
Image:Rolls-Royce
| ロールス・ロイス・カリナンが文字通りクルマを超えて「芸術作品」に |
ここまで「直接」アーティストが関与した例は他に類を見ない
ロールス・ロイスが世界的な現代アーティストのシリル・コンゴとタッグを組み、唯一無二のビスポーク(注文製作)モデルを製作。
「ブラックバッジ・カリナン by シリル・コンゴ」と名付けられたこのプロジェクトは、文字通り自動車の枠を超え、内装のレザーやウッドパネルにアーティストが自ら筆をふるったという、「アートカー」の領域へと踏み込んだもの。
そして驚くべきは、これがメーカーが所有しプロモーションに使用する「ワンオフ」ではなく、一般の顧客へと販売されるということで(ただし全て売約済)、これらカリナンはクルマとしての価値に加え、芸術品としての価値を持つということにもなりますね(販売価格が気になる)。
この記事の要約
- 世界限定5台のプライベート・コミッション: ニューヨーク、ソウル、グッドウッドのプライベート・オフィスを通じて制作
- アーティストによるハンドペイント: シリル・コンゴが内装のウッドセットやスターライト・ヘッドライナーに直接アートを描画
- 初のグラデーション・コーチライン: ボディサイドのラインに、ロールス・ロイス史上初のグラデーション塗装を採用
- 「コンゴバース」の世界観: 数学公式や宇宙、原子をテーマにした独自の美学が車内全体へと表現

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前代未聞のコラボレーション:車そのものがキャンバスに
ロールス・ロイス「カリナン・ブラックバッジ」は、ブランドの中でも最も大胆かつ破壊的な個性を持つモデルではありますが、今回、このモデルをキャンバスとして選んだのはストリートアートの枠を超えて活躍するマルチアーティスト、シリル・コンゴその人です。
通常、自動車メーカーとアーティストのコラボレーションは「デザインの監修」に留まることが多く、しかし今回はまったく次元が異なっており、コンゴはロールス・ロイスの本拠地であるグッドウッドに6ヶ月間滞在しつつも職人たちと同じツールを使い、自らの手で車体に「魂」を吹き込むこととなっています。
「私のビジョンを、ロールス・ロイスの職人たちと共に形にするプロセスは、今までにない経験だった」
シリル・コンゴ

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細部に宿る「コンゴバース」のエネルギー
1. 天井に広がる「宇宙」と数学の融合
ロールス・ロイスの象徴でもある「スターライト・ヘッドライナー(天井の星空)」がコンゴの手によって劇的な変化を遂げており、1,344個の光ファイバーの「星」の間へと、コンゴは物理学者である弟の影響を受けたという「量子物理学の方程式」や想像上の「惑星」をハンドペイントにて描き出しています。
また、ロールス・ロイス史上初となる、天井の端から端までを貫くロングタイプの「シューティングスター(流れ星)」も採用されるなど、新しい試みも取り入れられているようですね。

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2. 息を呑むハンドペイント・ウッドセット
ダッシュボードからセンターコンソール、ピクニックテーブルに至るまで、合計19枚のウッドパネルが1つの連続したアート作品として構成されており、コンゴはエアブラシを駆使して独自のグラフィティ・スタイルをもって作品を仕上げることに。
さらにはこのアートを保護しつつも深みを与えるため、職人たちの手によって10層ものラッカー塗装と研磨が繰り返されている、と説明されています。
3. 外装に秘められた初の試み
エクステリアは日光の下でブルーに輝く「ブルー・クリスタル・オーバー・ブラック」。
注目すべきは左右で色が異なる「グラデーション・コーチライン」であり、左側はフェニックス・レッドからフォージ・イエローへ、右側はマンダリンからトゥルケーゼ(トルコ石色)へと色が変化するという仕様。
これに合わせて23インチホイールの奥に見えるブレーキキャリパーも”4輪すべて異なるカラー”が採用されるという、遊び心溢れる仕上げとなっています。

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ブラックバッジ・カリナン by シリル・コンゴ 主要スペック
| 詳細 | |
| ベース車両 | ロールス・ロイス ブラックバッジ・カリナン |
| 制作台数 | 世界限定 5台(すべて売約済み) |
| 外装色 | ブルー・クリスタル・オーバー・ブラック |
| 内装テーマ | ブラックを基調とした4ゾーン・カラー配色(レッド、ターコイズ、イエロー、マンダリン) |
| 特別装備 | ハンドペイント・スターライトヘッドライナー、19ピース・ハンドペイント・ウッドセット |
| ホイール | 23インチ パートポリッシュ・ブラックバッジ専用アルミホイール |
| コーチライン | ロールス・ロイス初「グラデーション・コーチライン」 |

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競合比較と市場でのポジショニング:ラグジュアリーのその先へ
超高級SUV市場には、ベントレー・ベンテイガやフェラーリ・プロサングエなどが存在しますが、ロールス・ロイス・カリナン「プライベート・コミッション」はもはやそれらと比較するレベルを超えており、というのも今回のプロジェクトのように、オーナーの個性を反映させるだけでなく、著名なアーティストとの「共同制作」を行うスタイルを取ることすらあるから。
ロールス・ロイスが今回示したのは、ラグジュアリーとは単に高価な素材を使うことではなく、「想像力を形にする自由」そのものであるということで、シリル・コンゴの情熱的なアート、そして英国の伝統的なクラフトマンシップが融合したこの5台は、自動車史に刻まれる「動く傑作」となる可能性を秘めています。

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【知っておきたい新知識】ロールス・ロイスの「プライベート・オフィス」とは?
今回のプロジェクトを主導した「プライベート・オフィス」はグッドウッド(ロールス・ロイス本社)、ニューヨーク、ソウルなどの主要都市に配置された招待制のクリエイティブ・ハブであり、従来のディーラーとは異なってデザイナーが常駐していることが特徴で、これによって顧客は自分のライフスタイルや感性を直接デザイナーに伝え、世界に一台だけの車を「共創」することが可能となるわけですね。
これは近年のハイエンドなコレクター文化に対応するためのロールス・ロイス独自の戦略ではありますが、文字通り「不可能を可能にする」ことができる同社ならではのアドバンテージであるとも思われます。
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