ポルシェにとっては「前に進んでも」「後ろに下がっても」茨の道ということに | ただしこれはポルシェの判断ミスのみではなく「市場環境」などコントロールし ...
続きを見る
補足情報
今回の決算発表と同時に、フェラーリは通期のガイダンス(業績予想)の上方修正を発表しており、産業用フリー・キャッシュ・フローが前年同期比で43.1%増の5.67億ユーロに急増したことからも同社のキャッシュ創出能力の高さが際立つことに。
電気自動車(EV)やハイブリッド技術へのシフトを進めつつ、内燃機関やブランド固有のエモーショナルな価値を決して損なわない戦略が”着実に数字として実を結んでいる”のだとも考えてよく、これは自動車業界の未来を占う上でも非常に興味深いポイントです。

結論
フェラーリの2026年第3四半期決算は、同社が描くブランド戦略と収益化のロードマップが極めて高い次元で機能していることを証明する結果そのもの。
ラグジュアリー市場における揺るぎない地位、そしてファンの期待を超えるクルマ造りを両立させるフェラーリの今後の展開から、ますます目が離せないといった状況でもありますね。
合わせて読みたい、フェラーリ関連投稿
-
-
フェラーリの株価が一夜にして15%もの「暴落」。1年前倒しで利益目標を達成、今後の業績についても明るい見通しを示したのになぜ?
| もはや株価は「業績」よりも「期待値」「市場心理」に大きく左右される | 今後の株価の回復には期待がかかる さて、昨日フェラーリは株主・投資家向けに「キャピタル・マーケッツ・デイ」を開催し、様々な財 ...
続きを見る
-
-
フェラーリが2025年度の決算を発表。売上は前年比+7%、利益は前年比+12%、一方の販売台数は13,640台(-112台)。希少化、1台あたりの高利益化が鮮明に
| フェラーリの堅調な成長に対して市場は高く評価したようである | 決算発表後、ルーチェの発表もあってフェラーリの株価は上昇 イタリアを代表するスーパーカーメーカー、フェラーリが2025年度通期決算( ...
続きを見る
-
-
フェラーリが2026年第2四半期の決算を発表。「売上と利益が大きく伸びる」も出荷台数は減少、やはり今後は生産台数を絞ることになりそうだ
Life in the FAST LANE. | なお「生産枠」は2027年分までビッチリ埋まることに | フェラーリほど理想的な成長を見せる自動車メーカーも数少ない 高級スーパーカーの代名詞であるイ ...
続きを見る
参照:Ferrari











